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 「それは……私達と新たな国家を建設するのです。」

 「なんと?新たな国家を建設?」

 「私には、ご存知かも知れませんが、人の才能をる事が出来ます。今は軍隊に入っているが、実は商売の才能があるや、鍛冶屋としての才能があるなどその人の素質をる事が出来るのです。これほど大勢の軍隊員が居れば、国家を形成する中核となる人材が揃うはずです。いかがですか?しがらみに囚われず、新たな輝ける生活を求めませんか?」

 「今すぐには返答は出来ん……」

 即答出来ないと分かっていたが、すぐさま断らなかった事をみても、腹に据えかねている事情があるのだろう。

 私達は、大きな湖の場所まで戻ってきた。

 軍隊は船は用意出来ず、湖の周囲をぐるっと迂回して回るようだ。この森で私達を追い掛けていた軍隊はどうなったであろう。

 「私達を、追っていた軍隊の方々はどうなりましたか?今も息災にしておりますか?」

 指揮官がぴたりと止まった。

 「捕らえられ……聖女の貴方達と内通して、わざと逃亡を手助けしたという罪で……処分された……」

 やはり!

 「それが貴方にも起こる未来です。貴方も、もう充分分かっているのでしょう?アルフォンス公爵には、もはや誠意や常識は通じません。傲慢の化け物となっているのです。」

 「お前の与太話を信じて全てを捨てろというのか?」

 「私の話が正しかった時には、貴方はもう囚われの身です。一族郎党皆殺しの目に合うでしょう。」

 「もういい!その話はやめろ!」

 指揮官は口をつぐんでしまった。説得失敗だ……

 下っ端兵士達はヒソヒソ話をしながら、歩いている。

 「そういや聞いたか?この森に聖女を捕らえに来ていた軍隊の話。」

 「ああ、指揮官をはじめ、部隊長達も内通の疑いで処刑されたんだろ?」

 「俺さっき聖女様が、指揮官に話していたのを聞いちゃったんだ。俺達も無実の罪で問われるかもって……」

 「マジかよ!?どうせあのイカレ公爵だろ?あいつマジなんなんだよ!」

 「俺は親戚が聖女様に治療してもらった事があるから聖女様を信じたいな……」

 「そりゃ俺だってそうだよ。イカレ公爵の為には働きたくないよ。」

 私に聞こえているのだから、指揮官にも聞こえていた筈だ……しかし指揮官は一言も発しない。

 その時私に嫌な予感がした!

 「みんな集まって!早く私の周りに集まって!」

 『偉大なる大地よ!私達をお護りたまえ!』

 鳥達が一斉に羽ばたいている。動物達も鳴き声をあげ、どこかに走り出した!

 次の瞬間、地から突き上げるような衝撃があった。木々が揺れ、次々に倒れている。

 「みんな大丈夫?」
 
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