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第三章
第百十一話 最初の関門
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回帰前において、〈幻想遊戯〉と呼ばれていた特異性ダンジョンの最深部には、魔王の城といったイメージの外観をした建造物が聳え立っている。
迷宮主はこの城の玉座の間にて待ち受けており、ダンジョンボスの部屋に辿り着くためには、5体のボスモンスターを倒す必要があるそうだ。
その1番初めに遭遇するボスモンスターは、城の前に広がる墓地フィールドをテリトリーとしている領域主だ。
魔王城の門番的な役割のアンデッド系モンスターであり、このボスモンスターを倒すと確定で城門の鍵がドロップするらしい。
城門の鍵なんてアイテムが確定ドロップするということは、おそらく他の手段では魔王城に入ることは出来ないのだろう。
まぁ、そもそも城門に近付くのを阻むようにボスモンスターとその配下のアンデッド達がいるので、確かめようがないのだが。
「と、いうわけで、先ずはアンデッドの大軍との戦闘になるはずだ」
「もう私はツッコミませんよ」
「それは残念だ」
「どういうこと?」
「未知のダンジョンの情報を何故か知ってるリーダーにリリアがツッコミを入れて、それに対してリーダーが『異能のおかげだ』って答えるのが、これまでのお約束的な流れかな」
「へぇ、仲が良いのね……」
「仲が良いと言えば良いのかな?」
最深部へのショートカットである隠し通路を抜けた先の小高い丘を下りて間もなく、魔王城前に広がっていると聞いていた墓地フィールドに辿り着いた。
想像していたより墓地フィールドの範囲は広く、墓地フィールドの手前の位置から見える視界内の魔王城の大きさは、大体腕を伸ばした上で拳1つ分ほど。
この場合の距離の測り方は知らないが、感覚的には直線距離で1キロメートル弱といったところだろう。
回帰前に得た情報によれば、魔王城の前にある墓地フィールドの全てが、門番ボスモンスターの配下であるアンデッド達の出現エリアになっているらしい。
このフィールドにも特異性ギミックが働いているならば、一度の戦闘におけるモンスターの最大同時出現数は俺達と同数の4体までになるはずだが、ここはダンジョンの深層エリアの更に奥にある最深部エリア。
ダンジョンの深層以降のエリアでは、難易度向上のために攻略者優遇の類いの特異性ギミックの制限は解除される仕様だ。
そのため、出現する敵の数に制限はなく、奇襲といった先制攻撃もしてくるので、回帰前に攻略したギルドはこの墓地フィールドで大量のアンデッドに囲まれ、かなりの被害を出したと聞いた。
このまま無計画で足を踏み入れたら、魔王城に突入する前に無駄な消耗を強いられるのは間違いない。
「制限時間は後どのくらいだ?」
「正確な時間は分からないけど、今日1日は大丈夫だと思うわ」
「そうか……」
視線を眼前の墓地フィールドから手元のウィンドウへ移す。
〈システム〉のクエスト情報によれば、残り時間は約50時間。
エリスが感じている制限時間と俺が認識しているクエストの残り時間は、そもそも同じことを意味しているのだろうか?
制限時間内に目的地とやらに到着出来なければ、エリスは〈災厄の聖女〉の道を進むことになるらしい。
〈災厄の聖女〉になってしまうのは、ペナルティとか呪いみたいなものを受けた結果だと仮定すると、RPGなダンジョンのラスボスの魔王から呪いとかを受けてしまうのかもしれない。
この制限時間は魔王が動き出すまでの時間を示しているのだと考えれば、分からなくもない。
敵の呪いを受けた味方が、敵側に回るとかありそうな展開だしな。
逆に、〈救災の聖女〉は魔王を倒すための祝福を手に入れるとか、たぶんそんな感じだろう。
クエストの目的地が魔王城の内部なのは間違いないようだが、正確な場所までは分からない。
つまり、目的地に辿り着くまでどれほど時間がかかるかも分からないため、無数のアンデッドが出現する墓地フィールドでは時間は勿論、体力も魔力も無駄にするわけにはいかないというわけだ。
「となると、ここは俺が担当した方が早そうだな」
「どういう意味でしょう?」
「この墓地フィールドには無数のアンデッドが出現する。魔王城の城門に辿り着くまでに無駄な消費を強いられるのは目に見えているため、俺がこの剣の雷撃で纏めて一掃した方が効率的だ」
腰に佩いている堕天剣バラキエルを鞘の上から軽く叩いて見せる。
「大軍を一掃するなら私の魔法の方がいいんじゃないですか?」
「リリアが使える魔法の中にアンデッドに有効な属性の戦略級の魔法があるなら任せたいところだが……」
「……無属性を除くと、水に時間、あとは風の3属性だけですから、ありませんね」
「俺は相性の良い属性の火や光の魔法が使えるが、魔法を使うよりもバラキエルの方が魔力コスパが良いからな。それに、魔王城の中よりも墓地フィールドの方が雷撃を思いっきり使えるし適役だろ?」
俺の説明を聞いて、リリアだけでなくエリスも渋々頷いていた。
エリスは神聖魔法仕様の光属性魔法が使えるため、アンデッドには最適な人材だが、彼女は未だ体力も魔力も心許ない中級覚醒者でしかない。
そういう意味でも俺の方が適役なのだ。
「あ、そうだ。俺が経験値総取りするよりも、今のうちにエリーのレベルを上げておいた方がいいだろう。エリー、俺に適当に支援魔法を掛けてくれ。そうすれば、2人でアンデッドの大軍の経験値を分けられるはずだ」
「任せて。経験値稼ぎよろしくね。えっと、さっきマリヤに使った『聖なる守り』と『神聖強化体』よりも、『属性力強化』と『神聖武器化』の方が良さそうね」
2つの支援魔法が掛けられたのを確認すると、鞘からバラキエルを引き抜く。
漆黒の剣身に紫電を纏わせながら、彼女達に先行するようにして墓地フィールドへと足を踏み込んだ。
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