求婚してくれたのは、最愛の人の弟でした~兄の執着、弟の純情~

かべうち右近

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8.愛撫をされて ※

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 ついさっき、ロメオと愛を確かめあったばかりのはずのベッドの上で、アンナは彼に両腕を押さえつけられている。ベッドに乗り上げたジェレミオは固い表情のままだ。

「ほら、脱がさないであげたからさ。ショーツを脱がせて。アンナのいやらしいところをもっとちゃんと見てあげなよ」

「いやあ……っ」

 アンナの叫びも虚しく、するりとショーツの結び目は解かれた。

「見ないで……!」

 開かれたままの太ももを閉じようと試みるも、ジェレミオの腕は強い。もともと下着をずらされていたから丸見えだったが、これでは隠しようがなかった。

(ジェレミオが……見てる……!)

 それを意識しただけで、ぱっくりと割れて開いた入り口がひくん、とうねって蜜が零れる。先ほどまで男根を受け入れていたから中はまだとろとろだ。今すぐにでもジェレミオを受け入れることができるだろう。だがジェレミオはそうはしないで、蜜壺から垂れた透明な愛液をまじまじと見つめてから、ロメオに目をやった。

「中には、出さなかったのか」

「そりゃあね。一応は気をつかうよ」

「……」

 ジェレミオは眉間の皺を増やしただけで答えない。

「二人とも、こんなことやめて! わ、私がちゃんと、求婚状を読まなかったのが悪かったから……あ、謝るから……」

 何に謝るのかもわからないまま、この状況から逃げ出したくてアンナは訴える。

「はは、やめるなんてできるわけないでしょ? だってもう、アンナの婚約者はジェレミオなんだよ? 早く中に子種をたっぷりもらわないとね?」

「なんで、そんなこと言うの!? ……っジェレミオならやめてくれるよね?」

 拘束されたままの姿勢で、一縷の望みをかけてアンナはジェレミオを見る。いつだって彼はアンナに優しくしてくれた。縋るような視線を受けたジェレミオはしかし、ゆっくりと首を振った。

「アンナがいやでも、もう、アンナの婚約者は俺だ」

「……っ!」

 言下にジェレミオは彼女の股に顔を埋める。

「いやっああ……っ!」

 熱い舌が割れ目に這う。ジェレミオの舌が、濡れそぼった愛液全てを舐めつくす勢いで、ぺちゃぺちゃといやらしい音を立てて、花弁のひだの間までを舌が暴いてくる。

「やめ、やだぁあ……」

「暴れちゃだめだよ、アンナ。ジェレミオは初めてなんだから協力してあげないと」

 残酷なほどに優しい声が、腕を押さえつけながら囁いてくる。その間にもジェレミオの舌は執拗にアンナの股を責め立てる。

「んぁ……っやっそこは、だ、めぇ……!」

 一番敏感な豆がねぶられた。弄られる前からぷっくりと肥大していた快楽の芽は舌先で軽くこねられるだけで、胎の奥に甘い痺れを響かせる。感じたくなどないのに、勝手に腰が跳ねて新たな愛液がよだれのように次々と溢れてくる。

「……洪水のようだな」

「一年かけて、やらしい身体になるようたっぷり仕込んだからね。アンナの蜜は甘いでしょう?」

 くすくすと笑いながらロメオが言えば、ジェレミオがため息を吐く。その吐息がかかるのすら、今のアンナには愛撫だった。

「やだぁ……」

「仕込んだと言えばさ、ほら。アンナの胸も触ってあげたら?」

 促されたジェレミオの視線が、アンナの上半身へと向く。下腹を汚した白濁と、その上のまっさらなネグリジェ。白いレースに包まれた胸はふっくらと大きい山を作っている。おかげで胸の下で結んでいるリボンは彼女の胸に隠されているくらいだ。

「一年ですごく大きくなったよね?」

 ロメオの言う通り、彼女の胸は大きくなった。それはロメオと肌を合わせるようになってから、たくさん揉まれたせいだろう。処女だった頃、男の片手に収まる程度のサイズだったその膨らみは、今や手に余る。男根を挟みこんでしごくのだって容易にできそうだ。

「やだ、見ないで……!」

「脱がし方がわからない? 僕が脱がしてあげようか?」

「いや、いい」

「やめて!」

 抵抗の声が効いたのか、ジェレミオの腕がアンナの太ももから離れる。

(ジェレミオは、やっぱりやめてくれた……?)

 けれどその希望は、股を割るようにジェレミオの身体が滑り込んできて一瞬で砕かれた。彼の腕は迷うことなくアンナの胸に伸びて、たっぷりとした重量のあるふくらみをやんわりとつかむ。

「ん……っ」

 掌を滑らせるようにして指先が胸の下へと潜りこみ、リボンをつまんだ。

「やだ、ジェレミオ、やだぁ……」

 しゅるっとリボンが引っ張られたかと思えば、なんのためらいもなく合わせが開かれる。胸がふるん、と揺れながら晒された。その胸の頂きは、愛撫されてもいなかったくせに尖っている。鬱血痕の一つもないその白い肌に、ジェレミオの視線が突き刺さった。

「アンナ、綺麗だ」

「見ないで……」

 ぽつりとこぼしたジェレミオの言葉で、ぎゅうっと目を閉じたアンナの目尻に涙がこぼれた。彼女が視界を閉ざしても、ジェレミオは止まらない。指先が肌を撫で、大きな手が胸を包んで揉みしだく。

「あ……っ」

(ロメオと、違う手……)

 見えないから、その愛撫のたどたどしさが余計に際立つ。ロメオよりも大きい手は、剣をたしなんでいるから節くれだっており豆もあって固い。書類仕事くらいしかしないロメオのしなやかな指に比べてあまりにも武骨な男の指は、意外にも尖りを優しくつまんで、すりすりと穏やかにこすってくる。

(いやなのに……!)

「あっんん……」

 まるでおっかなびっくり彼女の身体の柔らかさを確認しているようで、愛撫とはいえないようなそんな触れ方でさえ、アンナの身体は快楽だと感じてよがる。その声を敏感に聞き取って判断でもしているのか、ジェレミオの手はだんだんとアンナの心地いい触り方をしはじめる。

「んぁ……や、やぁ……」

「ふふ、アンナ、気持ち良さそ」

「……っ!」

 甘ったるさしかない嬌声を漏らした刹那、ロメオに指摘されてアンナは息を呑む。

「やだっやめて! は、あぁ……っやだぁ……! ロメオ、ジェレミオをやめさせて……いや、なの……」

 ぽろぽろと涙をこぼすアンナに対し、ロメオはわずかに眉尻を下げた。

「仕方ないね、アンナ」

「え……」

「キスしてあげるから我慢しなよ」

 一瞬浮かんだ期待は、またも打ち砕かれた。絶望に見開いたアンナの視界に、うっすらと微笑んだロメオの顔が近づいてくる。だが、その唇が重なることはなかった。

「だめだ」

 ジェレミオの掌が、アンナの視界ごと塞ぐように彼女の唇を覆い、瞼を伏せさせる。

「んぅ……っ!」

「アンナは俺の婚約者だ。兄さんは……さっきのが最後の約束だろう。もう、触れさせない」

 ロメオを睨むジェレミオの瞳の奥に強い光が宿っている。阻まれてぴたりと止まったロメオは、一瞬微笑んでいた口元が歪んだ。

(ふたりはなにを、言ってるの……?)

 視界を塞がれているので、ジェレミオの顔も、ロメオの歪んだ口元も、アンナには見えない。アンナがロメオの表情を見る前に、彼の顔はきゅっと笑みに変わる。そうしてぱっと顔を上げたロメオはさも愉快そうに声を上げた。

「そうだよね、ごめんごめん。僕はサポートに務めるよ」

 にこっと笑ったロメオに「いらない」と短く断り、ジェレミオは顔に当てていたアンナの手をどかせた。

「二人とも、もう……んん」

 アンナの抗議の声は、すかさず塞がれた。それが唇だと気付いたときには、すでにジェレミオの舌が口内に侵入している。

「んんん……っ」

 口づけの仕方など知らないのだろう。乱暴に差しこまれた舌は絡めるべきものを探して、這いまわる。その熱い舌がアンナのそれを無理やり絡めとって、くちゅくちゅと唾液を交換させてきた。深い口づけなんて、何度もロメオと交わしてきて慣れているはずなのに、興奮しているせいかまるでうまく対処できない。アンナは酸素を奪われるかのようだ。アンナが顔を逸らそうとしても、顎をつかまれてそのまま固定されてしまう。

「んぅ……ふ、ぅうう……っ!」

 やにわに腹に手が這った。秘部の位置を探ってでもいるのか、すりすりと撫でながらその手は下へと伸びていって下生えにたどり着く。そうしてそのまま、先ほど口で攻め立てられていた花芯が指先でこねられ始めた。

「ふ、んん……んんぅ!」

(こんなの、だめ……だめなのに……!)

 乱暴をされていても、アンナはジェレミオの舌を噛もうだなんて思いもしない。それでも抵抗の意識はまだある。だが暴れようにも、上下の口を愛撫されて、身体はいやがおうにも上り詰めさせられる。愛撫に素直な蜜壺はきゅうきゅうとうねっていた。奥を突かれる悦びを知っているメスの穴は、快楽の芽を弄ることなんかよりも、内へと太いものを求めて新たな蜜をこぼす。

 だんだんと抗う力が抜けていったアンナの唇がやっと離された。

「アンナ」

 低く希うような声で呼ばれたのは、誰の声だったのか、ぐに、と花芯を潰された瞬間に、アンナは絶頂へと上り詰めた。

「や、ぁああ……っ!」

 びくんびくんと太ももを痙攣させながら、胎を痙攣させてアンナは果てる。腕を押さえつけられていることも、身体に触れているのがジェレミオであることも、この一瞬だけ失念していた。

「あ……は、ぁ……あ……」

 絶頂がいつもより長い。それは状況のせいなのか、それともジェレミオに愛撫されたせいなのか。大きな波が去ってもまだ小刻みに揺れている蜜壺を感じながら、小さく甘い声をアンナは漏らした。その様子を見て、やんわりとアンナに触れていた指が離れて、ジェレミオが彼女を見下ろす。だが、荒く呼吸をしている彼女はそれに反応する余裕がない。

(いっちゃった……)

 またもじわりと涙がこみあげる。けれども達しただけでは許されない。

「凄い声だったね」

「っもうやめてよ!」

「だめだよ。だってまだ最後までやってない。ね、ジェレミオ?」

「ああ」

 静かに答えたジェレミオに、アンナは唇を噛む。

「そろそろ服を脱がそうか。この後は動きが激しくなるし」

「二人のこと、信じてたのに……どうして、私をだまして……なんで……? 私がいいなら、って、ジェレミオはいつも言ってくれたじゃない。ロメオは、私を愛してるって……」

 愛していたのは、チェッリ家のことだとつい先ほど言われている。けれども、今まで彼がアンナにくれた数々の優しさが、家の繋がりのための嘘だったなどと信じたくない。

「……アンナがいやでも、これだけは譲れない」

「そうだよ。結婚は貴族としての務めだからね。子供みたいなだだをこねてないで、義務を果たしなよ」

 二人して都合を押しつけてくる。それが無性に胸を抉って、涙を零れさせる。悲しいばかりの感情は、怒りに変わり、激情はそのまま口に乗った。

「馬鹿言わないで! 今まではなんだったの? どうして私を抱いたりしたの! 私が男爵令嬢だから……だからロメオは私の操を散らしてもいいとでも思っていたの?」

「どうせジェレミオが結婚するんだから、秘密は守られるでしょ? なら、僕がアンナを味見したって変わらないから。アンナも気持ちよかったくせに」

「兄さん」

「なんてことを……」

 苛立たしげなジェレミオの声なんか、アンナの耳には届かなかった。

「ほら、アンナも大人になろう? ああ、そのペンダントも。もう大人の仲間入りしたんだからさ。僕への馬鹿みたいな憧れと一緒に、子どもっぽいペンダントなんか捨てちゃったら? ずっと思ってたけどさ、いつもつけてるそのペンダント、どこが気に入ってるの? ださいよ?」

「なに……言ってるの……? これ、は……このペンダントは、ロメオが私の誕生日にくれたんじゃない……いつもみたいに、窓に……忘れちゃったの……?」

 わなわなと震えるアンナに、ロメオはぴたりと止まった。

「アンナ、それは」

「あーあ。せっかく騙せてたのに、これももうバラしちゃおっか」

 やれやれと首を振って、ロメオは顔を歪めて笑う。

「窓際のプレゼント? そんなの全部、僕じゃないよ。そんな面倒くさいことするわけないじゃないか」

 ふう、と息を吐いたロメオの目は据わっている。

「全部、ジェレミオがやってたんだよ」

「うそ……だって、二人の秘密って……」

「……そんな嘘を、ついていたのか。兄さん」

 ジェレミオの低い声で、アンナが視線を彼に移す。くすぶるような怒りをたたえたその顔が、ロメオの言葉が真実なのだと物語っていた。
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