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学童期

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 A組の生徒達は、物覚えが早く生真面目な者が多い。それに引き換え授業を担う教官は酷いものであった。

 授業中、教官の知識の浅さに僕は辟易へきえきしていた。

 おそらく、実戦経験がなく、聞きかじった知識や経験しかないのだろう。いつしか僕は、授業に出る価値を見出せず、授業を休む事が増えていった。

 寮の至れり尽くせりの生活は気に入っていたため、夜は寮で過ごしている。昼間は学校に行かず、瞬間移動テレポートで鉱山に飛び、一般向けの露天掘り鉱山で鉱物資源を採掘していた。

 6歳の身体には、ツルハシ作業は重労働であったため、身体強化の魔法を自分にかけて採掘作業を行なった。

 [探索]で鉱物資源がある場所を探し出す。その場所を[身体強化]した身体でピンポイントで掘り、鉱物資源を採掘していった。

 アイテムボックスには、かなりの量の銅、鉄、粘土、スズなどを収納していた。

 資源はかなり集まった。次は魔石を集めるかと思いながら、寮まで瞬間移動テレポートで戻ってきた。

 寮の部屋で、汗まみれの身体を魔法で[洗浄]していると扉を叩く音に気付いた。

 トントントン!

 「ノア君居るの!?開けてくれない?」

 クラウディアの声だ。

 ガシャ!

 扉を開けると、クラウディアが立っていた。

 「入ってもいい?」

 クラウディアをソファーに招き入れると、

 「どうしたの?」

 「どうしたの?じゃないわよ。学校を休んで一体どうしたのよ!?」

 「ああ~その事か。紅茶でいいかい?」

 魔法で瞬時にお湯を沸かし紅茶を淹れる。

 「凄いわね。どうやったの?」

 「簡単さ。水魔法と火魔法が使えれば。火魔法の代わりに、沸点を下げる空間魔法や、空間自体を圧縮する時空魔法でも出来るよ。」

 「学校を休んでるのも、こういう事さ。得られる事が何もないんだよ。だから今は、魔道具を作ろうと思って素材を集めてるんだ。明日からは、ギルドに登録して魔石を集めようかと思ってたところだよ。」

 「あなたが凄いのは、分かってるけどあなたはまだ学生なのよ。それもまだ何ヶ月も通っていない1年生。それに明日からテストがあるのよ。退学になれば、寮も追い出されるわよ。」

 寮を追い出されるのは困るな……

 「分かったよ。明日は学校に行ってみるよ。わざわざ心配して来てくれてありがとう。クラウディアはいい母親になりそうだね。」

 「母親ってなによ!まだ6歳よ!明日は必ず学校に来てよね。待ってるからね。」

 僕の説得が終わったクラウディアは、紅茶を飲みながら、最近のクラスの様子を教えてくれた。
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