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第2章
#7-A 罪状判定? そんなのめんどくさいんだけど
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「おい、こら! ふざけんな! なんだよこれッ!」
後ろ手に手枷を嵌められたセイヌとドリステッドが、垂れ耳企鵝帽を被った警備員たちに引きずられてやって来る。身を捩りながら抵抗する様子を見せているセイヌに、そのセイヌを見て未だうっとり顔のドリステッド。
ああ、もうこの時点で面倒くさいやつ。結局、プリンも買えなかったし、この恨みは彼らで晴らさせてもらってもいいかなぁ。
僕は、何段か高い位置に置かれた玉座のような豪華な椅子に足を組んでふんぞり返る。隣には床に剣を突き立てているスオウ。ケントとタスクは段の下でなぜこんな場所に連れて来られたのか、アワアワしていた。
そう、ここは僕が魔王として住んでいる居城だ。ここに帰るたびに魔王の姿にならないといけないので、面倒くさいのだ。一週間に一度、帰ればいいほうかもしれない。ハンター管理局本部に用意されている僕の部屋のほうが、快適だからね。サボり放題だし。ここに来ると仕事させられるんだもん。普段は僕の代わりにロヴァー壱號機から拾伍號機にそれぞれ仕事を代行させてるから、僕がやらなくても問題ない。
と言っても、たまに、僕に直接仕事が回ってくることがある。まさに、今がそれ。
銀行強盗を自作自演し、いたいけな少年リクティオくんを陥れようとした罪でカマ・セイヌと、ドリなんとかというおじさんの審判を下して欲しいという依頼だ。ポンコツロボットのロヴァーシリーズでは判断がつかなかったらしい。僕に似て、ポンコツだからね。というか、僕っていたいけな少年だったんだね。
さて、僕は今、そのいたいけな少年ハンターリクティオくんではなく、大魔王ペンデヴァルトとしてこの玉座に座している。大魔王と言えば、一応、この世界を統治する存在なんだって。でも僕は、そんな気は毛頭なかった。だって、面倒くさそうじゃん? 大魔王をやってるのも、ふんぞり返って部下に働け働けって命令していれば済むからだったんだよね。でもなんでか、僕が働かせられてるの、納得がいかない。もうちょっと僕に優しくしてくれたっていいはずなのに。
プリン片手に高みの見物決め込んじゃおうかな。罪人を裁くなんて僕がやることじゃないよ。もうプリンの牢獄に三十年とかでいいんじゃない? 面倒くさいし。というか、僕だったら喜んじゃう。
「おい、お前! 俺と正々堂々勝負しろよ! 今度こそ負けねぇ! 俺が勝ったら俺を解放しろ!!」
スオウを指さしてセイヌが吠えている。いや、あんなに簡単に負けたくせにまだ勝負したいんだね。血の気が多くて困ったね。
「ちょっとうるさいから誰か黙らせてくんないかな?」
僕が言うと、スオウが動き、懐から何かを取り出してそれをセイヌの頭に被せた。それはどこかで見たことのある、赤い縦縞パンツだった。
「あれ、俺たちの――いや、やっぱりなんでもない……」
ケントが何かを言いかけ、僕が視線を向けた途端、口ごもった。うん、そうだね。発言は許可してないよ。一応、魔王らしく振る舞わないといけないからね、僕も。
「そんなに勝負してどうするんだい?」
「うるせぇ! このままコケにされたままで終われるかよッ! 俺は勇者なんだ!」
――勇者?
へぇ。そうだったのか。でも、僕はケントを勇者に仕立て上げてしまったし、彼も僕のサボりの共犯者になってしまったからね。勇者は二人もいらないかな。
「それじゃあ、プリンの早食い勝負と料理対決でもやろうか。相手はそうだね、そこにいるケント――」
「リクティオとかいうやつと勝負させろ!」
――ええええ!?
審査員席でプリン食べて料理も食べようと思ってたのに、それじゃプリンしか食べられないじゃん!?
後ろ手に手枷を嵌められたセイヌとドリステッドが、垂れ耳企鵝帽を被った警備員たちに引きずられてやって来る。身を捩りながら抵抗する様子を見せているセイヌに、そのセイヌを見て未だうっとり顔のドリステッド。
ああ、もうこの時点で面倒くさいやつ。結局、プリンも買えなかったし、この恨みは彼らで晴らさせてもらってもいいかなぁ。
僕は、何段か高い位置に置かれた玉座のような豪華な椅子に足を組んでふんぞり返る。隣には床に剣を突き立てているスオウ。ケントとタスクは段の下でなぜこんな場所に連れて来られたのか、アワアワしていた。
そう、ここは僕が魔王として住んでいる居城だ。ここに帰るたびに魔王の姿にならないといけないので、面倒くさいのだ。一週間に一度、帰ればいいほうかもしれない。ハンター管理局本部に用意されている僕の部屋のほうが、快適だからね。サボり放題だし。ここに来ると仕事させられるんだもん。普段は僕の代わりにロヴァー壱號機から拾伍號機にそれぞれ仕事を代行させてるから、僕がやらなくても問題ない。
と言っても、たまに、僕に直接仕事が回ってくることがある。まさに、今がそれ。
銀行強盗を自作自演し、いたいけな少年リクティオくんを陥れようとした罪でカマ・セイヌと、ドリなんとかというおじさんの審判を下して欲しいという依頼だ。ポンコツロボットのロヴァーシリーズでは判断がつかなかったらしい。僕に似て、ポンコツだからね。というか、僕っていたいけな少年だったんだね。
さて、僕は今、そのいたいけな少年ハンターリクティオくんではなく、大魔王ペンデヴァルトとしてこの玉座に座している。大魔王と言えば、一応、この世界を統治する存在なんだって。でも僕は、そんな気は毛頭なかった。だって、面倒くさそうじゃん? 大魔王をやってるのも、ふんぞり返って部下に働け働けって命令していれば済むからだったんだよね。でもなんでか、僕が働かせられてるの、納得がいかない。もうちょっと僕に優しくしてくれたっていいはずなのに。
プリン片手に高みの見物決め込んじゃおうかな。罪人を裁くなんて僕がやることじゃないよ。もうプリンの牢獄に三十年とかでいいんじゃない? 面倒くさいし。というか、僕だったら喜んじゃう。
「おい、お前! 俺と正々堂々勝負しろよ! 今度こそ負けねぇ! 俺が勝ったら俺を解放しろ!!」
スオウを指さしてセイヌが吠えている。いや、あんなに簡単に負けたくせにまだ勝負したいんだね。血の気が多くて困ったね。
「ちょっとうるさいから誰か黙らせてくんないかな?」
僕が言うと、スオウが動き、懐から何かを取り出してそれをセイヌの頭に被せた。それはどこかで見たことのある、赤い縦縞パンツだった。
「あれ、俺たちの――いや、やっぱりなんでもない……」
ケントが何かを言いかけ、僕が視線を向けた途端、口ごもった。うん、そうだね。発言は許可してないよ。一応、魔王らしく振る舞わないといけないからね、僕も。
「そんなに勝負してどうするんだい?」
「うるせぇ! このままコケにされたままで終われるかよッ! 俺は勇者なんだ!」
――勇者?
へぇ。そうだったのか。でも、僕はケントを勇者に仕立て上げてしまったし、彼も僕のサボりの共犯者になってしまったからね。勇者は二人もいらないかな。
「それじゃあ、プリンの早食い勝負と料理対決でもやろうか。相手はそうだね、そこにいるケント――」
「リクティオとかいうやつと勝負させろ!」
――ええええ!?
審査員席でプリン食べて料理も食べようと思ってたのに、それじゃプリンしか食べられないじゃん!?
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