41 / 67
身代わり花嫁と軍服のこじれた初恋
幕間 そのニ『愛華の予知』
しおりを挟む
「清華」
「愛華ねえさま」
約三ヶ月振りの再会だった。
「元気そうね、清華」
「はい。ねえさまは?」
「見ての通りよ。発作もなくて、あのね」
「え?」
居間に場所を移し、清華と愛華は話した。
「じゃあ、結婚するのね」
「ええ」
「どなた、っていうか―――どこの方?」
「ふふ、順に話すわ」
話し声に気付いた鏡弥が、居間に来る。
「あれ、誰かと思えば」
「ご無沙汰してます、鳳愛華です」
「あ、あの時はどうも」
愛華の手引がなければ、二人は再会出来なかった。
「嬉しい、清華が幸せそうで。ありがとう、長谷川さん」
愛華は心底嬉しそうに、鏡弥に頭を下げた。
「いや」
鏡弥が頬を染める。
「今日はね、写真を持ってきたの。ほら、私と清華の写真」
佳代が撮ってくれた、数枚の写真。中には夏祭りの写真があった。
「ほら、これなんて初めてでしょ」
鏡弥に写真を渡す。
「な、なんで鏡弥さんに?」
「え、だって旦那様でしょ」
「――――」
そう言えば、浴衣は無いと鏡弥は思う。
「長谷川さん」
清華が茶と菓子を取りに行く間に、愛華が訊ねた。
「あの子のこと、宜しくお願いします」
「オレの命に代えても」
鏡弥の返答に、愛華は首を振る。
「いいえ、守れとかじゃありません。ともに生きてあげて、清華が望むのはそれだけ」
―――――なんで。
みんな、こんなにも優しいのだろう。
「たしに、守る・・価値なんて」
涙が流れ落ちる。
多香子も崇裕も、清華を守る為に虐待の汚名を被った。
(笑顔、これは幸せな事だから)
「お待たせ、菓子と紅茶。ねえさまは、ワッフルが好きよね」
「ええ」
「鏡弥さんは、珈琲と」
楽しい時は、早く過ぎる。愛華が帰る時間は、あっという間に来てしまった。
「また、会いましょ。次は、私の結婚式でね」
「はい」
愛華が清華を抱きしめる。
見る間に、清華が紅く染まる。
「なんて、言ったんだ?」
「え・・・」
「いや、なんか言ったよな」
清華は俯く。
「式の頃には、出来てるといいわね、って」
「・・・」
「ねえさま、時々言うの、予言めいたこと。それが、結構当たるの」
今までだって、何度も予知してきた。
例えば、帝国大空襲とか――――。中には回避不可の悲劇も、数多とあった。
茹で上がるように、リンゴのように清華は紅くなる。
「そうか、なら頑張らないとな?」
「えっ」
「期待に答えないとな」
意地悪く、鏡弥が笑った。
「きょ」
「ん?」
「鏡弥さんのっ」
フルフルと清華が震える。
「鏡弥さんの、助平~!」
悲鳴のような清華の叫びが、夕暮れにこだました。
「愛華ねえさま」
約三ヶ月振りの再会だった。
「元気そうね、清華」
「はい。ねえさまは?」
「見ての通りよ。発作もなくて、あのね」
「え?」
居間に場所を移し、清華と愛華は話した。
「じゃあ、結婚するのね」
「ええ」
「どなた、っていうか―――どこの方?」
「ふふ、順に話すわ」
話し声に気付いた鏡弥が、居間に来る。
「あれ、誰かと思えば」
「ご無沙汰してます、鳳愛華です」
「あ、あの時はどうも」
愛華の手引がなければ、二人は再会出来なかった。
「嬉しい、清華が幸せそうで。ありがとう、長谷川さん」
愛華は心底嬉しそうに、鏡弥に頭を下げた。
「いや」
鏡弥が頬を染める。
「今日はね、写真を持ってきたの。ほら、私と清華の写真」
佳代が撮ってくれた、数枚の写真。中には夏祭りの写真があった。
「ほら、これなんて初めてでしょ」
鏡弥に写真を渡す。
「な、なんで鏡弥さんに?」
「え、だって旦那様でしょ」
「――――」
そう言えば、浴衣は無いと鏡弥は思う。
「長谷川さん」
清華が茶と菓子を取りに行く間に、愛華が訊ねた。
「あの子のこと、宜しくお願いします」
「オレの命に代えても」
鏡弥の返答に、愛華は首を振る。
「いいえ、守れとかじゃありません。ともに生きてあげて、清華が望むのはそれだけ」
―――――なんで。
みんな、こんなにも優しいのだろう。
「たしに、守る・・価値なんて」
涙が流れ落ちる。
多香子も崇裕も、清華を守る為に虐待の汚名を被った。
(笑顔、これは幸せな事だから)
「お待たせ、菓子と紅茶。ねえさまは、ワッフルが好きよね」
「ええ」
「鏡弥さんは、珈琲と」
楽しい時は、早く過ぎる。愛華が帰る時間は、あっという間に来てしまった。
「また、会いましょ。次は、私の結婚式でね」
「はい」
愛華が清華を抱きしめる。
見る間に、清華が紅く染まる。
「なんて、言ったんだ?」
「え・・・」
「いや、なんか言ったよな」
清華は俯く。
「式の頃には、出来てるといいわね、って」
「・・・」
「ねえさま、時々言うの、予言めいたこと。それが、結構当たるの」
今までだって、何度も予知してきた。
例えば、帝国大空襲とか――――。中には回避不可の悲劇も、数多とあった。
茹で上がるように、リンゴのように清華は紅くなる。
「そうか、なら頑張らないとな?」
「えっ」
「期待に答えないとな」
意地悪く、鏡弥が笑った。
「きょ」
「ん?」
「鏡弥さんのっ」
フルフルと清華が震える。
「鏡弥さんの、助平~!」
悲鳴のような清華の叫びが、夕暮れにこだました。
43
あなたにおすすめの小説
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
Melty romance 〜甘S彼氏の執着愛〜
yuzu
恋愛
人数合わせで強引に参加させられた合コンに現れたのは、高校生の頃に少しだけ付き合って別れた元カレの佐野充希。適当にその場をやり過ごして帰るつもりだった堀沢真乃は充希に捕まりキスされて……
「オレを好きになるまで離してやんない。」
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる