「君は特別だ」は嘘の告白でした〜二十歳のバレンタインに離縁します〜

恋せよ恋

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「君は特別だ」は嘘の告白でした〜二十歳のバレンタインに離縁します〜

静かなる二度目の結婚式

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 かつての大聖堂での華美な式とは対照的に、二度目の結婚式は、エレナが再生の時を過ごしたあの辺境の領地で行われた。

 参列者は、本当の意味で二人を愛する家族と、信頼する領民たちだけ。

 純白のドレスを纏ったエレナの隣で、アルベルトは緊張のあまり、討伐遠征の時でさえ見せなかったほどガチガチに固まっていた。

「……アルベルト様、深呼吸をしてください。倒れてしまいそうですわ」
「……ああ。すまない。君が、本当に僕の隣にいてくれることが、いまだに奇跡のように思えて……」
 アルベルトの瞳には、かつての傲慢さはなく、ただ愛おしそうに妻を見つめる一途な光があった。

 彼は神前で誓う際、震える声でこう付け加えた。
「この命が尽きるまで、私は君を敬い、君の自由を愛し、君の盾となる。二度と、君を一人にはしない」

 それは「侯爵家の嫡男」としてではなく「一人の男」としての魂の誓いだった。エレナは微笑み、そっと彼の手を握り返した。今度は嘘のない、確かな熱が二人を繋いでいた。



 それから数年。王都の侯爵邸には、元気な子供たちの声が響き渡っている。

「おばあ様! 見て! 私、こんなに上手にハーブを摘めたわ!」
 五歳になる長女、リリアンが籠を掲げて走ってくる。その背後では、三歳になる長男のテオが、アルベルトに抱っこされながら「僕も! 僕も!」とはしゃいでいた。

「あら、リリアン。根っこまで抜いてしまってはダメよ。土を大切にしないと、次は生えてこないわ。やり直しなさい」
 厳しい口調でたしなめるのは、大奥様となったカトリーヌだ。しかし、その目元は優しく細められている。彼女は今、エレナから教わった薬草園の管理を、孫たちに教えるのが何よりの楽しみだった。

「お義母様、リリアンにはまだ少し難しかったかしら」
「いいえ、エレナ。この子は貴女に似て賢いもの。厳しく育てるのが、この子の将来のためよ」

 エレナが茶を持って現れると、カトリーヌは満足げに頷いた。
 かつては「跡継ぎ」という義務で繋がっていた家族は、今では深い信頼と愛情で結ばれている。

「ただいま、エレナ」
 騎士団の訓練から帰宅したアルベルトが、家族の輪に加わる。彼はまずエレナの頬に優しく口づけを落とし、それから子供たちを両腕で抱き上げた。

「父上、お仕事お疲れ様!」
「ああ。……今日も、世界で一番幸せな場所に帰ってこられたよ」

 アルベルトはエレナの肩を抱き寄せた。
 かつて彼が「空気のように当然」と思っていたこの光景が、どれほどの努力と、どれほどの許しの上に成り立っているか。彼は片時も忘れることはない。

 バレンタインデーが近づくたび、彼は今でも少しだけ胸を痛める。
 けれど、そんな彼の手を握り、「今の貴方が一番好きよ」と微笑むエレナがいる。

 嘘から始まった関係は、一度完全に壊れ、そして世界で一番強固で優しい「本物の家族」へと生まれ変わった。

 春の陽光が降り注ぐ中、侯爵邸の庭園には、色とりどりの花と共に、穏やかな笑い声がいつまでも絶えることなく続いていた。
______________

明日から、裏切り者の親友「クロエ伯爵令嬢」の物語です!

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