万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

文字の大きさ
5 / 153
第一章

第五話 ダンジョンについて

しおりを挟む


 ◆◇◆◇◆◇


「──はぁ。今月分の家賃を抜いたら残り10万切ったな。ギルドの勧誘を受けておくべきだったか?」


 天城先輩との再会から3日が経った。
 前世の様々なダンジョンを毎日のように走り回っていた日常から解放されたのもあって、この3日間は買い出し以外では自宅でダラダラとしていた。
 近場にダンジョンもないし、一番近いところにあるダンジョンもどこかのギルドの独占期間なので入ることはできない。
 通常入場可能なダンジョンで一番近いのは隣の県なので、移動時間も含めると少し面倒くさかった。


「何かやる気が出る情報でもないと動く気は出ないなぁ……ん?」


 ベッドの上で寝転がっていると目の前に半透明の板が出現した。
 〈システム〉のウィンドウが現れるのは回帰してすぐのチンピラ三人衆戦以来……いや、正確には装備品の情報を確認した時以来だが、一体今度は何だろうと思い画面を確認する。


○クエスト『ダンジョンを発見せよ』
 市内に未発見ダンジョンがあるようだ。現実世界に実体化する前に見つけ出せ。
 自然豊かな場所に異変があるかもしれない。
⚫︎成功報酬
→ダンジョン発見の経験が異能所持者に変換されます。
・追加システム〈ダンジョン探知〉
・追加システム〈広域マップ〉


 なんか凄いことが書かれてるんだが?


「ダンジョン探知って、実体化前のダンジョンも発見できるってことだよな? だとしたら凄い追加機能だな」


 ダンジョンは黒い塔として現実世界に存在しているが、そのように存在するまでには全部で3つの段階を経る必要がある。
 1段階目は、座標固定段階。
 何処にダンジョンが出現するかが確定した段階であり、目の前で見ても分かるか分からないかぐらいの空間の揺らぎがある。
 この予兆の段階では、ダンジョン出現予定地点に元々あった建物は普通に存在したままで、その場所を人や車などが行き来することも可能だ。

 2段階目は、限定出現段階。
 限定とあるように、限定的にダンジョンが出現している状態で、ダンジョンに入場した人数が一定数を超えるか、一定期間が経たない限りは現実世界に実体化しない。
 実体化までの入場人数に関しては、ダンジョンによってバラバラだが、大体は10人前後だ。
 期間に関してもダンジョンによって異なっている。
 視覚的には以前のままの光景だが、この段階からその場所を人や車などが行き来できなくなる。
 イメージとしては透明な壁が出現していると考えればいいだろう。
 完全な実体化前である限定出現段階のダンジョンには、通常時のダンジョンのように塔の下部に〈ゲート〉という魔力の渦型の出入り口は存在していない。
 ダンジョンが実体化していないことからゲートも実体化しておらず、代わりに限定出現段階のダンジョンの出入り口は、その出現場所に元々あった物の何かとゲート部分がリンクしている。
 そのため、この段階のダンジョンに入るには、まずゲートとリンクしている何かを探す必要がある。

 最後の3段階目は、現実空間への実体化段階であり、先日攻略したダンジョンもこの段階であり、これが一般的なダンジョンの状態だ。
 この段階になると、ダンジョンと覚醒者に関する様々なことを取り仕切る〈探索者協会〉がダンジョンを一時封鎖し、協会による簡単な調査が行われてからギルドによる初探索権の入札が行われる。
 初探索権の有効期間中は、その初探索権を購入したギルドのみがダンジョンを独占して探索することができる。
 独占期間が設けられるのは、ダンジョンごとに発見してすぐの一度限りであるため、多くのギルドがこの権利の獲得のために入札争いに参加する。
 なお、この独占期間の落札時に支払われた代金は、探索者協会の活動資金に充てられている。


「クエスト内容からして第2段階のダンジョンがあるわけか。市内で自然豊かな場所って何処があったっけ?」


 スマホを取り出すと、ネット情報と地図アプリを使って条件に合う場所をピックアップする。
 調べてみたところ、市内には条件に合う場所が幾つかあるようだった。
 殆どの場所が自分の足で探すには時間の掛かる険しい環境みたいだが、その点に関しては方法があるのでそこまで気にしていない。
 善は急げと言うし、さっそく向かうことにした。


「4箇所目で漸く見つけられたか。結構交通費がかかったな……」


 もう少し動線を気にして順番を考えるんだったか。
 まぁ、余計に金がかかっていた可能性もあるので、気にしないでおこう。
 視界に映る透明の塔型のシルエットを見据えた後、周囲に広がる草木を見渡す。
 先日手に入れた手のひらサイズの宝玉型アーティファクト〈月神の賢眼〉は、そのまま手に持ったまま使う方法以外にも、一時的に肉眼に同化させて名前の通り〈眼〉として使うことができる。
 〈月神の賢眼〉との同化状態では、非同化状態でも使える鑑定能力に加えて様々な能力を使用することができ、その一つが空間認識能力だ。
 この力を使って限定出現段階のダンジョンによる空間の揺らぎを認識し、こうして発見することができた。


「はぁ。結構魔力を喰うな。常時使用できるのはまだ先のことになりそうだ」


 〈月神の賢眼〉と同化している間は常に魔力を消費し続ける。
 現在の魔力の自然回復力よりも、同化状態の〈月神の賢眼〉による魔力消費の方が上回っているため、不使用時は同化を解除しておく必要があった。
 今も早く外したいぐらいには魔力消費がキツいが、ダンジョンの入り口とリンクしているモノを見つけるまではやっておきたい。
 程なくして視界内で強く魔力を発している木を見つけたので触れてみると、ゲートに触れた時と同じように木の幹へと手が沈んでいった。
 そのまま身体も通過させた先には、ダンジョン内の空間が広がっていた。


「一般的な迷宮タイプのダンジョンか。ダンジョンのある場所といい、俺の記憶にはないダンジョンだな」


 〈月神の賢眼〉を手に入れたダンジョンは、アーティファクト自体が有名だったのでダンジョンの場所についても記憶にあった。
 というよりも、昔住んでた家の近くだったから強く記憶に残ってたと言うべきか。
 それに比べると、ここには場所もダンジョンにも特徴がないため情報が全くなかった。


── クエスト『ダンジョンを発見せよ』が達成されました。
──達成報酬としてシステム機能に〈ダンジョン探知〉と〈広域マップ〉が追加されました。
──迅速にクエストが達成されました。
──特別報酬:各種能力値+10


 システムの特別報酬で各種能力値が10ずつ増えたとはいえ、下級覚醒者の身でダンジョンに挑むのは厳しいな。


「うーむ。クエスト報酬は手に入れたけど、せっかく見つけたのに一度も挑戦しないのは損だよな」

 
 レベルも上げたいし金も稼ぎたいから試しに挑戦してみるか……明日から。
 今は魔力を消耗しているから、家に帰って一晩休んでから挑むとしよう。
 そう決めると、踵を返してダンジョンを後にした。


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

転生したら幽閉王子でした~これどうすんの?

サクラ近衛将監
ファンタジー
 神様の眷属の過失が原因の事故に遭って死んだ桜庭雄一が異世界に転生したら、とある国の忌避すべき王子として幽閉されていた。  転生にはチートがつきもののはずだが、事故で死んだ者が300名を超えるために、個別にチートは与えられず、転生先の者の能力を生かせと神に告げられている。  「神の加護」ではないけれど、「恩寵」が与えられているので、当該異世界では努力を為した分、通常に比べると成果があるらしい。  これはとある国の幽閉王子に転生した男の冒険譚である。  原則として、毎週月曜日20時に投稿予定です。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

廻って異世界

フォウ
ファンタジー
 年四回季節の変わり目毎に風邪をひく病弱体質の俺は、いつものように風邪薬を貰いに行った帰り道で異世界に飛ばされてしまったようだ。  手元にあるのは、役に立たなさそうな日本のお金と風邪薬。  放り出されたのは、人1人いない大草原。  ……詰んだ。  ゲームの世界に転生?転移?してしまった俺は、ゲームキャラ達の力を借りて、生活拠点を整える。  けれど、色々ゲームとは違うようで……。  カクヨムでも連載しております。    注)挿絵のみAI利用です。    

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

処理中です...