【完結】身売り覚悟の子爵令嬢、一夜限りの誘惑のつもりが遊び人の侯爵令息に執着されています!

恋せよ恋

文字の大きさ
14 / 16

とろけるような初体験

  ジャッカル男爵の毒牙から救い出し、正式な婚約者としてハワード侯爵家に認めさせたその夜。ギルバートは、王都の本邸ではなく、二人で過ごした思い出の詰まった別邸へとパトリシアを連れ帰った。

 主寝室に灯された柔らかなキャンドルの光が、緊張で強張るパトリシアの肩を照らしている。

「……怖がらなくていい。嫌なら、今日も『お預け』にするけれど?」

 ギルバートが背後から抱き寄せ、耳元で意地悪く囁く。しかし、その声はパトリシアがかつて聞いたどの言葉よりも低く、熱を帯びて震えていた。

 主寝室の柔らかな天蓋の下、パトリシアはギルバートのシャツを掴む手に、いっそう力を込めた。潤んだ瞳が、彼の熱を帯びた眼差しを真っ直ぐに見つめ返す。

「……嫌じゃ、ありません。私、ギルバート様の本当の『お気に入り』になりたいんです。……ううん、お気に入りじゃなくて……貴方の、女になりたいの」

「…………っ」

 ギルバートの喉が、愛おしさと欲望に小さく鳴った。その反応を確かめるように、パトリシアは震える声で言葉を紡ぎ出す。

「ジャッカル男爵の屋敷に連れて行かれた時……あの冷たい部屋で、ずっとギルバート様のことを思い浮かべていました。もし、このまま男爵に汚されて、二度と貴方に会えなくなったらどうしようって……そればかりが怖くて」

 彼女の頬を、一筋の涙が伝い落ちる。

「後悔したんです。こんなことになるのなら、あの初めて別邸で過ごした夜に、無理にでも済ませておけば良かったなって。なぜ、もっとちゃんと『抱いてほしい』ってお願いしなかったんだろうって。……契約とかお預けなんて、どうでもよかった。私はただ、貴方の印が欲しかったんです」

 パトリシアの告白は、あまりにも純粋で、あまりにも残酷なほどギルバートの独占欲を突き動かした。

 かつて自分が「遊び」の境界線として守っていた一線が、いかに彼女を不安にさせ、孤独にさせていたか。ギルバートは胸を締め付けられるような想いで、彼女の涙を唇で拭った。

「……すまなかった、パトリシア。もう二度と、そんな後悔はさせない」

 ギルバートは彼女の身体を優しく、けれど逃げ場を塞ぐようにシーツへと押し倒した。

「君が願わなくても、もう僕の方が我慢できないんだ。……君の心も、身体も、その記憶のすべてを、今夜僕が塗り替えてみせる。誰にも触れさせない。君を支配していいのは、世界で僕一人だけだ」

 重なり合った視線の先で、キャンドルの炎が甘く揺れる。
 「初めては好きな相手に」という彼女の願いを、ギルバートは慈しむように、そして情熱的に受け入れていった。
 
 ジャッカルの屋敷での恐怖も、身売りの絶望も、すべてを溶かし去るような熱い口づけ。
 パトリシアは、自分を求める彼の切実な重みを感じながら、ようやく「自分の居場所」に辿り着いた確信に、とろけるような至福の中で目を閉じた。
___________

エール📣いいね❤️お気に入り⭐️応援よろしくお願いします🙇‍♀️

あなたにおすすめの小説

愛する義兄に憎まれています

ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。 義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。 許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。 2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。 ふわっと設定でサクっと終わります。 他サイトにも投稿。

やさしい・悪役令嬢

きぬがやあきら
恋愛
「そのようなところに立っていると、ずぶ濡れになりますわよ」 と、親切に忠告してあげただけだった。 それなのに、ずぶ濡れになったマリアナに”嫌がらせを指示した張本人はオデットだ”と、誤解を受ける。 友人もなく、気の毒な転入生を気にかけただけなのに。 あろうことか、オデットの婚約者ルシアンにまで言いつけられる始末だ。 美貌に、教養、権力、果ては将来の王太子妃の座まで持ち、何不自由なく育った箱入り娘のオデットと、庶民上がりのたくましい子爵令嬢マリアナの、静かな戦いの火蓋が切って落とされた。

戦場から帰らぬ夫は、隣国の姫君に恋文を送っていました

Mag_Mel
恋愛
しばらく床に臥せていたエルマが久方ぶりに参加した祝宴で、隣国の姫君ルーシアは戦地にいるはずの夫ジェイミーの名を口にした。 「彼から恋文をもらっていますの」。 二年もの間、自分には便りひとつ届かなかったのに? 真実を確かめるため、エルマは姫君の茶会へと足を運ぶ。 そこで待っていたのは「身を引いて欲しい」と別れを迫る、ルーシアの取り巻きたちだった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

好きな人が嬢を身請けするのが辛くて逃げたら捕まりました~黒服の私は執着騎士に囲われる~

こじまき
恋愛
騎士が集う高級酒場「夜香楼」で女性黒服として働くソフィアは、客である寡黙な騎士ゼインに恋していた。けれど彼が指名するのはいつも人気花嬢イサナで、身請けも近いと予想されていた。 ソフィアは、叶わない想いにと嫉妬に耐えきれず、衝動的に店を去る。 もう二度と会うことはないはずだったのに、身請けした嬢と幸せに暮らしているはずの彼が追ってきて―― 「お前への愛は焼き印のように刻まれていて、もう消えない」 ――失恋したと思い込んで逃げた黒服が、執着系騎士様に捕まって囲われる話。 ※小説家になろうにも投稿しています

ヒロインと結婚したメインヒーローの側妃にされてしまいましたが、そんなことより好きに生きます。

下菊みこと
恋愛
主人公も割といい性格してます。 アルファポリス様で10話以上に肉付けしたものを読みたいとのリクエストいただき大変嬉しかったので調子に乗ってやってみました。 小説家になろう様でも投稿しています。

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月 瑠々奈
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから

えとう蜜夏
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。 ※他サイトに自立も掲載しております 21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)