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第三章
第百十二話 堕天ノ雷霆
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ダンジョン最深部エリアに聳える魔王城、その手前に広がる墓地フィールドへ足を踏み入れた途端、地中の中から次々とアンデッド系モンスターが姿を現してきた。
「いきなり大軍だな。100体はいるか?」
エリスの支援魔法による強化を受けたことで、能力を発動させる前から堕天剣バラキエルは紫電を激しく迸らせている。
魔力を軽く流しただけでコレなら戦果には期待出来そうだ。
「さて、ダンジョンの外では使えなかったが、ここでなら構わないだろう。〈雷霆〉」
バラキエルの剣尖を天に掲げて【堕天ノ雷霆】を発動させる。
頭上高くに巨大な術式陣が展開され、そこから黒紫色の雷撃が地上へと大量に降り注いだ。
〈システム〉が表示したバラキエルの能力【堕天ノ雷霆】の詳細には、『使用者は黒紫色の雷霆を生成し、自由自在に支配する』と記載されている。
その実践テストの一環で、降り注ぐ雷撃にはアンデッドを狙い撃つように指示している。
指示しているというか、能力発動時に『アンデッドをピンポイントで狙え』と意識したと言うべきか。
この使い方は合っていたらしく、雷撃は1つたりとも地面に無駄撃ちすることなくアンデッドへと命中していた。
「ハハハッ、流石は攻撃特化の伝説級武器。素晴らしい攻撃性能だ」
無数のアンデッドの中には回避性能の高いモンスターもいた。
だが、降り注ぐ雷撃は躱わそうとしたアンデッドを追尾し、必ず直撃させていた。
追尾する時間が延びれば延びるほど威力は下がるようだが、それでもこの必中効果は優秀だな。
「剣自体からも出せるのか。〈雷霆〉」
頭上の術式陣だけでなく、漆黒の剣身からも直接黒紫色の雷撃を解き放ち、眼前に出現した夥しい数のアンデッドを焼き尽くしていく。
── スキル【魔喰ノ精霊王】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──耐久値が10ポイント増大します。
──魔力値が5ポイント増大します。
──スキル【闇の死護】を獲得しました。
── スキル【魔喰ノ精霊王】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──筋力値が14ポイント増大します。
──体力値が14ポイント増大します。
──スキル【暗黒錬骨】を獲得しました。
── スキル【魔喰ノ精霊王】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──知能値が18ポイント増大します。
──魔力値が10ポイント増大します。
──スキル【闇の祭壇】を獲得しました。
【魔喰ノ精霊王】の【魔喰ノ王権】が発動したのは摩天楼ダンジョン〈堕天の回廊〉でのボス戦以来だな。
ダンジョン最深部に出現する百体以上のアンデッドを倒して発動したのは3回だけというのは少ないが、その全てでスキルも獲得できたのなら悪くはないか。
アンデッドの大軍からドロップしたアイテムの回収には、アーティファクト〈支配の王環〉の念動能力を使う。
距離が離れるほど念動力の力は弱くなるが、最大有効距離でも大体10キロぐらいまでなら持ち上げることができる。
それより重いアイテムであっても引き摺ればいいだけだ。
念動力は対象の座標を正確に認識さえしていれば複数の物体へ干渉できるため、多数のアイテムの回収作業には最適だ。
ドロップアイテムの正確な位置の把握に関しては、同化中のアーティファクト〈月神の賢眼〉の空間認識能力を併用すれば簡単なので問題はない。
「この2つの能力は本当に相性が良いな」
周囲から掻き集めたドロップアイテムを収納系スキル【堕天の蔵】の黄金の渦へと放り込んでいく。
モンスターの死体が残らない特異性ギミックに関しては未だ有効なようで、アンデッドの死体は1つも残っていなかった。
その代わりドロップアイテムは大量に獲得できたが、今は1つ1つを確認している暇はない。
「凄い威力でしたね。魔力は大丈夫ですか?」
「今ので使った魔力は1割程度だから大丈夫だ。足りそうになかったら〈天使の雫〉でも使うさ。」
近くに転がっていた分を拾ってきてくれたリリア達からドロップアイテムを受け取りつつ、リリアに心配ないことを告げる。
アーティファクト〈貪欲の聖杯〉の性能を強化したことで、モンスターの死体アイテム化能力【貪欲の手】の死体損壊制限は緩和された。
そのおかげで、【堕天の蔵】に収納してあった少々損壊している天使系モンスターの死体からでも、回復アイテム〈天使の雫〉を創造することができた。
数に余裕があるわけではないので無駄遣いはできないが、必要なら躊躇わずに使うつもりだ。
「もう終わったの?」
「いや、まだまだだ。魔王城前まで今のが続くだろう」
「……私、もうちょっとでレベル30になっちゃうぐらいには強いアンデッドだったのに、まだ出てくるのね」
「まぁ、伊達に最深部じゃないということだな」
それにしても、経験値をエリスと2人で分けた甲斐あって、今の一戦だけで彼女のレベルがかなり上がっていた。
出現するアンデッドの数次第では、次の一戦でエリスは上級覚醒者へとランクアップできるかもしれない。
少なくとも、魔王城突入前にランクアップできるのが確定したのは朗報だ。
回帰前のエリスの上級時のクラスを知らないため、少し楽しみだな。
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