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拝啓ドッペルゲンガー
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夏休みの終わり頃、僕の頭の中には、混乱と何とも言えない嬉しさがあった。
━━どうもこんにちは。君の分身です。
そう言って現れた、僕に良く似た僕が目の前に立っていた。
なんの冗談かと思ったが、そいつは紛れもなく僕だった。
彼は、困惑している僕を差し置いて喋り始めた。
「もう1人自分がいたら。と考えましたね」
「そんな願いが僕を呼んだのです。」
そりゃ願ったさ。
そんなこと誰だって願うことだろう?
だけど、僕は"なんでもやってくれる"言わばドッペルゲンガーに、自分でやりたくない事は全て押し付けた。
結果は全て僕に来るし、僕が得すること以外無かった。
もう勉強も、運動も、手伝いもなにもかもしなくていい。
そう思うと、急に彼の存在に意義を感じた。
「なんでもやります。君の分身ですから。」
彼は含み笑いでそう言った。
夏休みが終わり、学校が始まる頃。
僕はもちろん、"なんでもやってくれる"彼に行かせた。
そんな日が何日も続いた。
次の週の月曜日。
久々に学校には僕が行った。
だけど
だけど、僕の知っている僕の居場所はもうどこにも無かった。
知らない昨日
知らない言葉
そして、僕の知らない僕。
そうやっていつの間にか、僕自信の影は溶けて行った。
━━僕は一体何なんだろう。
どうか存在を返して…
そう願ったってもう、遅かったんだ。
「生憎様だけど、こっちはこっちで随分心地が良くてねぇ。」
「もうお前の居場所はここに無いこと、分かっ てるんだろう?」
「なぁ奪われたなら奪えばいいだろ?
今度はお前の番なんだよ。」
僕は何も言い返せなかった。
抑えきれない程の厭悪感が溢れ出てきた。
彼は不敵な笑みを浮かべて、僕を演じ続けた。
奪えるものなら奪いたい。
だけど、それが出来ないのは僕が1番知っていた。
命の椅子は一つだけ。
そんなこと分かりきっていた。
もう、僕じゃなくていい。
誰でもいいから、何でもいいから、
誰か…誰か僕に……器を…
「僕の方がちゃんと君を生きてやるから」
「君も次の誰かをちゃんと救わなくちゃ。」
「もう分かってんだろ?何をすればいいかさ。」
悔しさと、悲しさと、苦しさが、無力な僕を襲った。
どうか誰か僕に奇跡をくれよ…!
もう分からない。
君は誰?
僕は誰?
もう止まれない。もう戻れない。
一瞬でも「もう1人僕がいたら」なんて思った僕を憎んだ。恨んだ。………殺したかった。
僕という存在は
僕という居場所は
もう、昔の様にはこの世界には無かった。
「上手くやれよ。」
そう言って僕は
僕を棄てた。
夏の星が
嫌になるほど輝いている夜だった。
「僕は違う僕になる。」
そう決めた、夜だった。
━━どうもこんにちは。君の分身です。
━━どうもこんにちは。君の分身です。
そう言って現れた、僕に良く似た僕が目の前に立っていた。
なんの冗談かと思ったが、そいつは紛れもなく僕だった。
彼は、困惑している僕を差し置いて喋り始めた。
「もう1人自分がいたら。と考えましたね」
「そんな願いが僕を呼んだのです。」
そりゃ願ったさ。
そんなこと誰だって願うことだろう?
だけど、僕は"なんでもやってくれる"言わばドッペルゲンガーに、自分でやりたくない事は全て押し付けた。
結果は全て僕に来るし、僕が得すること以外無かった。
もう勉強も、運動も、手伝いもなにもかもしなくていい。
そう思うと、急に彼の存在に意義を感じた。
「なんでもやります。君の分身ですから。」
彼は含み笑いでそう言った。
夏休みが終わり、学校が始まる頃。
僕はもちろん、"なんでもやってくれる"彼に行かせた。
そんな日が何日も続いた。
次の週の月曜日。
久々に学校には僕が行った。
だけど
だけど、僕の知っている僕の居場所はもうどこにも無かった。
知らない昨日
知らない言葉
そして、僕の知らない僕。
そうやっていつの間にか、僕自信の影は溶けて行った。
━━僕は一体何なんだろう。
どうか存在を返して…
そう願ったってもう、遅かったんだ。
「生憎様だけど、こっちはこっちで随分心地が良くてねぇ。」
「もうお前の居場所はここに無いこと、分かっ てるんだろう?」
「なぁ奪われたなら奪えばいいだろ?
今度はお前の番なんだよ。」
僕は何も言い返せなかった。
抑えきれない程の厭悪感が溢れ出てきた。
彼は不敵な笑みを浮かべて、僕を演じ続けた。
奪えるものなら奪いたい。
だけど、それが出来ないのは僕が1番知っていた。
命の椅子は一つだけ。
そんなこと分かりきっていた。
もう、僕じゃなくていい。
誰でもいいから、何でもいいから、
誰か…誰か僕に……器を…
「僕の方がちゃんと君を生きてやるから」
「君も次の誰かをちゃんと救わなくちゃ。」
「もう分かってんだろ?何をすればいいかさ。」
悔しさと、悲しさと、苦しさが、無力な僕を襲った。
どうか誰か僕に奇跡をくれよ…!
もう分からない。
君は誰?
僕は誰?
もう止まれない。もう戻れない。
一瞬でも「もう1人僕がいたら」なんて思った僕を憎んだ。恨んだ。………殺したかった。
僕という存在は
僕という居場所は
もう、昔の様にはこの世界には無かった。
「上手くやれよ。」
そう言って僕は
僕を棄てた。
夏の星が
嫌になるほど輝いている夜だった。
「僕は違う僕になる。」
そう決めた、夜だった。
━━どうもこんにちは。君の分身です。
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