人質同然だったのに何故か普通の私が一目惚れされて溺愛されてしまいました

ツヅミツヅ

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 王妃の間のドローイングルームで、儂は姫を待つ。
 いつもなら政務が終わると図書の間かこの部屋にいて儂に笑いかける。
 今日は外相が街に連れ出したと言う。
 どういうつもりだ、あいつは。
 長椅子に腰掛け頬杖をついて、帰りを待つ。

 ガチャリと王妃の間の扉が開く。

 そこから見慣れぬ平民の服を着た姫が現れる。
「⁉︎ 陛下! おられたのですね」
 ふわりと姫が笑いかける。
「街に行っていたらしいな」
 儂は意図せず不機嫌に返してしまう。

 姫は儂のいる長椅子まで歩み、袋を差し出した。
「はい、ウルリッカ様が誘って下さったのでつい出たくなってしまいました。ほら、お土産もありますよ」

 儂は姫の手元の袋をチラリと見る。
「クスリコ飴か……」
 にこりと笑って姫が言う。
「ウルリッカ様のオススメなんですよ。この飴は柔らかいのですね。こんなに美味しい飴初めて食べました」

「……楽しかったか?」
 儂はポツリと聞く。
「はい。とっても楽しかったです!
 ……でも、次は陛下とご一緒出来たらいいなって思いました」
 姫は満面の笑みで屈託なくそう告げる。

 それを見て、長椅子の座面を人差し指で軽く突き、隣に座る様促す。
 姫はそれに従い、儂の隣にゆっくり腰掛ける。
「それでは次は儂と行こう」
 そう言って、姫の頬に指先で触れる。
 姫は少し頬を紅潮させている。
「はい」
 笑って答えた。
「実は陛下。お願いしたい事があるんです」
「なんだ?」
「クリスティアン諸島にある、セオ島に行きたいんです」
「姫が所有しているエメラルドの鉱山がある島だな」
「そうです。あの島は太公様が倒れて以来一度も視察が入ってないんです。一応私は坑夫達の雇い主なので、行っておかないといけないなって」
「しかし唐突だな」
「実は今日、ウルリッカ様に全部お金を出して頂いて……。
 お小遣い位持ってないと良くないなと思いまして……。
 でも、太公様の御遺産は莫大なので何から手をつけていいのかわからずに放置してましたけど……、そろそろどうにかした方がいいと思ったんです」

「ふむ……セオ島なら船で三日という所だな。行くか」
「へ? 陛下は御政務がありますから、ダメですよ⁉︎」
 儂は姫の手を取る。
「……姫。儂はこの所、疲れた。少し骨休めをしたい。……いかんか?」
「…………」
 姫は悩んでいる様子で儂をじっと見つめている。
 その手の甲に唇を寄せながらチラリと姫を見る。
 みるみる頬を紅潮させる様はいつ見ても可愛い。
「……姫」
「……わ、わかりました……。さ、宰相様にご許可を頂けるなら……」

 宰相の許可なら容易かろう。

「わかった」
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