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私にいきなり後ろから抱きついて来たのは、
見知らぬ女性だった。
へリュ様ほど長身ではないけれど、すらりと背の高い、褐色の肌と長い真っ直ぐな黒髪が印象的で、青い瞳はその声音の陽気さとは裏腹に知性を感じさせた。
「あ、あの⁇」
イロラ少尉が敬礼する。
「お戻りでしたか、ユーセラ閣下!」
「久しぶりね、イロラ少尉。あなたも大変ねって激励でもしようかと思ったら、姫様に先越されちゃったわ。でもあたしが話すよりあなたには良かったみたいね」
「いえ、勿体ない事であります!」
「じゃ、姫様はあたしが攫って行くわね。あなたは任務に戻って頂戴」
「はっ!」
イロラ少尉は詰所に戻る。
外相様はヒラヒラと手を振っている。
「あの……私は攫われるのですか?」
私は未だ抱きつかれている。
「えぇ。どうせうちの朴念仁達は碌に構いもせず、城に閉じ込めてほったらかしにしてるんでしょ? あたしと城下に出ましょ!」
唐突に誘われた城下に誘惑される。
「……行きたいです」
「決まりね! さ、流石にその格好じゃ不味いから私の居館に行ってお着替えしてからね」
道すがら、外相様はずっとお喋りしてくれていた。
「私、昨日帰って来たのよ、疲れ果ててるのに陛下にご報告に行ったのに、『よしなに』それだけよ? 信じられる? あの朴念仁!」
「陛下は言葉少なな方ですから……」
私はその勢いにたじろぐ。
「少ないにも程ってものがあるわよ。ホントに昔から変わらないんだから! あ、姫様は陛下といつもどんな会話してるの?」
「どんな……? と言われたら困りますけど、普通の会話ですよ? 陛下も喋って下さいますし」
陛下との会話を思い出しながら言う。
「よかった! 流石に自分の惚れた女に位はまともに喋るのね。そんな所まで物臭だったら、流石に面倒見切れないわよ」
外相様がサラリと言った言葉につい反応して頬が紅潮する。
「あら、照れる事ないわよ。周知の事実なんだから」
やっぱりサラリと言う。
けれど、私の紅潮が引く事はなかった。
「ウブなのね。すごく可愛い」
外相が足を止めて、私の頬にキスをした。
「ヘっ⁉︎ が、外相様⁉︎」
「あたし、可愛い女の子って大好物なの。
今のは忠義の挨拶よ。陛下の御正妃として、忠誠を誓うわ」
更に私の手を取って、手の甲にキスをする。
「あ、あの……あ、ありがとうございます」
私はやっぱり更に赤くなってしまう。
ほっぺにキスされたのなんて、子供の時親にされて以来だったので、ドキドキが止まらない。
「イロラ少尉とのやり取りを見ちゃったの。覗き見なんてしてごめんなさい」
「いえ、それは構いませんけど……」
外相様が少し真剣な眼差しになる。
まっすぐ前を見て告げる。
「でも、陛下には姫様が必要だって確信したわ」
くるりと私の方を向く。
「どうか陛下共々、我らを導いてね」
「え⁉︎ 私が導くのではないですよ⁉︎ 全て陛下の御方針で…」
「姫様? 残念ながら陛下は大変な怠け者なのよ?
なんせこの間まで、8年近く引きこもっていた人だもの。
今まで我らに命じる事はと言えば、『現状維持』って頬杖ついて言うだけだったのよ⁈
姫様にお尻を叩いて貰わないと働けないの!
…さ、着いたわ、ここが私の居館よ」
城外に出て比較的近い場所に居館はあった。
外相様が手配してくれて、
居館の侍女さん達が用意してくれた町民風の服に着替えた。
見知らぬ女性だった。
へリュ様ほど長身ではないけれど、すらりと背の高い、褐色の肌と長い真っ直ぐな黒髪が印象的で、青い瞳はその声音の陽気さとは裏腹に知性を感じさせた。
「あ、あの⁇」
イロラ少尉が敬礼する。
「お戻りでしたか、ユーセラ閣下!」
「久しぶりね、イロラ少尉。あなたも大変ねって激励でもしようかと思ったら、姫様に先越されちゃったわ。でもあたしが話すよりあなたには良かったみたいね」
「いえ、勿体ない事であります!」
「じゃ、姫様はあたしが攫って行くわね。あなたは任務に戻って頂戴」
「はっ!」
イロラ少尉は詰所に戻る。
外相様はヒラヒラと手を振っている。
「あの……私は攫われるのですか?」
私は未だ抱きつかれている。
「えぇ。どうせうちの朴念仁達は碌に構いもせず、城に閉じ込めてほったらかしにしてるんでしょ? あたしと城下に出ましょ!」
唐突に誘われた城下に誘惑される。
「……行きたいです」
「決まりね! さ、流石にその格好じゃ不味いから私の居館に行ってお着替えしてからね」
道すがら、外相様はずっとお喋りしてくれていた。
「私、昨日帰って来たのよ、疲れ果ててるのに陛下にご報告に行ったのに、『よしなに』それだけよ? 信じられる? あの朴念仁!」
「陛下は言葉少なな方ですから……」
私はその勢いにたじろぐ。
「少ないにも程ってものがあるわよ。ホントに昔から変わらないんだから! あ、姫様は陛下といつもどんな会話してるの?」
「どんな……? と言われたら困りますけど、普通の会話ですよ? 陛下も喋って下さいますし」
陛下との会話を思い出しながら言う。
「よかった! 流石に自分の惚れた女に位はまともに喋るのね。そんな所まで物臭だったら、流石に面倒見切れないわよ」
外相様がサラリと言った言葉につい反応して頬が紅潮する。
「あら、照れる事ないわよ。周知の事実なんだから」
やっぱりサラリと言う。
けれど、私の紅潮が引く事はなかった。
「ウブなのね。すごく可愛い」
外相が足を止めて、私の頬にキスをした。
「ヘっ⁉︎ が、外相様⁉︎」
「あたし、可愛い女の子って大好物なの。
今のは忠義の挨拶よ。陛下の御正妃として、忠誠を誓うわ」
更に私の手を取って、手の甲にキスをする。
「あ、あの……あ、ありがとうございます」
私はやっぱり更に赤くなってしまう。
ほっぺにキスされたのなんて、子供の時親にされて以来だったので、ドキドキが止まらない。
「イロラ少尉とのやり取りを見ちゃったの。覗き見なんてしてごめんなさい」
「いえ、それは構いませんけど……」
外相様が少し真剣な眼差しになる。
まっすぐ前を見て告げる。
「でも、陛下には姫様が必要だって確信したわ」
くるりと私の方を向く。
「どうか陛下共々、我らを導いてね」
「え⁉︎ 私が導くのではないですよ⁉︎ 全て陛下の御方針で…」
「姫様? 残念ながら陛下は大変な怠け者なのよ?
なんせこの間まで、8年近く引きこもっていた人だもの。
今まで我らに命じる事はと言えば、『現状維持』って頬杖ついて言うだけだったのよ⁈
姫様にお尻を叩いて貰わないと働けないの!
…さ、着いたわ、ここが私の居館よ」
城外に出て比較的近い場所に居館はあった。
外相様が手配してくれて、
居館の侍女さん達が用意してくれた町民風の服に着替えた。
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