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もうお昼過ぎになって、お茶会が始まる。
陛下をお見送りした後、私は早速このお茶会の為に用意されたドレスを身に纏う。
今回のドレスはプストに近い時期ということもあって、紫を主体にした、彩りの豊かな刺繍の施された華やかな物が選ばれた。
私にはこんな華やかなドレスは似合わないと戸惑ったのだけど、侍女の皆んなが薦めてくれたので、従う事にしてみた。
自分の事はよく見えないもので、他人から客観的にみたら、案外おかしくなかったりするのかもしれないので、こういう助言は聞き入れた方がいいとお母様が言っていたので、その教えに倣ってみる。
そしてそれに、前王妃、つまり亡き陛下のお母様がご愛用されていた、金剛石ダイヤモンドのネックレスとイヤリング、髪飾りを合わせる。
宝石類は特に私が新しい物を買う事を拒否するので、何とか購入せずに国庫にあるものを皆に上手く活用してもらっている。
だって、宝石類は購入しなくて、陛下が個人的に所有されてる鉱山で採れる一番上等な物をお誕生日でも記念日でもお祝いでもないのに、いつもプレゼントして下さる。それに加えて、私の所有する鉱山でも同じ様に私の為にと一番上等な物は、いの一番で私の元に送り届けられる。そんな調子なので私の財産はどんどん増える一方で、減る気配がない。
セオ島だけではなく、他に所有してる鉱山もいくつかあるので、エメラルドだけでなく真珠やサファイアなんかも送られて来る。
セオ島をはじめとした、私が所有する鉱山やお店の従業員達に出来得る限り還元する為に使っているけど、使う以上にお金が入って来る状態だ。
最近ではデボラ姉さん達のお店も本当に繁盛していて、店舗や従業員を増やす話を進めている。
私自身は大した働きをしていないのに、何故か私の元にばかり財が集まって来る。
その戸惑いを陛下に吐露しても、陛下はただ笑って、貰っておけば良いと仰るだけだ。
こんな状況なので、自分の為に装飾品を国庫から買って頂く気になれずにいて、私はこういう華やかな席では陛下から贈って頂いた物や私の鉱山から送られて来た宝石類や、国庫に保管されてる物を身につけている。
そんな風に着飾った私は、今回初めて妾妃のお二人や、各諸侯、官吏の伴侶や、ご子息、ご息女の皆様、海軍はもちろんの事、陸軍の将校の伴侶やご子息、ご息女をお呼びして、大々的なお茶会を催して、緊張気味に会場入りを待っている。
私の様ななりたての王妃の招きに応じて下さるか心配だったけど、皆さん参加して下さった。
今回、私はプストをイメージして、ヒメユズリの花を飾って、プストの様に色とりどりの垂れ幕で王城の中の海の見える大きな庭園を囲った。
お茶もグリムヒルトではあまり知られていない、トーラという植物を乾燥させて、煎じて飲むトーラ茶を出した。
口当たりが良くて、どんな場面にも合うお茶だ。これは邑の皆んなが採ってきてくれた。
陛下にお出ししたらとてもお気に召して頂けて、邑の皆んながこうして採取して、王城に卸してくれる様になった。グリムヒルトの気候ではあまりたくさんは採れないので、邑にとってはいい収入源になりそうだ。
会場は風変わりなお茶会に最初は戸惑っておられた様子だったけど、いつもとは違うマンドリンを主体とした音楽や、珍しい味のお茶、そしてマグダラスのシンプルなおやつや軽食にと、熱気がどんどん増していく。
盛り上がっている所に、私はご挨拶をする為、会場に登場する。
内殿側から私が侍女達を伴って登場すると、音楽が止められて、私に皆の視線が集中した。
「皆様、本日は私のお茶会にようこそおいで下さいました」
私は背筋をピンと伸ばして、出来るだけ王妃然として他所行きの澄ました声で語り始める。
「本日は王都の大きな庶民のお祭り、プストをモチーフにしたお茶会を催しました。そしてお茶とお料理は私の故郷、マグダラスで食されている物をお出ししております」
皆がじっと私を見つめている。こんなにたくさんの人の前でこんな風に自分の言葉で喋るなんて、初めてで緊張する。
「そしてお茶は先日発見された、純血の住む邑で採れる植物で淹れたお茶、トーラ茶です。お気に召して頂けたなら嬉しく思います」
皆から少し感嘆の入り混じった様な溜息が聞こえてきた。
「陛下と私は純血の海の民と地の民です。ですが互いに理解を重ね、今日に至ります。ちょうどこのお茶会の様に、互いの良い所が重なり合って、共に手を取り合ってより良い未来に進めて行きたいと互いに願っております」
皆が体全てをこちらに向けて、私の話を聞いて下さる。
「陛下との間には難しい問題もございましたけど、その度に陛下は私のお話を聴いて下さいました。陛下の臣下である私達も陛下に倣って、互いの話に耳を傾ける事で理解を深めていければと思います。その証としてこのお茶会を催しました。どうぞ本日は楽しんで行かれます様に」
最後はお母様直伝の聖母の微笑みを浮かべる。
会場は大きな拍手が鳴り響いた。
そのまま、私は微笑みを湛えたまま、用意された私の席に静々と着席した。
陛下をお見送りした後、私は早速このお茶会の為に用意されたドレスを身に纏う。
今回のドレスはプストに近い時期ということもあって、紫を主体にした、彩りの豊かな刺繍の施された華やかな物が選ばれた。
私にはこんな華やかなドレスは似合わないと戸惑ったのだけど、侍女の皆んなが薦めてくれたので、従う事にしてみた。
自分の事はよく見えないもので、他人から客観的にみたら、案外おかしくなかったりするのかもしれないので、こういう助言は聞き入れた方がいいとお母様が言っていたので、その教えに倣ってみる。
そしてそれに、前王妃、つまり亡き陛下のお母様がご愛用されていた、金剛石ダイヤモンドのネックレスとイヤリング、髪飾りを合わせる。
宝石類は特に私が新しい物を買う事を拒否するので、何とか購入せずに国庫にあるものを皆に上手く活用してもらっている。
だって、宝石類は購入しなくて、陛下が個人的に所有されてる鉱山で採れる一番上等な物をお誕生日でも記念日でもお祝いでもないのに、いつもプレゼントして下さる。それに加えて、私の所有する鉱山でも同じ様に私の為にと一番上等な物は、いの一番で私の元に送り届けられる。そんな調子なので私の財産はどんどん増える一方で、減る気配がない。
セオ島だけではなく、他に所有してる鉱山もいくつかあるので、エメラルドだけでなく真珠やサファイアなんかも送られて来る。
セオ島をはじめとした、私が所有する鉱山やお店の従業員達に出来得る限り還元する為に使っているけど、使う以上にお金が入って来る状態だ。
最近ではデボラ姉さん達のお店も本当に繁盛していて、店舗や従業員を増やす話を進めている。
私自身は大した働きをしていないのに、何故か私の元にばかり財が集まって来る。
その戸惑いを陛下に吐露しても、陛下はただ笑って、貰っておけば良いと仰るだけだ。
こんな状況なので、自分の為に装飾品を国庫から買って頂く気になれずにいて、私はこういう華やかな席では陛下から贈って頂いた物や私の鉱山から送られて来た宝石類や、国庫に保管されてる物を身につけている。
そんな風に着飾った私は、今回初めて妾妃のお二人や、各諸侯、官吏の伴侶や、ご子息、ご息女の皆様、海軍はもちろんの事、陸軍の将校の伴侶やご子息、ご息女をお呼びして、大々的なお茶会を催して、緊張気味に会場入りを待っている。
私の様ななりたての王妃の招きに応じて下さるか心配だったけど、皆さん参加して下さった。
今回、私はプストをイメージして、ヒメユズリの花を飾って、プストの様に色とりどりの垂れ幕で王城の中の海の見える大きな庭園を囲った。
お茶もグリムヒルトではあまり知られていない、トーラという植物を乾燥させて、煎じて飲むトーラ茶を出した。
口当たりが良くて、どんな場面にも合うお茶だ。これは邑の皆んなが採ってきてくれた。
陛下にお出ししたらとてもお気に召して頂けて、邑の皆んながこうして採取して、王城に卸してくれる様になった。グリムヒルトの気候ではあまりたくさんは採れないので、邑にとってはいい収入源になりそうだ。
会場は風変わりなお茶会に最初は戸惑っておられた様子だったけど、いつもとは違うマンドリンを主体とした音楽や、珍しい味のお茶、そしてマグダラスのシンプルなおやつや軽食にと、熱気がどんどん増していく。
盛り上がっている所に、私はご挨拶をする為、会場に登場する。
内殿側から私が侍女達を伴って登場すると、音楽が止められて、私に皆の視線が集中した。
「皆様、本日は私のお茶会にようこそおいで下さいました」
私は背筋をピンと伸ばして、出来るだけ王妃然として他所行きの澄ました声で語り始める。
「本日は王都の大きな庶民のお祭り、プストをモチーフにしたお茶会を催しました。そしてお茶とお料理は私の故郷、マグダラスで食されている物をお出ししております」
皆がじっと私を見つめている。こんなにたくさんの人の前でこんな風に自分の言葉で喋るなんて、初めてで緊張する。
「そしてお茶は先日発見された、純血の住む邑で採れる植物で淹れたお茶、トーラ茶です。お気に召して頂けたなら嬉しく思います」
皆から少し感嘆の入り混じった様な溜息が聞こえてきた。
「陛下と私は純血の海の民と地の民です。ですが互いに理解を重ね、今日に至ります。ちょうどこのお茶会の様に、互いの良い所が重なり合って、共に手を取り合ってより良い未来に進めて行きたいと互いに願っております」
皆が体全てをこちらに向けて、私の話を聞いて下さる。
「陛下との間には難しい問題もございましたけど、その度に陛下は私のお話を聴いて下さいました。陛下の臣下である私達も陛下に倣って、互いの話に耳を傾ける事で理解を深めていければと思います。その証としてこのお茶会を催しました。どうぞ本日は楽しんで行かれます様に」
最後はお母様直伝の聖母の微笑みを浮かべる。
会場は大きな拍手が鳴り響いた。
そのまま、私は微笑みを湛えたまま、用意された私の席に静々と着席した。
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