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学童期
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実技テストは、この騒ぎで中止となってしまった。どうせ僕が最後の順番だったので、僕だけが中断になった格好だ。
僕に近付こうとするクラスメイトはおらず、ゲルパルト第3皇子でさえ、僕から距離を取っている。
唯一、クラウディアだけが僕の元に来て、
「ノア君、やり過ぎよ。魔法を放つ前に、私達や教官に何かしていたのは、[シールド]を張ってくれていたの?」
そうか……何も言わず[シールド]を張っていたから、みんな何をしているか気付いていなかったのか……
「うん、教官とみんなに被害が及ばないように、[シールド]を5重にかけたんだよ。部屋には1重しかかけなかったから、壊れちゃったけどね……タハハハ……」
「まさか魔法に耐えられるって言ってた訓練場が、こんなにヤワだとは思わないじゃないか?そういえば昨日、魔法を教えた時も、対魔法対策をしてるって言ってた魔法樽がレベル3魔法で壊れたっけ?」
クラウディアと話していた内容が聞こえたのか、ミアとリリーも近付いてきた。
「ノア君のおかげで、私達はレベル1魔法の発動が出来たわ!本当にありがとう。でもノア君やり過ぎよ。アハハハ。」
みんなに被害が及ばないように配慮していたというのが知られたので、僕への不信感が減ったようだ。
◇ ◇ ◇ ◇
数日後、テストの結果が学校内の掲示板に貼り出されていた。
《座学》
1位 カフマン・ノア 2500点
2位 ラインハルト・クラウディア 498点
3位 カールハインツ・ゲルパルト 496点
《実技》
1位 カフマン・ノア 1000点
2位 カールハインツ・ゲルパルト 180点
3位 ラインハルト・クラウディア 120点
どうも僕だけ、桁が違うようだ。実力を遺憾なく発揮するのではなく、目立たないように周りに合わせて発揮しなければならなかったみたいだ……
「ノア君、校長先生がお呼びになっています。」
フレンド教官の呼び出しに嫌な予感がした。
トントントン!
僕は校長室をノックした。
「どうぞ!お入りなさい。」
いかにもお爺ちゃんといった風貌だ。
この人が校長先生なのか?
「そこにお掛けなさい。よし。君がカフマン・ノア君ですね?」
「君の座学、実技テストの結果。内容。普段の授業態度。出席状況を聞きました。あなたはなぜ、我々が知らない事、つまり先帝賢者様や、救国の勇者様が遺した知識以上の物を知っているのですか?」
多分、先帝賢者様と言われたのが、1度目の人生で賢者として生きた僕。救国の勇者様が2度目の人生の僕なんです……
「例えば座学テストの満点は各教科100点満点なのです。しかしノア君は、薬草学では、ポーションの作製方法だけに限らず、聞いた事もない痺れリキッドや伝説と言われるエリクサーの作製方法まで記載していましたね。薬草学の教官が、君の記載した通りに作製してみると、痺れリキッドなる痺れ薬。どんな怪我や病気も治ると言われるエリクサーが完成したと報告を受けています。」
何も知らない無能な教官に知識を分け与えてやろうという親切心がまたここでも仇になったのか……
「せっかくのエリクサーや痺れリキッドの調合方法を教えてあげたのに、それが問題になるのですか?」
「問題などと……いう訳ではありません。ノア君ほどの実力を、6歳の子供が何故持てるのかが、気になるのです。」
僕に近付こうとするクラスメイトはおらず、ゲルパルト第3皇子でさえ、僕から距離を取っている。
唯一、クラウディアだけが僕の元に来て、
「ノア君、やり過ぎよ。魔法を放つ前に、私達や教官に何かしていたのは、[シールド]を張ってくれていたの?」
そうか……何も言わず[シールド]を張っていたから、みんな何をしているか気付いていなかったのか……
「うん、教官とみんなに被害が及ばないように、[シールド]を5重にかけたんだよ。部屋には1重しかかけなかったから、壊れちゃったけどね……タハハハ……」
「まさか魔法に耐えられるって言ってた訓練場が、こんなにヤワだとは思わないじゃないか?そういえば昨日、魔法を教えた時も、対魔法対策をしてるって言ってた魔法樽がレベル3魔法で壊れたっけ?」
クラウディアと話していた内容が聞こえたのか、ミアとリリーも近付いてきた。
「ノア君のおかげで、私達はレベル1魔法の発動が出来たわ!本当にありがとう。でもノア君やり過ぎよ。アハハハ。」
みんなに被害が及ばないように配慮していたというのが知られたので、僕への不信感が減ったようだ。
◇ ◇ ◇ ◇
数日後、テストの結果が学校内の掲示板に貼り出されていた。
《座学》
1位 カフマン・ノア 2500点
2位 ラインハルト・クラウディア 498点
3位 カールハインツ・ゲルパルト 496点
《実技》
1位 カフマン・ノア 1000点
2位 カールハインツ・ゲルパルト 180点
3位 ラインハルト・クラウディア 120点
どうも僕だけ、桁が違うようだ。実力を遺憾なく発揮するのではなく、目立たないように周りに合わせて発揮しなければならなかったみたいだ……
「ノア君、校長先生がお呼びになっています。」
フレンド教官の呼び出しに嫌な予感がした。
トントントン!
僕は校長室をノックした。
「どうぞ!お入りなさい。」
いかにもお爺ちゃんといった風貌だ。
この人が校長先生なのか?
「そこにお掛けなさい。よし。君がカフマン・ノア君ですね?」
「君の座学、実技テストの結果。内容。普段の授業態度。出席状況を聞きました。あなたはなぜ、我々が知らない事、つまり先帝賢者様や、救国の勇者様が遺した知識以上の物を知っているのですか?」
多分、先帝賢者様と言われたのが、1度目の人生で賢者として生きた僕。救国の勇者様が2度目の人生の僕なんです……
「例えば座学テストの満点は各教科100点満点なのです。しかしノア君は、薬草学では、ポーションの作製方法だけに限らず、聞いた事もない痺れリキッドや伝説と言われるエリクサーの作製方法まで記載していましたね。薬草学の教官が、君の記載した通りに作製してみると、痺れリキッドなる痺れ薬。どんな怪我や病気も治ると言われるエリクサーが完成したと報告を受けています。」
何も知らない無能な教官に知識を分け与えてやろうという親切心がまたここでも仇になったのか……
「せっかくのエリクサーや痺れリキッドの調合方法を教えてあげたのに、それが問題になるのですか?」
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