マジカルテキスト

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マジカルテキスト13

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 村雨。

 その名は、ヒューリーワールドの記録の中でも、異質だった。

 かつて、凪を救ったティーチャー。
 だが、その行為に「正義」や「使命感」を見出す者はいない。

 ——気まぐれだった。

 それが、村雨を知る者たちの共通認識だった。

 彼がまだヒューリーワールドに在籍していた頃。
 成績は最悪。

 授業は聞かない。
 座学には一切興味を示さず、
 実技では——魔力が制御できなかった。

「才能はあるが、危険すぎる」

 当時の教師の評価は、それに尽きる。

 魔法を放てば、威力は異常。
 だが、狙いは定まらず、制御も効かない。

 仲間を巻き込み、施設を壊し、
 何度も問題を起こした。

 それでも——
 彼は卒業している。

 理由は単純だった。

 強すぎたのだ。

 ヒューリーワールドは、結果を重んじる。
 村雨は、試験を力でねじ伏せた。

 だが、卒業後の足取りは途絶える。

「非行に走った」
「裏の仕事をしている」
「もう魔法使いをやめた」

 噂だけが、尾ひれをつけて広がった。

 そんな男が——
 なぜ。

 なぜ、凪を救ったのか。
 なぜ、名もない小さな村を救ったのか。

 義務でもない。
 報酬もない。
 名誉も残らない。

 ただ、そこに居合わせたというだけで。

 理由は、記録にない。
 本人も、語っていない。

 それが、
 村雨という男の最大の謎だった。

 そして——
 その“気まぐれ”が、
 今もなお、凪の運命を動かし続けている。


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