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とろけるような初体験
ジャッカル男爵の毒牙から救い出し、正式な婚約者としてハワード侯爵家に認めさせたその夜。ギルバートは、王都の本邸ではなく、二人で過ごした思い出の詰まった別邸へとパトリシアを連れ帰った。
主寝室に灯された柔らかなキャンドルの光が、緊張で強張るパトリシアの肩を照らしている。
「……怖がらなくていい。嫌なら、今日も『お預け』にするけれど?」
ギルバートが背後から抱き寄せ、耳元で意地悪く囁く。しかし、その声はパトリシアがかつて聞いたどの言葉よりも低く、熱を帯びて震えていた。
主寝室の柔らかな天蓋の下、パトリシアはギルバートのシャツを掴む手に、いっそう力を込めた。潤んだ瞳が、彼の熱を帯びた眼差しを真っ直ぐに見つめ返す。
「……嫌じゃ、ありません。私、ギルバート様の本当の『お気に入り』になりたいんです。……ううん、お気に入りじゃなくて……貴方の、女になりたいの」
「…………っ」
ギルバートの喉が、愛おしさと欲望に小さく鳴った。その反応を確かめるように、パトリシアは震える声で言葉を紡ぎ出す。
「ジャッカル男爵の屋敷に連れて行かれた時……あの冷たい部屋で、ずっとギルバート様のことを思い浮かべていました。もし、このまま男爵に汚されて、二度と貴方に会えなくなったらどうしようって……そればかりが怖くて」
彼女の頬を、一筋の涙が伝い落ちる。
「後悔したんです。こんなことになるのなら、あの初めて別邸で過ごした夜に、無理にでも済ませておけば良かったなって。なぜ、もっとちゃんと『抱いてほしい』ってお願いしなかったんだろうって。……契約とかお預けなんて、どうでもよかった。私はただ、貴方の印が欲しかったんです」
パトリシアの告白は、あまりにも純粋で、あまりにも残酷なほどギルバートの独占欲を突き動かした。
かつて自分が「遊び」の境界線として守っていた一線が、いかに彼女を不安にさせ、孤独にさせていたか。ギルバートは胸を締め付けられるような想いで、彼女の涙を唇で拭った。
「……すまなかった、パトリシア。もう二度と、そんな後悔はさせない」
ギルバートは彼女の身体を優しく、けれど逃げ場を塞ぐようにシーツへと押し倒した。
「君が願わなくても、もう僕の方が我慢できないんだ。……君の心も、身体も、その記憶のすべてを、今夜僕が塗り替えてみせる。誰にも触れさせない。君を支配していいのは、世界で僕一人だけだ」
重なり合った視線の先で、キャンドルの炎が甘く揺れる。
「初めては好きな相手に」という彼女の願いを、ギルバートは慈しむように、そして情熱的に受け入れていった。
ジャッカルの屋敷での恐怖も、身売りの絶望も、すべてを溶かし去るような熱い口づけ。
パトリシアは、自分を求める彼の切実な重みを感じながら、ようやく「自分の居場所」に辿り着いた確信に、とろけるような至福の中で目を閉じた。
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主寝室に灯された柔らかなキャンドルの光が、緊張で強張るパトリシアの肩を照らしている。
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主寝室の柔らかな天蓋の下、パトリシアはギルバートのシャツを掴む手に、いっそう力を込めた。潤んだ瞳が、彼の熱を帯びた眼差しを真っ直ぐに見つめ返す。
「……嫌じゃ、ありません。私、ギルバート様の本当の『お気に入り』になりたいんです。……ううん、お気に入りじゃなくて……貴方の、女になりたいの」
「…………っ」
ギルバートの喉が、愛おしさと欲望に小さく鳴った。その反応を確かめるように、パトリシアは震える声で言葉を紡ぎ出す。
「ジャッカル男爵の屋敷に連れて行かれた時……あの冷たい部屋で、ずっとギルバート様のことを思い浮かべていました。もし、このまま男爵に汚されて、二度と貴方に会えなくなったらどうしようって……そればかりが怖くて」
彼女の頬を、一筋の涙が伝い落ちる。
「後悔したんです。こんなことになるのなら、あの初めて別邸で過ごした夜に、無理にでも済ませておけば良かったなって。なぜ、もっとちゃんと『抱いてほしい』ってお願いしなかったんだろうって。……契約とかお預けなんて、どうでもよかった。私はただ、貴方の印が欲しかったんです」
パトリシアの告白は、あまりにも純粋で、あまりにも残酷なほどギルバートの独占欲を突き動かした。
かつて自分が「遊び」の境界線として守っていた一線が、いかに彼女を不安にさせ、孤独にさせていたか。ギルバートは胸を締め付けられるような想いで、彼女の涙を唇で拭った。
「……すまなかった、パトリシア。もう二度と、そんな後悔はさせない」
ギルバートは彼女の身体を優しく、けれど逃げ場を塞ぐようにシーツへと押し倒した。
「君が願わなくても、もう僕の方が我慢できないんだ。……君の心も、身体も、その記憶のすべてを、今夜僕が塗り替えてみせる。誰にも触れさせない。君を支配していいのは、世界で僕一人だけだ」
重なり合った視線の先で、キャンドルの炎が甘く揺れる。
「初めては好きな相手に」という彼女の願いを、ギルバートは慈しむように、そして情熱的に受け入れていった。
ジャッカルの屋敷での恐怖も、身売りの絶望も、すべてを溶かし去るような熱い口づけ。
パトリシアは、自分を求める彼の切実な重みを感じながら、ようやく「自分の居場所」に辿り着いた確信に、とろけるような至福の中で目を閉じた。
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