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第十六話 遺跡到着
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コロニーを出て3日後。
未発見遺跡探索隊は遂に目的地に到着した。
移動手段である装甲車両には窓が無くて外の様子は見えなかったが、機械を支配するメタトロンの固有能力によれば、現在地はコロニーから東へ100キロメトルほど進んだ場所。
そこが未発見の遺跡がある座標だった。
今回のような秘匿性の高い依頼では、一般的な連絡手段である端末の持ち込みは禁止されている。
まぁ、外部との連絡を取る方法は端末以外にいくらでもあるが、そのような怪しい動きをしていたら契約違反になる。
仮に連絡を取るにしても、少なくとも他人の目があるところでは大人しくしているだろう。
「非正規の依頼なだけあって参加者にも色々な思惑があるな……」
この3日間、度々メタトロンの固有能力【支配】を基本能力【強化】で強化して探索隊のメンバー達が持ち込んでいる機械を遠隔支配した。
機械を奪うためではなく情報を集める目的で干渉した結果、純粋に依頼の報酬目的で参加している者達は一部だけであることが分かった。
[〈代行者〉が超過稼働しました]
[適合者と〈代行者〉の同化が進みます]
[同化率3%→5%]
[現在の〈代行者〉の同化率は5%です]
メタトロンの力を酷使した所為で同化率が進んでしまったが、その甲斐はあった。
「情報収集に略奪、そして暗殺か。未発見の遺跡なだけあって物騒だなー」
まぁ、そのあたりの危険も織り込み済みだったから特に動揺していないけど。
前の日に遺跡から少し離れた丘の上に築かれた野営地、その中の俺達増員組用に割り振られたエリアにある俺の個室の中で出発の準備を行う。
俺達のような外部から依頼をやってきた者達の役割は脅威の排除。
この場合の脅威とは、遺跡の防衛機構や遭遇したモンスターだけでなく、敵対する人間なども対象になる。
つまり、対人戦も考慮しておく必要がある。
「リーヴスラシル、閃甲手、テンペスト、ハイドラ……まぁ、これだけあれば大丈夫か?」
強化魔動服〈リーヴMkⅢ〉にメタトロンの【強化】のデータなどを組み込んで【改造】した超強化魔動服〈リーヴスラシル〉。
ドランクタスクとの一戦時に作ったレーザー銃を内蔵した名無しの籠手を雛型にして、多数のジャンク品のパーツとデータで改造した多機能式機巧手甲〈閃殻闘手〉。
刀身の長さを伸縮自在に変えられる液体金属製刀剣〈風月〉を実体刀型レーザーブレードのデータで【改造】した、光刃化機能付き液体金属製刀剣〈テンペスト〉。
実弾と魔力弾の両方を使用可能な魔導機巧銃〈ベルベット〉に、重魔導ライフルや魔力砲などのデータを組み込み【改造】した多機能式魔導機巧銃〈ハイドラ〉。
先日のドランクタスクとの一件で得た戦利品のおかげで、俺の装備の性能は飛躍的に向上した。
一部の性能はまだ入院以前の装備に劣るが、7割ぐらいは戦力を取り戻せたと思う。
依頼の目的地である遺跡までの道中でも度々【改造】を実施したことによる代償は大きかったが、それだけの価値はあった。
だが同時に、新たな懸念事項も生まれてしまったのだが。
[適合者と〈代行者〉の同化が進みます]
[同化率5%→8%]
[現在の〈代行者〉の同化率は8%です]
[〈代行者〉の第1次解放に近付いてきました]
[同化率10%になると制限が解除されます]
メタトロンの【改造】を多用して同化率が進んだ結果、第1次解放とかいう気になる情報が出てきた。
制限が解除されるというからにはパワーアップするんだろうが……これって全ての制限が解除されたら機神と化してしまうのでは?
「……うむ。念のため更に改造しておこうかと思ったが、やはり必要最低限にしておくべきだな」
【改造】からの誘惑を我慢すると、最後に〈無垢の白面〉を装着する。
ディアボロという偽りの顔になったのを手鏡で確認し、ちゃんと声が変わっているかの確認も行う。
今日も全て問題ないことを確認してから個室を出た。
「あら、ディアボロ。おはよう。よく眠れたかしら?」
「……ああ。今日もよく眠れたよ」
通路の先から歩いてきたアザカが朝の挨拶をしてきたので無難に挨拶を返しておく。
朝から目の保養になる相手に会えて幸運だったが、同時に朝一から幸先の悪い相手に会ってテンションが下がった。
アザカ・サリーティス。
その詳しい正体までは分からないが、メタトロンの力で情報を集めたことで判明しているのは、このエロい鬼人族の女は誰かに雇われた暗殺者だということだけ。
暗殺者であるアザカの標的が誰かは分からなかったが、支配済みの彼女のピアス型通信機器の通信内容からも、殺しの依頼で探索隊に潜り込んだのは間違いないようだ。
「朝食はもう摂ったの?」
「ああ」
「いつも通り栄養バーだけ?」
「そうだ」
「他の人達と一緒に食事をすればいいのに」
「前にも言ったが、仕事中は他人が作った料理は食べない主義なんだ」
「そう。今日まで1度も私が作った料理を食べてくれなかったのは残念だわ」
アザカは初日から調理班の手伝いに加わっている。
色仕掛けで調理班に潜り込みはしたが、料理の腕前自体は本物なようでかなり美味いらしい。
美味いと評判の料理の味は正直気になるが、暗殺者が振る舞う料理なんて怖すぎて食べられない。
毒が仕込まれている可能性を考えて、今日まで栄養バーのみで過ごした。
依頼者側が用意した食事を食べなかった者は俺以外にもいるが、その数は少ない。
アザカが暗殺者だということを教えられれば良かったんだが、メタトロンの存在が露見するかもしれないので放置するしかない。
あと、高額の報酬を受け取るためにも依頼を途中で中止させるわけにもいかないので、そういう意味でも放置一択だ。
迂闊にも外部の者を調理に加わらせた依頼者側が悪いということで、毒が仕込まれていないことを信じて、このまま依頼を続行するとしよう。
「そろそろ集合時間だ。移動しよう」
「ええ。良い天気……今日は良い日になりそうね」
「ああ、本当にな」
雲一つ無い青空を見上げながらのアザカの言葉に同意すると、俺達用の仮設住居から集合場所へと歩いていった。
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