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身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される(新婚編)
十八話『初詣』
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朝食を済ませた花達は、思い思いに過ごす事になり、花と義孝は初詣に出かけることにした。
「誰も歩いていませんね」
「まだ早い時間だからかもしれませんね」
二人で歩きながら、花はチラと義孝を見る。
(義孝さん、平然としてるなぁ。私は昨夜の事を思うと、恥ずかしくて茹で上がりそうなのに。接吻だけでも、心臓がバクバクするし・・・。あんなこと)
チラ、と義孝を見る。
(義孝さんは、平気かしら?私は何回経験したとて、あれには慣れないのに。それとも、義孝さんは私程度の女は・・・やっぱり物足りないとか?)
あれこれ考えて、花は泣きそうだ。
「花さん」
「はい」
義孝が手を差し伸べる。
「え?」
「足元が泥濘んでいるから、転ばないように」
初雪が思ったより積り、あちこち泥濘んでいる。
「はい」
そっと、握り返す。
ゴツゴツと節くれた手ひらには、肉刺になった硬い皮膚がある。
「花さんは手も小さいですね。よく、壊れないもんです。肩や腰も細くて、折れてしまわないか、心配になります」
「え・・・?」
カアッ、と顔に血が上る。
「花さん?」
ふしゅーっ、と茹で上がる花に義孝も紅くなる。
「す、すみません、別にそういう意味では」
「い、いえ」
出会いから間もなく一年、婚礼から半年をすぎるというのに、未だに恥じらいを忘れない二人だった。
「すみません」
「いえ、私こそ」
二人して、茹で上がる。
そんなやり取りをしながら、なんとか神社にやって来る。
「参拝客、たくさんいますね」
「はい」
「花さんは毎年、どんな正月をすごしていましたか」
「鹿江達と初詣に来て、甘酒を頂いて・・・焼栗を買って」
「なるほど」
「義孝さんはどんな、お正月を過ごされていたんですか?土佐には帰られて」
「まあ、正月くらいは帰らないと、大掃除もありますから」
ふと、前方から見知った顔が歩いてくる。
「あ、艦長」
それは、疾風の乗員達だった。
「あけまして、おめでとうございます」
「ああ、おめでとう」
「もしかして、そちらは?」
「はじめまして。時東 花と申します」
深々と、花は会釈する。
「はじめまして」
ーーーー俺、中村です。
ーーーー僕は、飯島!
ーーーー私は名島。
次々に、自己紹介していく。
「やったぁ、やっと艦長の奥様の顔が見れたぁ」
「いつも、白勢だけだし」
「アイツ、全然教えないし」
ケチだよな~、と騒ぐ。
ーーーーバカ、秘密厳守だ。
背後から低い声がする。
「あ、杉田副長」
「おめでとうございます」
渋い顔をする杉田中佐に、慌てて乗員達が敬礼する。
「ったく、白勢の対応は正解だ。たかが写真の事と思うかも知れないが、中には重要機密がある場合もある。無闇に口にするな」
「・・・はい」
「はじめまして」
杉田中佐の後ろにいた女性が、花に声をかける。
「あ、はじめまして、時東花と申します」
「杉田敦子です。ね、うちの旦那は表情がないでしょ?」
「えと」
「昔はね、よく笑う人だったの。でも、海軍に入ってから」
「でも、義孝さんは頼りにしていますよ。白勢さんと杉田中佐の名前は、時々話題にありますから」
「そう?旦那が喜ぶわ。あの人、艦長さんを尊敬しているから」
「ふふ、嬉しいです」
義孝を見つめる花を、敦子は微笑ましく見ていた。
「行こうか」
「はい」
仲の良い夫婦。
自分もそうありたいと、花は敦子と杉田中佐を見ながら思った。
「あの二人は、幼馴染みなんだそうです」
「そうなんですか?」
「ええ、奥さんが年上の姉さん女房で、前に見た時は尻に敷かれている感じでしたね」
「・・・そうは思えませんけど?ちゃんと旦那様を立てる、いい奥さんに見えます」
「花さんも、ですよ」
義孝が言った。
「え?」
「さり気なく、後ろに下がりましたよね」
「私はその、邪魔にならないようにしただけで」
「気にしない人は気にしないでしょう?通行人の邪魔でも」
当たり前のことで、また褒められた。
「ねえ、似合いよね?」
「ああ」
「若いのに、よく出来た人ね」
「ああ。あの人がいなければ、戦争になったかもしれない」
知らぬは当人ね。
敦子が微笑んだ。
「さて、花さんの好きな、甘酒を飲みますか」
「いいんですか?」
ぱぁぁ、と笑顔になる。
「甘酒はアルコールがないから、花さんが酔うこともないでしょう?」
「う」
「お酒、たまには飲みますか?」
新婚旅行での泥酔を指摘され、花は眉を寄せる。
「なんか、しばらくは言われそう?」
「酔えば、本音が言えますよね」
「か、勘弁して下さい」
ーーー他に、いるの?
花が常に不安なのは、義孝に捨てられること。自分に飽きてしまうのではないか、常に恐れていた。
「も、疑いはありません。浮気、なさらないんですよね?芸者遊びも」
「ええ、しませんよ。いままで芸者遊びも、恋人もなかった人ですから」
「なら、アルコールはいりません」
「残念ですね。花さんが、告白してくれるのは、嬉しいんですが」
「告白?」
「そうでしょ。どれだけ愛されているか、わかりますからね」
優しい眼差しに、花は泣きたくなった。
ーーー私の方こそ、いつも幸せです。
か細い声で告げた告白に、義孝が微笑んだ。
「誰も歩いていませんね」
「まだ早い時間だからかもしれませんね」
二人で歩きながら、花はチラと義孝を見る。
(義孝さん、平然としてるなぁ。私は昨夜の事を思うと、恥ずかしくて茹で上がりそうなのに。接吻だけでも、心臓がバクバクするし・・・。あんなこと)
チラ、と義孝を見る。
(義孝さんは、平気かしら?私は何回経験したとて、あれには慣れないのに。それとも、義孝さんは私程度の女は・・・やっぱり物足りないとか?)
あれこれ考えて、花は泣きそうだ。
「花さん」
「はい」
義孝が手を差し伸べる。
「え?」
「足元が泥濘んでいるから、転ばないように」
初雪が思ったより積り、あちこち泥濘んでいる。
「はい」
そっと、握り返す。
ゴツゴツと節くれた手ひらには、肉刺になった硬い皮膚がある。
「花さんは手も小さいですね。よく、壊れないもんです。肩や腰も細くて、折れてしまわないか、心配になります」
「え・・・?」
カアッ、と顔に血が上る。
「花さん?」
ふしゅーっ、と茹で上がる花に義孝も紅くなる。
「す、すみません、別にそういう意味では」
「い、いえ」
出会いから間もなく一年、婚礼から半年をすぎるというのに、未だに恥じらいを忘れない二人だった。
「すみません」
「いえ、私こそ」
二人して、茹で上がる。
そんなやり取りをしながら、なんとか神社にやって来る。
「参拝客、たくさんいますね」
「はい」
「花さんは毎年、どんな正月をすごしていましたか」
「鹿江達と初詣に来て、甘酒を頂いて・・・焼栗を買って」
「なるほど」
「義孝さんはどんな、お正月を過ごされていたんですか?土佐には帰られて」
「まあ、正月くらいは帰らないと、大掃除もありますから」
ふと、前方から見知った顔が歩いてくる。
「あ、艦長」
それは、疾風の乗員達だった。
「あけまして、おめでとうございます」
「ああ、おめでとう」
「もしかして、そちらは?」
「はじめまして。時東 花と申します」
深々と、花は会釈する。
「はじめまして」
ーーーー俺、中村です。
ーーーー僕は、飯島!
ーーーー私は名島。
次々に、自己紹介していく。
「やったぁ、やっと艦長の奥様の顔が見れたぁ」
「いつも、白勢だけだし」
「アイツ、全然教えないし」
ケチだよな~、と騒ぐ。
ーーーーバカ、秘密厳守だ。
背後から低い声がする。
「あ、杉田副長」
「おめでとうございます」
渋い顔をする杉田中佐に、慌てて乗員達が敬礼する。
「ったく、白勢の対応は正解だ。たかが写真の事と思うかも知れないが、中には重要機密がある場合もある。無闇に口にするな」
「・・・はい」
「はじめまして」
杉田中佐の後ろにいた女性が、花に声をかける。
「あ、はじめまして、時東花と申します」
「杉田敦子です。ね、うちの旦那は表情がないでしょ?」
「えと」
「昔はね、よく笑う人だったの。でも、海軍に入ってから」
「でも、義孝さんは頼りにしていますよ。白勢さんと杉田中佐の名前は、時々話題にありますから」
「そう?旦那が喜ぶわ。あの人、艦長さんを尊敬しているから」
「ふふ、嬉しいです」
義孝を見つめる花を、敦子は微笑ましく見ていた。
「行こうか」
「はい」
仲の良い夫婦。
自分もそうありたいと、花は敦子と杉田中佐を見ながら思った。
「あの二人は、幼馴染みなんだそうです」
「そうなんですか?」
「ええ、奥さんが年上の姉さん女房で、前に見た時は尻に敷かれている感じでしたね」
「・・・そうは思えませんけど?ちゃんと旦那様を立てる、いい奥さんに見えます」
「花さんも、ですよ」
義孝が言った。
「え?」
「さり気なく、後ろに下がりましたよね」
「私はその、邪魔にならないようにしただけで」
「気にしない人は気にしないでしょう?通行人の邪魔でも」
当たり前のことで、また褒められた。
「ねえ、似合いよね?」
「ああ」
「若いのに、よく出来た人ね」
「ああ。あの人がいなければ、戦争になったかもしれない」
知らぬは当人ね。
敦子が微笑んだ。
「さて、花さんの好きな、甘酒を飲みますか」
「いいんですか?」
ぱぁぁ、と笑顔になる。
「甘酒はアルコールがないから、花さんが酔うこともないでしょう?」
「う」
「お酒、たまには飲みますか?」
新婚旅行での泥酔を指摘され、花は眉を寄せる。
「なんか、しばらくは言われそう?」
「酔えば、本音が言えますよね」
「か、勘弁して下さい」
ーーー他に、いるの?
花が常に不安なのは、義孝に捨てられること。自分に飽きてしまうのではないか、常に恐れていた。
「も、疑いはありません。浮気、なさらないんですよね?芸者遊びも」
「ええ、しませんよ。いままで芸者遊びも、恋人もなかった人ですから」
「なら、アルコールはいりません」
「残念ですね。花さんが、告白してくれるのは、嬉しいんですが」
「告白?」
「そうでしょ。どれだけ愛されているか、わかりますからね」
優しい眼差しに、花は泣きたくなった。
ーーー私の方こそ、いつも幸せです。
か細い声で告げた告白に、義孝が微笑んだ。
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