新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵

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第三話 依頼と戦闘

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 ◆◇◆◇◆◇


「──なるほど。前回受注された指名依頼で破損したのですね?」

「ああ。今のところ大丈夫だが、見ての通り端末の画面が割れている上に手帳形態しか使えなくてな。これ以上壊れて中のデータが消える前に新しい端末に取り替えて欲しいんだ」

「そういう理由でしたら許可は出るかと思われます」

「それは良かった。金額は?」

「ベリエル様の探索者ランクとこれまでの活動実績から無償で交換させていただきます」


 良し! 予想通り無償交換だったな!
 探索者協会の職員の言葉に内心で大喜びしつつも、クールな表情は維持する。
 今使っている端末は探索者協会から希望する協会員に対して支給されるものであり、備わっている機能は最低限の物しかない。
 第1エリアに住んでいるわけでもなければ、コレで十分なので引き続き利用するつもりだ。


「2時間もあれば新しい端末はご用意できますが、如何なさいますか?」

「2時間か。それなら今日の依頼の帰りに受け取ろうかな」

「かしこまりました。では、そのように通達しておきます」

「よろしく。このまま依頼の話をしていいか?」

「はい。承ります。どうぞ」

「退院後のリハビリもしつつ金を稼ぎたいんだが、何か良い依頼はないか?」

「少々お待ちください」


 そのまま受付で待っていると、1分足らずで職員がお薦めの依頼を提示してくれた。
 それから職員と少し話をしてから依頼を受注し、探索者協会を後にした。


 ◆◇◆◇◆◇


 フォンという独特な音を鳴らしてから起動した魔導二輪車バイクのアクセルを回して荒野を駆け抜ける。
 探索者協会で借りたバイクのレンタル料は1日8万エィン。
 よって残り残金2万エィン。
 あっという間に手持ちの金が溶けていくことに寂寥感を抱きながらも、目的地へ向けてバイクを走らせていった。

 今回受けた依頼は、荒野にある違法薬物の生成プラントの破壊だ。
 第1次コロニー防衛戦時に建てられた前線基地の生成プラント跡を修理してから使っているようで、それなりの技術力を持つ闇組織が関わっていると資料には書かれていた。
 その闇組織が有する武装勢力が薬物プラントを守っているらしく、組織の規模から推定される数からすると、ベテラン探索者でもソロで挑めるのは一握りだけ。

 数を集めれば殲滅は容易だろうが、それだけ闇組織側に事前に気付かれる可能性が高まる。
 そのため、探索者協会も少数精鋭での遂行を望んでおり、そんな時に俺が偶然やってきた。
 ソロで遂行可能な一握りの探索者の中で、ちょうど手が空いているのが俺だけだったのもあって運良く受注することができたというわけだ。

 こういった武装勢力との戦闘が予想される依頼の場合、その武装勢力の装備は違法な物を除けば受注者の戦利品として扱われるのが殆どだ。
 この戦利品を売却すれば金になるので、俺が求めた条件に当て嵌まる上、今の装備よりも良いのがあれば装備を更新することもできる。
 退院したその日のうちに、良いこと尽くめの依頼を受けられたのはラッキーだったな。
 

「あそこが目標のプラントか」


 バイクを走らせること約1時間後。
 運良くモンスターに遭遇しなかったおかげで予定よりも早く到着することができた。
 プラントから少し離れた場所でバイクを停めると、物置き部屋から発掘した昔使ってた遠視ゴーグルでプラントを監視する。


「見える範囲で兵士が……8、いや10人か」


 外に最低8人の兵士がいることを確認すると、足音と気配を消してプラントに近付いていく。
 路地裏の孤児時代から自然と身に付けた【隠密】技能を用いて近付くと、先ほどの場所よりもプラントに近い岩陰に隠れる。
 そこから再び警備状況を目視で確認した後、地面に魔力を流してプラント一帯に気配の数を探知する。
 魔力と生来の感知機能を駆使することで可能な【索敵】技能によって分かった数は、外に8人、中に25人だった。
 その全てが武装勢力の戦闘員かは分からないが、少なくとも30人以上の人がいることは分かった。
 あとは獲物を順番に狩っていくだけだ。


「これ以上近寄ると見つかるな……あそこが良いな」


 プラントの近くに聳え立つ細長い岩を見つけたので、敵に見つからないようにそこまで遠回りをして移動する。
 細長い岩を登っていき頂点に到着すると、そこからタイミングを計って天高く飛び上がった。
 空中で一回転してから位置を調整し、外の警備をしている戦闘員達の真っ只中に着地する。

 
「は?」

「じゃあな」


 着地した体勢のまま横回転しながら右手で風月を鞘から抜き放ち、周囲を薙ぎ払う。
 数瞬後、周りにいた戦闘員5名が腰から真っ二つになり死んだ。
 その間に素早く腰のホルスターから引き抜いたベルベットの引き金を3度引いて、残る3人の警備も始末した。


「んー。多少動きが遅い気もするけど、そこは装備のグレードの差かな。まぁ、大丈夫だろう」


 周囲を索敵しながら倒した敵の装備品を漁る。
 違法な金を稼いでいる闇組織お抱えの武装勢力の戦闘員なだけあって、意外と良い装備をしている。
 ただ、品質や整備状態の面から比較すると、殆どの戦利品よりも今の装備の方が上のようだ。
 となると、今すぐ使えるような物は必然的に消耗品の類いが殆どだった。
 その中からリーヴMkⅢやベルトに装着できる物は装着し、それら以外の殆どは亜空間ポーチに突っ込んでおいた。
 自分で使わない分の装備品に関しては、適当にその辺の物陰に積んでおいて帰りに回収するとしよう。



 
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