身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される

絵麻

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回想・身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される

二話『お慕いしています』

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 ドキドキ。

「あの、御水をお持ちしますね」
「ああ」
 義孝に断り、花は台所に向かう。

(・・・ドキドキする。お酒のせいかな?すっごく、艶っぽい)

 湯呑みに湯冷ましを淹れて、花は玄関に向かう。すると、上がり框には座ったまま眠る、義孝がいた。
「義孝さん?」
「ん」
 義孝が目を開く。
「御水です」
「ああ、ありがとうございます」
「いえ」
「あの、歩けますか」
「大丈夫ですよ」
 湯冷ましを飲み、義孝は家の奥に向かう。

 どうやら、泥酔しているわけではなさそうだ。

 寛ぐ為の浴衣に着替え、少し話をする事になり、二人で居間に向かう。
「母は?寝たのですか」
「はい、少し前に休まれました」
「なるほど」
 艶っぽい眼差しに、胸がドキドキする。百貨店に出かけた時とは別の、圧を感じる。
「新入り歓迎の宴で、『理想の女性像』について話題になりました」
「え?」 
 花が、目をぱちくりする。
「料理上手がいい、美人だ可愛いだの。色々と、あと性格は優しい」
「・・・そう、なのですね?」
 胸が、締め付けられる。
 自分は、どれも当てはまらないと感じたからだ。

「私は、花さんが全て当てはまりると感じました」
「え?」

 義孝の返答に、花が顔を上げた。そして、動揺する。
「花さんは、何人の・・・子供が欲しいと思いますか?」
「え」
「近い・・・そう遠くない日に、私達は婚礼を上げますが。花さんは、何人欲しいと考えますか?」
「え、えと、えとっ」
 ドキドキする。
 顔が、触れそうに近づく。

「えとっ、授かれるならば、授かれるだけ・・・欲しいと」
「そうですね、花さんとの子供なら可愛いでしょうね」
 ニコリと、義孝が微笑んだ。
「花さん」
 近づく顔に、花は目を閉じた。

 ドサッ。
   
 何か、倒れる音がする。
「え?」
 目を開くと、義孝が倒れていた。いや、正確に言えば眠っていた。

「ふえっ」
 涙がこぼれる。
 一瞬だが、怖いと感じた。
「されるかと」
 そっと、義孝の頭を膝に載せる。

 泥酔しても、無体を働かない。
 心から、大切にしてくれる。

「お慕いしています、義孝さん」
 
 翌朝、義孝は花に平謝りした。
「申し訳ありません」
 自分が昨晩したことを、額づいて謝罪した。
「怖かったでしょう、二度としません」
「義孝さん」
 胸が痛い。

(・・・熊田の口から褥と聞いて、頭に血が登った。危うく、口約を破るところだった)

「大佐、無事であられますか」
「ああ」
 熊田という士官は震え上がる。
(・・すごい、殺気だ)
 一瞬、向けられた眼差しには、凄まじい殺気が込められていた。
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