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第22話
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ぐっすり寝て起きたのは朝の6時。
カーテンの隙間から入ってくる朝日で起きるなんて初めてだ。
目を開けると目の前に何故か紫苑さん。
…このベッド紫苑さんのものだよね多分。俺、ずっと借りてたけどいいのかな?
時計の針が進む音を聞きながら紫苑さんを起こさないように観察する。
まつ毛は長いし、鼻筋は綺麗だし、眉毛すごい整えられてる…。寝顔まで綺麗だとずっと眺めてられる。
「…俺の顔に何かついているんですか?」
一瞬見えた素がすぐに隠れてしまったのを残念になぜか思いながら彼をじっと見つめる。
ベットの横に置いてある水を飲んでいる紫苑さんは朝日に照らされていて色っぽい。
「あっ、いや、なんもついてないです。紫苑さん、えっと、おはようございます。」
「はい、おはようございます。杏君。体調はどうですか?」
「スッキリしてます。ようやく学校にも…学校!無断欠席してる…やばい…どうすれば…。」
慌てる俺を見て、薄ら笑っている紫苑さん。
「まずは朝ごはんを食べましょう。」
「あ…はい。」
お洒落なリビングに紫苑さんと向かうと何故か徹さんが食事を運んでいた。
「え、徹さん…?」
「おはようございます杏様、紫苑様。」
「あっと、おはようございます。」
「朝ごはん用意してありますのでどうぞお食べください。」
「ありがとう…ございます。」
目の前に広がっているのは食パンではなく日本人の理想的な朝ごはんみたいなご飯にお味噌汁にお魚。俺の席だと思われるところに胃に優しいお粥も置いてある。
紫苑さんが席について食べ始めたので俺も席について食べる。
「あの、ここから学校ってどうやったら行けますか?」
「送りますよ。」
「えっ!そんな、えっでも……ありがとうございます。」
送ってもらうなんて初めてだ。
「私も大学に行かなきゃなので大丈夫ですよ。」
そういえば、そうだった。紫苑さんは大学生だった。
助けてもらった日はスーツ着てたし、昨日の夜はお仕事に行ってるって聞いたせいでなんだか社会人で働いているってイメージがあったから少しびっくりした。
それからしばらくして、荷物を全部持って家を出ようとしたところで徹さんに止められた。
「杏様、この家に帰って来られますから使わない教科書は置いて行ってもいいんですよ?それとも、あの家に帰る気でしたか?」
帰る気だった。
あの日衝動的に家を出たけど、どうせ近い未来に死ぬのになんで死を恐れて逃げたのか分からなかったからお腹を刺すような人が家にいても帰るべきなんだって…他人に迷惑をかけるべきではないって思ったから。
「帰らせませんよ。あの家に。」
振り返った紫苑さんがそう言い切った。
「帰らなくても…いいんですか?俺…この家に帰ってきて、迷惑になりませんか?だって俺…Ωですよ?番を解消されて、発情期にも気が付かなくなっていて、血の繋がった兄に
ヤられて、母親にお腹刺されるような!…そんな、Ωが、こんなに素敵なαの近くにいて言い訳ないじゃないですか…。」
気がついたら紫苑さんにハグされていた。
頭も撫でられて俺の頭はパニック状態だ。
「お前の家は、ここにある。お前の居場所は俺の隣にある。お前の存在は俺のためにある。わかったか?今は信じなくても忘れるな。」
低い声で耳元で言われたその言葉は俺が昔から望んでいたもの。
「さぁ、学校に行きましょうか?杏君。」
「はっはい。」
離れてそう言われた言葉は人がちがうような言い方で。もしかして紫苑さんって二重人格なのかもしれない。今度徹さんに聞いてみようと思いながら車に乗り込んだ。
カーテンの隙間から入ってくる朝日で起きるなんて初めてだ。
目を開けると目の前に何故か紫苑さん。
…このベッド紫苑さんのものだよね多分。俺、ずっと借りてたけどいいのかな?
時計の針が進む音を聞きながら紫苑さんを起こさないように観察する。
まつ毛は長いし、鼻筋は綺麗だし、眉毛すごい整えられてる…。寝顔まで綺麗だとずっと眺めてられる。
「…俺の顔に何かついているんですか?」
一瞬見えた素がすぐに隠れてしまったのを残念になぜか思いながら彼をじっと見つめる。
ベットの横に置いてある水を飲んでいる紫苑さんは朝日に照らされていて色っぽい。
「あっ、いや、なんもついてないです。紫苑さん、えっと、おはようございます。」
「はい、おはようございます。杏君。体調はどうですか?」
「スッキリしてます。ようやく学校にも…学校!無断欠席してる…やばい…どうすれば…。」
慌てる俺を見て、薄ら笑っている紫苑さん。
「まずは朝ごはんを食べましょう。」
「あ…はい。」
お洒落なリビングに紫苑さんと向かうと何故か徹さんが食事を運んでいた。
「え、徹さん…?」
「おはようございます杏様、紫苑様。」
「あっと、おはようございます。」
「朝ごはん用意してありますのでどうぞお食べください。」
「ありがとう…ございます。」
目の前に広がっているのは食パンではなく日本人の理想的な朝ごはんみたいなご飯にお味噌汁にお魚。俺の席だと思われるところに胃に優しいお粥も置いてある。
紫苑さんが席について食べ始めたので俺も席について食べる。
「あの、ここから学校ってどうやったら行けますか?」
「送りますよ。」
「えっ!そんな、えっでも……ありがとうございます。」
送ってもらうなんて初めてだ。
「私も大学に行かなきゃなので大丈夫ですよ。」
そういえば、そうだった。紫苑さんは大学生だった。
助けてもらった日はスーツ着てたし、昨日の夜はお仕事に行ってるって聞いたせいでなんだか社会人で働いているってイメージがあったから少しびっくりした。
それからしばらくして、荷物を全部持って家を出ようとしたところで徹さんに止められた。
「杏様、この家に帰って来られますから使わない教科書は置いて行ってもいいんですよ?それとも、あの家に帰る気でしたか?」
帰る気だった。
あの日衝動的に家を出たけど、どうせ近い未来に死ぬのになんで死を恐れて逃げたのか分からなかったからお腹を刺すような人が家にいても帰るべきなんだって…他人に迷惑をかけるべきではないって思ったから。
「帰らせませんよ。あの家に。」
振り返った紫苑さんがそう言い切った。
「帰らなくても…いいんですか?俺…この家に帰ってきて、迷惑になりませんか?だって俺…Ωですよ?番を解消されて、発情期にも気が付かなくなっていて、血の繋がった兄に
ヤられて、母親にお腹刺されるような!…そんな、Ωが、こんなに素敵なαの近くにいて言い訳ないじゃないですか…。」
気がついたら紫苑さんにハグされていた。
頭も撫でられて俺の頭はパニック状態だ。
「お前の家は、ここにある。お前の居場所は俺の隣にある。お前の存在は俺のためにある。わかったか?今は信じなくても忘れるな。」
低い声で耳元で言われたその言葉は俺が昔から望んでいたもの。
「さぁ、学校に行きましょうか?杏君。」
「はっはい。」
離れてそう言われた言葉は人がちがうような言い方で。もしかして紫苑さんって二重人格なのかもしれない。今度徹さんに聞いてみようと思いながら車に乗り込んだ。
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