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第十話 襲撃開始
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「──何者だテメェはッ!」
「包帯を巻いた怪しい奴めッ!」
スラム街にあるドランクタスクのアジトの1つに正面から入ると、建物の入り口を警備していた2人の構成員達から銃を向けられた。
念のため顔を隠しておこうと常備している医療用包帯を頭に巻いておいた。
怪しい奴呼ばわりされたが、素顔を見られるよりはマシだろう。
「落ち着けよ。俺は探しものがあってきたんだ」
「探し物?」
「ああ。探し者だ。ほら、手を上げるから教えてくれよ」
両手を上げる途中で籠手の一部をスライドさせ、露出した赤い球体から攻性レーザーを照射した。
両手の籠手から照射したレーザーが、目の前にいる2人の構成員の頭部を貫通する。
警備の構成員達は何が起こったか分からず一度だけ瞬きをした後、白目を剥いて崩れ落ちた。
「フッ、やはり奇襲にはピッタリな機能だな」
【索敵】で気配を探りながら倒した奴らから武器などを拝借する。
スラム街で手に入る銃は、使用者の魔力を使って銃弾を自動生成する魔力弾式か、俺のベルベットのように実弾と魔力弾の複合式の2種が殆どだ。
これはスラム街では実弾を安定供給できないのが理由であり、つまり実弾を扱う銃器はそれだけ貴重ということになる。
「それなのに実弾銃か……スポンサーがいるな」
コロニー内か、あるいは別のコロニーか。
もしそうなら厄介なことになるかもしれないな。
まぁ、今更止めるつもりはないので、その時はその時だ。
回収したマガジンを確認すると、どのマガジンも同じ型の実弾なので実弾銃は一挺だけで充分だろう。
手に入れた全てのマガジンを強化服〈リーヴMkⅢ〉の腰のアタッチメントに連なるように装着する。
すぐにマガジンを装填できるようにすると、扉をゆっくりと開ける。
「……まぁ、レーザーだから銃撃音も無いし気付かないわな」
このあたりの警備網の杜撰さはスラム街の組織らしい。
技術的にも教育的にも普通なんだろうが……仮にスポンサーが付いていても、支援は表面的な範囲に限られているのかもしれないな。
そんな些細な朗報を喜びつつアジト内を慎重に歩いていく。
特殊技能の【隠密】で気配を隠し、【索敵】で自分以外の気配を探す。
曲がり角に監視カメラが見えたので、物陰に身を潜めたまま壁に手を当て、メタトロンの固有能力【支配】を使う。
壁の中に機神粒子を潜らせていき、天井にある監視カメラへと到達させる。
そこからアジト内のシステムにハッキングを仕掛け、各種警報機器を停止させた。
「……嘘の情報を流せるなら良かったんだが。強制的に停止できるだけマシか」
監視カメラをはじめとした警報機器を無効化すると、一気にアジトを駆けていく。
廊下を走りつつも足音は可能な限り消すのを忘れない。
感知した気配のところに飛び込むと、素早く武器を使用する。
「なっ」
「誰ギャッ!?」
タバコを吸いながらボードゲームをしていた3人の構成員に向かって実体刀を抜き放つ。
鞘から抜き放った刀身をレーザーブレード化して構成員達を薙ぎ払う。
全員座っていたので上手い具合に一太刀で全員殺せた。
銃火器は幾つもあるが、レーザー銃でもない限りは銃撃音が鳴るので近接攻撃で対処した方がいい。
なお、1番の理由は銃弾と魔力が勿体ないからである。
「フゥ。さて……意外と現金を持ってるな」
3つの死体を漁るとそれなりの額の現金が出てきた。
此処に来る前に倒したジャンク屋の店主のような事業者でもなければ、このスラム街で電子式金銭を扱ったりしない。
これは他の事業者との取引や仕入れなどで大金を動かす際に現金のみだと不便だからだ。
なので、コイツらのような下っ端は現金のみで充分なのだ。
「少なくとも金払いは良い組織みたいだな」
入り口にいる奴らもまぁまぁ持っていたし、これは良い金脈を見つけたかもしれないぞ。
ホクホク顔で金を懐に納めると、引き続きアジト内の狩りを行う。
探索者協会で受けた依頼のターゲットを探す目的で襲撃を仕掛けたのだが、これは別の意味でもやる気が出るな。
「ぎゃ!?」
「ぶぺっ」
「グァ!?」
アジトに突入してから10分後。
遂に敵側に見つかったので銃撃音を気にすることなく銃火器をぶっ放していく。
ここまでの狩りで大量のマガジンを回収しており、弾切れを気にすることなく実弾銃の引き金を弾き続けてフルオート射撃を行う。
惜しみなく銃弾をばら撒いているおかげで、次々と敵が倒れていく。
実弾が魔力弾より優れている点は破壊力にある。
高ランクの魔力弾銃ならば実弾を上回る威力の魔力弾を放つタイプもあるが、その分だけ魔力消費が激しくなる。
実弾銃は金が必要で、魔力弾銃は魔力が必要とコスト面の違いは分かりやすい。
同ランクならば実弾銃の方が制圧力は高いため、多数の敵の掃討にはこちらの方が有効だ。
「チッ、物陰に隠れるんだ!!」
「クソッ! なんなんだよ、あの包帯野郎は!?」
物陰に隠れた敵に向けて引き金を引きながら、片手で手榴弾のピンを抜いて投げる。
投げた手榴弾が爆発し、遮蔽物ごと敵を吹き飛ばした。
全部ここで手に入れた戦利品なので消耗を気にすることなく使っていく。
これだから武装勢力の相手をするのは好きなのだ。
特にこういった屋内での戦闘は非常にやりやすい。
「それにしてもターゲットがいないな。このアジトは外れか」
残る敵の気配は目の前にいる分だけなので此処にいないのは間違いないだろう。
ジャンク屋の店主から聞き出した情報によれば、ターゲットが護衛しているドランクタスクの幹部がいそうな場所は複数あるそうだ。
「次の場所にいるといいんだがな」
このアジト最後の敵を撃ち抜くと、素早く戦利品を回収して次の場所へと移動した。
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