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新人冒険者

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 ギルドに戻り受付に向かう。

 「あれ?忘れ物ですか?」

 「いえ、依頼を達成してきたんですが、どこに置けばいいですか?」

 「え?もうですか?先ほど、気をつけて!と声を掛けてからまだ数刻も経っていませんが……」

 「ハハハ。僕小さいから、足が速いんで。でどこに置けば?」

 「あっはい。じゃあこのカウンターに置いて下さい。」

 受付嬢はどこに依頼品があるんだ?と目で探している。立ち上がった受付嬢はかなりボリュームがある身体つきのようだ。

 アイテムボックスからカウンターに[薬草]✖️150、[毒消し草]✖️120を出した。カウンターに載せられず、カウンター越しの机にまで落ちてしまった。

 「えーー!こんなにいっぱいーー!?」

 受付嬢の大きな声により、周囲の注目を浴びてしまった。

 「取り乱して申し訳ございません。すぐにチェックしますので、お待ち下さい。」

 受付嬢は薬草、毒消し草を並べて品質チェックと数を数えている。僕は受付嬢のたわわな果実が気になっていた。

 そうだ!あれがあった!

 アイテムボックスから【透けるメガネ】を取り出し、おもむろに掛けて受付嬢を見る。

 この服が透けて見える魔道具はこの時のためにあったのだ。カウンターの上から薬草を取ったり、下に並べたり、色んな動きをする受付嬢の全てが見渡せていた。何という贅沢な待ち時間であろうか。これ以上の贅沢な待ち時間を僕は知らない。

 「ノア様…ノア様…」

 おっと品質チェックが終わったのか……会話をする時に、このメガネを掛けているとろくに会話が出来ない。泣く泣くメガネを外した。

 「薬草、毒消し草共に、全て問題ありません。全て買取りでよろしいですか?」

 「はい、お願いします。」

 「それでは、薬草で銀貨15枚。毒消し草で銀貨12枚の合計銀貨27枚です。お確かめ下さい。あと貢献度を記録しますのでギルドカードの提出をお願いします。」

 僕は銀貨を受け取り、代わりに首からギルドカードを外し受付嬢に手渡した。

 「あと《ホーンラビット》と《白豚》の買取りをお願いしたいのですが……」

 「申し訳ありません。動物の買取りは、商業ギルドが行なっています。あちらのカウンターでの買取りになるんです。」

 手で示された方向には、小振りだが引き締まった身体の受付嬢が居た。

 「分かりました。あちらで買取りしてもらいます。」

 記録して貰ったギルドカードを受け取り、僕はソワソワしながら、商業ギルドカウンターに来た。

 「すいません。《ホーンラビット》と《白豚》の買取りをお願いしたいのですが……」

 
 
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