人生５周目！！５度目の人生はマッタリ冒険者になります。

新人冒険者

６

　「錬成！」

　まずは、精製し不純物を取り除く。ついでに手持ちの鉄を全てインゴットに加工した。これで剣以外を作製する時にも、便利がいい。

　鉄のインゴットを二つ手元に残して、残りは再度収納しておく。今必要なのは武器だけだ。

　「錬成！」

　刃渡り８０㌢㍍ほどの、両刃の短剣を作製した。すぐに破損しない様に、［耐久性向上］と［汚染洗浄］を付与した。魔力の動力源がないので、付与魔法をかけた時の魔力が切れれば、効果がなくなるが、この討伐の間はもつだろう。

　木材と銅で剣の鞘さやも作製した。

　鞘さやを腰に刺してみる。うん、大丈夫だ。動きの邪魔にならない。まだ身体が小さいので、短剣にして正解だったようだ。

　よし、準備はいいだろう。

　街から出て、人目がない事を確認すると、［フライ］の魔法で、風を身体に纏まとい、空に飛び立つ。

　依頼書にあったゴブリンに襲撃された街までは、しばらくかかりそうだ。

　油断しないように、［探索］と［感知］を発動させ、異変があれば気付けるようにしていた。

　◇　◇　◇　◇

　襲撃された街が見えてきた。うっすらと煙りが漂っている。

　街の入り口付近で、地面に降り立った。

　人の気配がない……

　街に入ってみると、すでに手遅れだった……

　男達や、老人は無残な死骸を晒している。

　女性の姿はない……恐らく連れて行かれたのだろう……ゴブリンは女性を攫さらい、陵辱りょうじょくし、自らの子種を宿す、宿腹にするのだ。男達は、役に立たないと無残に惨殺される。冒険者に広く知られたゴブリンの生態だ。

　ゴブリンの個体はそれほど強くないが、群れを組み、狡猾なため、数が多いと厄介な魔物である。ゴブリン討伐の報酬は比較的少なく、貢献度も低いため、討伐する者が少ない。天敵がいない害虫は、自然と数が多くなるのである。

　木の柵が壊された跡を見つけた。この柵からゴブリンは侵入して来たのだろう。恐らく一度、ゴブリンの偵察隊が街を襲おそい、街の住民が［ゴブリン退治］の依頼をギルドに出したのだろう。しかし依頼を受ける者がおらず、本格的なゴブリンの襲撃により、街は崩壊させられたのではないか……

　壊された木の柵からゴブリンの足跡の方を追跡して行く。ここからは警戒する必要がある。

　［隠蔽］をかけ僕の姿を隠す。［探索］をかけ直しゴブリンの位置を確認する。少し先の洞窟？洞穴？にかなりの数のゴブリンを確認した。［感知］もかけ直し、罠や異変にいち早く気付くようにした。