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マジカルテキスト3
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教室は、円形の階段状になっていた。
中央には大きな魔法陣が刻まれ、その上に一人の人物が立っている。
「――静かに」
低く、よく通る声だった。
ざわついていた新入生たちが、一斉に口を閉じる。
凪は思わず背筋を伸ばした。
「私は、本日より君たちを担当するティーチャーだ」
その言葉を聞いた瞬間、凪の心臓が跳ねた。
――ティーチャー?
思わず顔を上げる。
だが、中央に立つ人物は、あの日の記憶の中の姿とは違っていた。
年齢も、雰囲気も、まるで別人だ。
(……違う?)
教師は黒板代わりの魔法板に手をかざし、文字を浮かび上がらせる。
《マジカルテキスト概論》
「まず最初に、重要なことを説明しよう」
教師は淡々と続ける。
「ティーチャーとは役職名ではない。
マジカルテキストを正式に扱う資格を持つ者の総称だ」
教室が、わずかにざわついた。
凪は、その言葉を頭の中で何度も反芻する。
(……総称?)
「つまりだ」
教師は指を鳴らし、宙に数冊の魔法書を浮かべた。
「我々教師も、君たちが将来目指す存在も、
すべて“ティーチャー”と呼ばれる」
その瞬間、凪の胸の奥に、言いようのない感情が広がった。
――じゃあ、あの人も。
あの日、自分を助けてくれた魔法使いも、
ただ一人の特別な存在じゃなく、
マジカルテキストを使える者の一人だったということなのか。
「ヒューリーワールドは、君たちをティーチャーへと導く場所だ」
教師の声が、遠くに聞こえる。
凪は、ぎゅっと拳を握った。
(それでも……)
名前が役職だろうと、総称だろうと関係ない。
自分にとって、あの人は――
「……俺の、ティーチャーだ」
誰にも聞こえない声で、凪は呟いた。
隣を見ると、あくあが興味深そうに前のめりになっている。
デスくんはというと、すでに半分理解を放棄した顔だ。
だが凪だけは、違った。
この学校に来た意味が、
少しだけはっきりした気がしたからだ。
――ティーチャーになる。
そうすれば、きっと分かる。
あの人が何者だったのか。
そして、なぜ自分を助けたのか。
ヒューリーワールドは、
ただの学園ではない。
凪は、そう確信し始めていた。
中央には大きな魔法陣が刻まれ、その上に一人の人物が立っている。
「――静かに」
低く、よく通る声だった。
ざわついていた新入生たちが、一斉に口を閉じる。
凪は思わず背筋を伸ばした。
「私は、本日より君たちを担当するティーチャーだ」
その言葉を聞いた瞬間、凪の心臓が跳ねた。
――ティーチャー?
思わず顔を上げる。
だが、中央に立つ人物は、あの日の記憶の中の姿とは違っていた。
年齢も、雰囲気も、まるで別人だ。
(……違う?)
教師は黒板代わりの魔法板に手をかざし、文字を浮かび上がらせる。
《マジカルテキスト概論》
「まず最初に、重要なことを説明しよう」
教師は淡々と続ける。
「ティーチャーとは役職名ではない。
マジカルテキストを正式に扱う資格を持つ者の総称だ」
教室が、わずかにざわついた。
凪は、その言葉を頭の中で何度も反芻する。
(……総称?)
「つまりだ」
教師は指を鳴らし、宙に数冊の魔法書を浮かべた。
「我々教師も、君たちが将来目指す存在も、
すべて“ティーチャー”と呼ばれる」
その瞬間、凪の胸の奥に、言いようのない感情が広がった。
――じゃあ、あの人も。
あの日、自分を助けてくれた魔法使いも、
ただ一人の特別な存在じゃなく、
マジカルテキストを使える者の一人だったということなのか。
「ヒューリーワールドは、君たちをティーチャーへと導く場所だ」
教師の声が、遠くに聞こえる。
凪は、ぎゅっと拳を握った。
(それでも……)
名前が役職だろうと、総称だろうと関係ない。
自分にとって、あの人は――
「……俺の、ティーチャーだ」
誰にも聞こえない声で、凪は呟いた。
隣を見ると、あくあが興味深そうに前のめりになっている。
デスくんはというと、すでに半分理解を放棄した顔だ。
だが凪だけは、違った。
この学校に来た意味が、
少しだけはっきりした気がしたからだ。
――ティーチャーになる。
そうすれば、きっと分かる。
あの人が何者だったのか。
そして、なぜ自分を助けたのか。
ヒューリーワールドは、
ただの学園ではない。
凪は、そう確信し始めていた。
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