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マジカルテキスト14
しおりを挟む準備は、整っていなかった。
作戦も、覚悟も、時間も——
すべてが足りないまま、その時は来た。
空が、割れた。
ヒューリーワールド近郊の森が、悲鳴を上げるように揺れる。
結界が警告音を鳴らし、空気が灼ける。
「……来たか」
学長が杖を構える。
巨体が、雲を押しのけて姿を現した。
ルシファードラゴン。
森を守る神話級存在。
鱗は黒曜石のように光り、呼吸一つで大地が軋む。
ただ“そこにいる”だけで、魔力濃度が跳ね上がった。
「全隊、防御陣形!」
カツラギが叫ぶ。
特級魔法使いたちが前に出る。
——その背後。
「な、なんで俺たちまで……!」
凪たちは、応援として後方に駆けつけていた。
あくあは震える手でテキストを握る。
「近すぎる……!」
「中級が立つ距離じゃないデス……」
デスくんですら、表情が硬い。
ルシファードラゴンが、首をもたげた。
咆哮。
それだけで、結界が悲鳴を上げる。
「——来るぞ!」
学長が魔力を解放する。
だが、その瞬間だった。
空が、白く染まった。
一筋の雷。
詠唱はない。
魔法名も、兆候もない。
ただ、
“裁き”のように。
雷は、正確に——
ルシファードラゴンの額を貫いた。
轟音。
光。
そして——
巨体が、
そのまま崩れ落ちた。
沈黙。
誰も、声を出せない。
……倒れた?
あれほどの存在が?
一撃で?
凪は、ただ呆然と立ち尽くす。
(今の……誰が……?)
空には、まだ雷の残光が漂っていた。
。
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