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第十七話 探索開始
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周りの岩肌と同じ姿に偽装されていた遺跡の出入り口が開かれていく。
扉が左右にスライドしていくと同時に偽装が解除され、目の前に人工物の壁が現れた。
入り口の先には暗闇が続いており、地面の傾き具合からも地下へと向かっているのが分かる。
「では、これより遺跡の中へ突入する。全員、気を引き締めろ!」
探索隊のリーダーであるレイジの号令を受けて、遺跡の中を探索する17人全員が遺跡の中へと下っていく。
俺を含めた【索敵】の特殊技能の練度が高い5人が索敵役として全員を先導する。
遺跡内の電源は入っていないらしく、周囲は暗闇に包まれている。
だが、全員が暗視機能がある装備を身に付けているため暗闇を苦にすることなく進んでいく。
「……ずっと斜面だな」
「そうだな。思ったより深い」
同じ索敵役である1人の独り言に相槌を打つ。
遺跡を下り始めて5分以上が経っているが、未だに道が曲がることも踊り場に出ることもない。
変わらずに同じ角度の坂を下っていくのみだった。
地面の材質は非常に硬質で、ちょっとやそっとのことでは壊れるようには感じられない。
「そろそろドローンが破壊されたというポイントだ。全員警戒してくれ」
レイジの言葉に全員が警戒を強める。
この遺跡を初めて発見した際に、ドローンによる先行偵察が幾度となく行われたが、一定の地点に到達するとドローンは謎の攻撃を受けて破壊されたらしい。
外部から人を雇ったのは、遠隔操作の機械で探るよりも生の人間の方が臨機応変に対応できるから。
その上、ドローンと同じようにやられても報酬を支払う必要が無くなるだけで、依頼者側が負うリスクは殆どない。
依頼を受けた者を使い捨てにするような依頼は、探索者協会を通さない非正規の依頼では珍しくない。
なので、今は地上に残っている依頼者の私兵達が俺達を馬鹿にした内容の会話をしていても、気にせず聞き流すことができる。
それに、おそらく地上にいる奴らは……。
「ッ! 止まれ」
ゴーグル型の高性能な情報機器を装着している索敵役の1人が声を上げる。
彼の言われた通りに動きを止めると、彼が指差す物を注視する。
そこには何かの機械の残骸が転がっているのが見えた。
十中八九、先行偵察時に破壊されたドローンだろう。
「警戒しろ」
「このあたりか……」
「一体何処に、横に跳べッ!!」
ゾワリとした嫌な感覚から逃れるように警告しながら横に飛び退く。
次の瞬間、真上から何かが照射され、地面を激しく打ち付けた。
視界の中で弾ける魔力以外に残る物が何も無いことから、今のが魔力弾であることが分かる。
その弾道を逆に辿ると、頭上の天井の一部が窪んでおり、そこに銃座のようなものがあるのが見えた。
「頭上、銃座1ッ!」
大型ハンドガンを素早く構えて引き金を引く。
中身も外側も【改造】により強化されたハンドガンの銃口から放たれた銃弾が銃座を穿つ。
跳弾のことを考えて、使用したのは魔力弾だが、その威力はベルベットの比ではない。
魔力砲のデータにより今の魔力弾の威力はベルベットの時の実弾並みに上がっている。
その魔力弾を一息に3発撃ち込むと、銃座は火花を散らしながら爆発した。
最初の銃座の破壊を皮切りに、同じように地上から降りてくると見つけ難い場所に隠されていた多数の銃座から銃弾の雨が降り注ぐ。
銃弾の雨を躱わし、反撃しながら他のメンバーの様子を窺う。
リーダーであるレイジは、専属の護衛2人が展開した対物魔シールドによって守られているので問題ない。
暗殺者のアザカは不審な動きをすることなく真面目に戦っている。
アザカ以外の要注意人物達も銃座の銃撃に対処しているため、今のところは対人戦を気にする必要はなさそうだ。
戦闘開始から数十秒後。
確認された全ての銃座を破壊し終えると被害状況の確認を行なった。
「死者2人。負傷者3人か。奇襲を受けて死傷者が出たが、俺達がいるのはまだ入り口のあたりだ。遺跡の中に何があるかを確認しなければ退くことはできない。探索は続行する」
「「「了解」」」
復路のことを考えて、落ちてきた銃座の残骸と死体を通路の端へと寄せて道を確保してから、再び坂道を下りていく。
角度的に見え難い場所を警戒しながら歩いていくと、遂に坂道が終わり平坦な床へと到着した。
そこにも隔壁の如き扉があったが、遺跡の入り口とは違って扉に触れるだけで自動で開いていった。
「照明は変わらず点いてないけど、遺跡の電源は生きてるみたいですね」
「そのようだな。ここからが本番だ」
後方から聞こえてくるレイジと誰かの会話に耳を傾けながら索敵を行う。
やはり、生物の気配は感じられないな。
扉の先にはだだっ広い空間が広がっており、そこの壁際には大小様々なコンテナが集積されていた。
物資集積庫らしき空間をざっと確認してから更に先へと歩いていく。
大量のコンテナが積み上げられた場所のすぐ近くにあった隔壁扉が自動で開くと、その先には人が行き来できるほどの広さを持つ通路が伸びていた。
その通路に入った途端、次々と天井付近に設置された照明に光が灯っていった。
「ここからは必要なさそうだな」
暗視機能付きゴーグルを外して頭の上に上げると、他の者達も同じように暗視装備を解除していく。
明るくなったのは良いのだが、点灯したのは危険度が上がることを意味しているように感じてならない。
探索隊の数は残り15人。
内にも外にも不安要素を抱えているが、この中の何人が無事に地上に戻れるのやら。
俺だけでも生きて戻れるように最善を尽くすとしよう。
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