新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵

文字の大きさ
10 / 28

第十話 襲撃開始

しおりを挟む


 ◆◇◆◇◆◇


「──何者だテメェはッ!」

「包帯を巻いた怪しい奴めッ!」


 スラム街にあるドランクタスクのアジトの1つに正面から入ると、建物の入り口を警備していた2人の構成員達から銃を向けられた。
 念のため顔を隠しておこうと常備している医療用包帯を頭に巻いておいた。
 怪しい奴呼ばわりされたが、素顔を見られるよりはマシだろう。


「落ち着けよ。俺は探しものがあってきたんだ」

「探し物?」

「ああ。探しだ。ほら、手を上げるから教えてくれよ」


 両手を上げる途中で籠手の一部をスライドさせ、露出した赤い球体から攻性レーザーを照射した。
 両手の籠手から照射したレーザーが、目の前にいる2人の構成員の頭部を貫通する。
 警備の構成員達は何が起こったか分からず一度だけ瞬きをした後、白目を剥いて崩れ落ちた。


「フッ、やはり奇襲にはピッタリな機能だな」


 【索敵】で気配を探りながら倒した奴らから武器などを拝借する。
 スラム街で手に入る銃は、使用者の魔力を使って銃弾を自動生成する魔力弾式か、俺のベルベットのように実弾と魔力弾の複合式の2種が殆どだ。
 これはスラム街では実弾を安定供給できないのが理由であり、つまり実弾を扱う銃器はそれだけ貴重ということになる。


「それなのに実弾銃か……スポンサーがいるな」


 コロニー内か、あるいは別のコロニーか。
 もしそうなら厄介なことになるかもしれないな。
 まぁ、今更止めるつもりはないので、その時はその時だ。
 回収したマガジンを確認すると、どのマガジンも同じ型の実弾なので実弾銃は一挺だけで充分だろう。
 手に入れた全てのマガジンを強化服〈リーヴMkⅢ〉の腰のアタッチメントに連なるように装着する。
 すぐにマガジンを装填できるようにすると、扉をゆっくりと開ける。


「……まぁ、レーザーだから銃撃音も無いし気付かないわな」


 このあたりの警備網の杜撰さはスラム街の組織らしい。
 技術的にも教育的にも普通なんだろうが……仮にスポンサーが付いていても、支援は表面的な範囲に限られているのかもしれないな。

 そんな些細な朗報を喜びつつアジト内を慎重に歩いていく。
 特殊技能の【隠密】で気配を隠し、【索敵】で自分以外の気配を探す。
 曲がり角に監視カメラが見えたので、物陰に身を潜めたまま壁に手を当て、メタトロンの固有能力【支配】を使う。
 壁の中に機神粒子を潜らせていき、天井にある監視カメラへと到達させる。
 そこからアジト内のシステムにハッキングを仕掛け、各種警報機器を停止させた。


「……嘘の情報を流せるなら良かったんだが。強制的に停止できるだけマシか」


 監視カメラをはじめとした警報機器を無効化すると、一気にアジトを駆けていく。
 廊下を走りつつも足音は可能な限り消すのを忘れない。
 感知した気配のところに飛び込むと、素早く武器を使用する。


「なっ」

「誰ギャッ!?」


 タバコを吸いながらボードゲームをしていた3人の構成員に向かって実体刀を抜き放つ。
 鞘から抜き放った刀身をレーザーブレード化して構成員達を薙ぎ払う。
 全員座っていたので上手い具合に一太刀で全員殺せた。
 銃火器は幾つもあるが、レーザー銃でもない限りは銃撃音が鳴るので近接攻撃で対処した方がいい。
 なお、1番の理由は銃弾と魔力が勿体ないからである。


「フゥ。さて……意外と現金を持ってるな」


 3つの死体を漁るとそれなりの額の現金が出てきた。
 此処に来る前に倒したジャンク屋の店主のような事業者でもなければ、このスラム街で電子式金銭を扱ったりしない。
 これは他の事業者との取引や仕入れなどで大金を動かす際に現金のみだと不便だからだ。
 なので、コイツらのような下っ端は現金のみで充分なのだ。


「少なくとも金払いは良い組織みたいだな」


 入り口にいる奴らもまぁまぁ持っていたし、これは良い金脈を見つけたかもしれないぞ。
 ホクホク顔で金を懐に納めると、引き続きアジト内の狩りを行う。
 探索者協会で受けた依頼のターゲットを探す目的で襲撃を仕掛けたのだが、これは別の意味でもやる気が出るな。
 
 
「ぎゃ!?」

「ぶぺっ」

「グァ!?」


 アジトに突入してから10分後。
 遂に敵側に見つかったので銃撃音を気にすることなく銃火器をぶっ放していく。
 ここまでの狩りで大量のマガジンを回収しており、弾切れを気にすることなく実弾銃の引き金を弾き続けてフルオート射撃を行う。
 惜しみなく銃弾をばら撒いているおかげで、次々と敵が倒れていく。
 
 実弾が魔力弾より優れている点は破壊力にある。
 高ランクの魔力弾銃ならば実弾を上回る威力の魔力弾を放つタイプもあるが、その分だけ魔力消費が激しくなる。
 実弾銃は金が必要で、魔力弾銃は魔力が必要とコスト面の違いは分かりやすい。
 同ランクならば実弾銃の方が制圧力は高いため、多数の敵の掃討にはこちらの方が有効だ。


「チッ、物陰に隠れるんだ!!」

「クソッ! なんなんだよ、あの包帯野郎は!?」


 物陰に隠れた敵に向けて引き金を引きながら、片手で手榴弾のピンを抜いて投げる。
 投げた手榴弾が爆発し、遮蔽物ごと敵を吹き飛ばした。
 全部ここで手に入れた戦利品なので消耗を気にすることなく使っていく。
 これだから武装勢力の相手をするのは好きなのだ。
 特にこういった屋内での戦闘は非常にやりやすい。


「それにしてもターゲットがいないな。このアジトは外れか」


 残る敵の気配は目の前にいる分だけなので此処にいないのは間違いないだろう。
 ジャンク屋の店主から聞き出した情報によれば、ターゲットが護衛しているドランクタスクの幹部がいそうな場所は複数あるそうだ。


「次の場所にいるといいんだがな」


 このアジト最後の敵を撃ち抜くと、素早く戦利品を回収して次の場所へと移動した。


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

僕だけレベルダウンな件〜敵を倒せば倒すほど弱くなるので、目立たずスローライフを目指します〜

小林一咲
ファンタジー
まったく数奇な人生である。 僕の名前は橋本 善。 正真正銘の日本人だが、今は異世界にいる。 理由なんてわかるはずがない。 死んだのか、はたまた何かの召喚に巻き込まれたのか。 僕には固有スキルがあった。 それは、スキル【レベルダウン】。 魔物を倒し、経験値を得るほどレベルやステータスがさがるというものだ。 だから僕は戦わない。 安心安全のスローライフを目指すんだ!!

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...