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陛下と二人で館に戻ると、アンナさんもイエンニさんもラウラさんも随分と改まってしまった。
「御正妃様、知らぬ事とはいえ、随分失礼を働いてしまいまして、申し訳ございません!」
アンナさんが頭を下げ、イエンニさんとラウラさんもそれに続く。
「頭を上げて下さい! 私が身分を隠してこちらに雇われたのですから、そんな風に謝らないで下さい」
「そういう訳には参りません」
「どうかもう、気にしないで下さい。それよりもアンナさん達には次に来る館長の元、引き続きこの館の家事一切をお任せしたいんです。もし人手が足りないなら新たに雇い入れたいと思っています。やはり侍女と料理人でしょうか?」
アンナさんは顔を上げて返事する。
「そうですね、正直に申し上げますと、後侍女1、2人は雇い入れて頂きたいですね。何せ館は広うございますので行き届かない場所もございます。
料理人は坑夫達の食事がありますから、それを今は料理長が一人で賄っているのです。昨日の様に晩餐などが入るととても手の回らない様子ですね」
「わかりました。給与や待遇に不満はないですか?」
「申し上げにくいのですが……、給与は普通に比べると少し安いと感じております」
「わかりました。それも適正価格をお支払いします」
ヤルヴァは本当にケチだった様で、小さな出費も抑えて、自分の懐に入れてたらしい。
「寄宿舎も建て替え次第、人を雇い入れようと思います。あちらは今は掃除も入っていない様ですから。しっかり者のイエンニさんに寄宿舎の侍女長をお任せしたいと思ってるのですが……いかがでしょうか?」
「私でございますか⁉︎」
「はい。アンナさんの許可が得られればですけれど……」
「イエンニでしたら侍女長も務まると思いますわ」
イエンニさんは恐縮して首を横に振っている。
「いや、そんな、私……、務められるかわかりません!」
「大丈夫ですよ。ねぇ、ラウラさん」
「はい! 私もイエンニさんなら務まると思います!」
イエンニさんは考える様にして沈黙した後、意を決して声を発した。
「……私で良ければ……務めさせて頂きます」
「良かった! 引き受けてもらえて! これからもこのセオ鉱山の館をよろしくお願いしますね。要望があったらどんどん上げて下さいね。出来うる限りの事はさせて頂きますから」
「勿体ないお言葉です」
アンナさんが頭を下げると、他の二人も倣って頭を下げた。
結局頭を下げられてしまった。
「本当にそんなに畏まらないで下さいね⁈」
私は困ってしまい、話を終わらせる事にした。
「では今日の業務、頑張って下さいね」
本当は侍女の仕事をしたかったけど、この畏まってしまったアンナさん達だと、逆に気を使うだろうと思い、お任せする事にした。
自分達の部屋に陛下と二人で戻る。
部屋は最初に案内された場所から移していない。
陛下も私も特に不満がなかったので、自然とこのままここに居着いた。
「はぁ……皆さん、なんだか凄く畏まってしまいましたね」
陛下はくつくつと笑った。
「まぁ、女神とまで言われては疲れもするか」
「はい……女神は幾らなんでも言い過ぎです……。しかも坑夫の皆さん張り切ってしまったし……。でも、しなければいけない事が増えました。まずは責任者と坑夫長、何より信頼出来るお目付役が要りますね。寄宿舎の建設も急務です。建築士を派遣して街の工房に依頼しなくてはいけませんね」
「責任者達は俺から派遣しても良いぞ? 俺も鉱山を持っている。それらを移動させれば良い」
「しかし、アナバス様の鉱山の人手が足りなくなりませんか?」
「その点は問題ない。人は育てる様に言ってある」
「そうですか。でしたらお願いします」
「寧ろセオの方が働き良いと言うかもしれんな」
陛下が笑う。
私も笑ってをそれに答えた。
セオ島の最後の1日は穏やかに過ぎていった。
「御正妃様、知らぬ事とはいえ、随分失礼を働いてしまいまして、申し訳ございません!」
アンナさんが頭を下げ、イエンニさんとラウラさんもそれに続く。
「頭を上げて下さい! 私が身分を隠してこちらに雇われたのですから、そんな風に謝らないで下さい」
「そういう訳には参りません」
「どうかもう、気にしないで下さい。それよりもアンナさん達には次に来る館長の元、引き続きこの館の家事一切をお任せしたいんです。もし人手が足りないなら新たに雇い入れたいと思っています。やはり侍女と料理人でしょうか?」
アンナさんは顔を上げて返事する。
「そうですね、正直に申し上げますと、後侍女1、2人は雇い入れて頂きたいですね。何せ館は広うございますので行き届かない場所もございます。
料理人は坑夫達の食事がありますから、それを今は料理長が一人で賄っているのです。昨日の様に晩餐などが入るととても手の回らない様子ですね」
「わかりました。給与や待遇に不満はないですか?」
「申し上げにくいのですが……、給与は普通に比べると少し安いと感じております」
「わかりました。それも適正価格をお支払いします」
ヤルヴァは本当にケチだった様で、小さな出費も抑えて、自分の懐に入れてたらしい。
「寄宿舎も建て替え次第、人を雇い入れようと思います。あちらは今は掃除も入っていない様ですから。しっかり者のイエンニさんに寄宿舎の侍女長をお任せしたいと思ってるのですが……いかがでしょうか?」
「私でございますか⁉︎」
「はい。アンナさんの許可が得られればですけれど……」
「イエンニでしたら侍女長も務まると思いますわ」
イエンニさんは恐縮して首を横に振っている。
「いや、そんな、私……、務められるかわかりません!」
「大丈夫ですよ。ねぇ、ラウラさん」
「はい! 私もイエンニさんなら務まると思います!」
イエンニさんは考える様にして沈黙した後、意を決して声を発した。
「……私で良ければ……務めさせて頂きます」
「良かった! 引き受けてもらえて! これからもこのセオ鉱山の館をよろしくお願いしますね。要望があったらどんどん上げて下さいね。出来うる限りの事はさせて頂きますから」
「勿体ないお言葉です」
アンナさんが頭を下げると、他の二人も倣って頭を下げた。
結局頭を下げられてしまった。
「本当にそんなに畏まらないで下さいね⁈」
私は困ってしまい、話を終わらせる事にした。
「では今日の業務、頑張って下さいね」
本当は侍女の仕事をしたかったけど、この畏まってしまったアンナさん達だと、逆に気を使うだろうと思い、お任せする事にした。
自分達の部屋に陛下と二人で戻る。
部屋は最初に案内された場所から移していない。
陛下も私も特に不満がなかったので、自然とこのままここに居着いた。
「はぁ……皆さん、なんだか凄く畏まってしまいましたね」
陛下はくつくつと笑った。
「まぁ、女神とまで言われては疲れもするか」
「はい……女神は幾らなんでも言い過ぎです……。しかも坑夫の皆さん張り切ってしまったし……。でも、しなければいけない事が増えました。まずは責任者と坑夫長、何より信頼出来るお目付役が要りますね。寄宿舎の建設も急務です。建築士を派遣して街の工房に依頼しなくてはいけませんね」
「責任者達は俺から派遣しても良いぞ? 俺も鉱山を持っている。それらを移動させれば良い」
「しかし、アナバス様の鉱山の人手が足りなくなりませんか?」
「その点は問題ない。人は育てる様に言ってある」
「そうですか。でしたらお願いします」
「寧ろセオの方が働き良いと言うかもしれんな」
陛下が笑う。
私も笑ってをそれに答えた。
セオ島の最後の1日は穏やかに過ぎていった。
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