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シャルロットの出産
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エドワードは、恋人であるシャルロット・フレイ男爵令嬢と結婚し、フレイ男爵家へ婿入りする。
王太子として次期国王になるはずだったエドワードが、地方貴族である男爵家の次期当主となるのだ。本人よりも、周囲の者たちが悲壮な面持ちをしていた。
王宮を出る前に、父フィリップ陛下への謁見が行われた。
「陛下、この度は、誠に不徳の致すところ。王家の信頼を傷つけたこと、深くお詫び申し上げます」
エドワードは頭を垂れ、謝罪を述べる。
そこにあったのは、父子ではなく、王と臣下の対面だった。
「……エドワード。王太子であった者が男爵位まで後爵するのは、何かと厳しい状況であろう。だが、お前はまだ若い。今後、叙爵の可能性もある。諦めることなく、子のためにも励むように」
陛下の言葉に、エドワードは深く頷いた。
「ありがとうございます。今後も励んでまいります」
一礼して扉へと向かう。その背に、陛下の声がかかった。
「エド……達者でな。困ったことがあれば連絡をくれ。お前は、ずっと、わたしの愛する息子だ。忘れるな……」
( 二年だ......二年間、頑張って励んでくれ!)
エドワードは小さく頷き、唇をぎゅっと噛んで嗚咽をこらえた。
母マグノリア前王妃殿下への面会は行われなかった。
精神状態が不安定で、対面は難しいだろうと医師から診断されたためだ。
エドワードは王宮の奥にある“静謐の塔”を訪れ、扉の前に立ってそっと語りかけた。
「母上……お元気でお過ごしでしょうか。私は本日、廃嫡となり、王宮を去ります。どうか、少しでも穏やかに……」
その場には返事も気配もなく、静けさだけが落ちていた。
エドワードは深く一礼し、ひとつの区切りとして、母への挨拶を終えた。
静謐の塔を後にし、ゆっくりと石畳の回廊を歩く。
胸の奥には重く沈むものがあったが、それでも足を前へ運ぶしかなかった。
城門前には、侍従、女官、そして閣僚たちの列ができており、エドワードとシャルロットの馬車を静かに見送っていた。
城門が遠ざかっていく。
エドワードは膝の上で組んだ手を、そっと握りしめた。
(これでいい。……これで、よかったのだ)
そう言い聞かせても、胸の奥では何かが軋む。
生まれたときから与えられた「王太子」という鎖が外れた瞬間、解放より先に空虚さが押し寄せる。
(国を守るという夢も、父の隣に立つ未来も……すべて手放した。
シャルロットを選んだ時点で、もう覚悟していたことなのに)
馬車の窓の外には、王宮で働く人々の姿が揺れ、次第に小さくなっていく。
そのとき、城壁の一角でセザンヌ妃殿下とシリル第二王子が見えた。
シリルは深く頭を垂れ、兄を敬意を込めて見送っている。
幼い頃から支えてくれた人たち。
期待、憧れ、信頼――それらに応えられなかったのだと思うと、胸が鈍く痛んだ。
◇◇◇
フレイ男爵家の門が見えた瞬間、シャルロットの胸は複雑に揺れた。
――王都で、あれほど憧れた“王子様”と恋をして。
――夜会のきらめきの中で「愛している」と囁かれて。
――王宮の白い回廊で手をつないで歩いた自分が確かにいた。
なのに、戻ってきたのは古びた男爵家の屋敷。
父ノーマン男爵の冷えた視線。
義母ナタリーの、他人行儀な微笑み。
(わたし……お姫様になるんじゃなかったの?)
胸の奥に、そんな幼い呟きがかすかに残っていた。
けれど、隣にはエドワードがいる。
それだけで十分だった。
(だって、わたしはアナスタシア様に勝ったんだもの……公爵令嬢より、エドはわたしを選んだのよ)
その誇りだけが、シャルロットの支えだった。
家政も学ばず、社交も放棄し、子育ての準備すらしない。
「三人で家族になる」と言ったものの、育児に備えているわけでもない。
けれど、エドワードのことだけは本気で愛していた。
市井で生きてきた彼女の“恋のしかた”は、ただ必死で、ただ不器用だった。
一方のエドワードは――
初めて味わう男爵家の“庶民のような質素な生活”に、戸惑いと静かな焦りを抱きながらも、(僕が守らなければ……)と、自分に言い聞かせていた。
かつてアナスタシアが、礼儀作法も政務も一切を完璧にこなし、エドワードの隣に立てるよう努力していたことが、胸を刺す。
シャルロットは真逆。でも、それを責めることができない。
(彼女を選んだのは僕だ。……だから、僕が変わらなくてはならない)
これがエドワードの“最初の成長”だった。
クレイ男爵家で暮らして数ヶ月後。
シャルロットの陣痛は突然始まった。
男爵家の年老いた医師と産婆だけの、質素な出産。
王宮のような豪華な医療設備も、侍女たちの支えもない。
その夜、屋敷の一室にシャルロットの叫び声が響いた。
「エド……っ、痛い、こわい……!」
彼女は涙で顔をくしゃくしゃにし、幼子のようにエドワードへ縋った。
「大丈夫だ、シャル。君は強い。僕がここにいる」
その手を握りしめ、汗を拭い、背をさすり、声をかけ続けた。
エドワードは彼女の手を握りながら、何度も自分の呼吸を整えた。
王宮で見たどんな戦略会議よりも、どんな剣技訓練よりも、はるかに恐ろしかった。
汗と涙で濡れたシャルロットの瞳は、必死に彼を捉えて離さない。
その姿が痛いほど胸に迫った。
「っ、ああああ──!」
産婆の声が響く。
「頭が見えました! もうひと息です!若奥様!」
シャルロットの指がちぎれそうなほど、エドワードの手を握りしめる。
エドワードは、その強さに胸が熱くなった。
(僕のために……僕との子のために、こんな痛みに耐えてくれているんだ)
「シャル……ありがとう。本当に、ありがとう……」
数瞬後、部屋に産声が満ちた。
「──元気な男の子です!」
シャルロットは涙と喜びの中でぐったりとしながらも、弱く笑った。
「……エド……赤ちゃん……かわいい……?」
「ああ。とても。君と僕に似て……こんなにも必死に生まれてきてくれた」
暖かい赤子の重みを腕に感じながら、エドワードはふと思う。
(僕も……こんなふうに母上に抱かれて、父上に喜ばれたのだろうか)
今はもう会えない王宮と、遠い父と母の姿が胸に浮かぶ。
こみ上げてきた感情に喉が熱くなる。
「母上……父上……。僕は、父になりました」
小さな命は、彼の胸の中で静かに眠っていた。
王太子でも、王家の未来でもなく。ただ、一人の男として、初めて手にした“自分の家族”がそこにあった。
しかし、「三人で家族」になったはずのシャルロットは____。
シャルロットは産後すぐに疲れ果て、
「エド……赤ちゃんの夜泣き、無理。眠い……」
「抱っこして。わたし疲れたの……」と、丸ごとエドワードに任せた。
夜中に何度も泣きやまない赤子。
抱っこしても泣き続ける小さな体。
ミルクを吐かれ、服を汚され、寝不足で目の下に隈ができていく。
(これが……男爵家の暮らしというものか。王宮では、乳母や侍女がすべて担っていた仕事だ)
疲れきった夜、エドワードは赤子を抱きながら呟いた。
「シャルロットを選んだのは僕だ。これからの人生は、我が子と領民のために生きていこう」
赤子の小さな寝息が、彼の決意をいっそう強くした。
つづく
________________
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【旦那様に学園時代の隠し子!? 娘のためフローレンスは笑う-昔の女は引っ込んでなさい!】
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王太子として次期国王になるはずだったエドワードが、地方貴族である男爵家の次期当主となるのだ。本人よりも、周囲の者たちが悲壮な面持ちをしていた。
王宮を出る前に、父フィリップ陛下への謁見が行われた。
「陛下、この度は、誠に不徳の致すところ。王家の信頼を傷つけたこと、深くお詫び申し上げます」
エドワードは頭を垂れ、謝罪を述べる。
そこにあったのは、父子ではなく、王と臣下の対面だった。
「……エドワード。王太子であった者が男爵位まで後爵するのは、何かと厳しい状況であろう。だが、お前はまだ若い。今後、叙爵の可能性もある。諦めることなく、子のためにも励むように」
陛下の言葉に、エドワードは深く頷いた。
「ありがとうございます。今後も励んでまいります」
一礼して扉へと向かう。その背に、陛下の声がかかった。
「エド……達者でな。困ったことがあれば連絡をくれ。お前は、ずっと、わたしの愛する息子だ。忘れるな……」
( 二年だ......二年間、頑張って励んでくれ!)
エドワードは小さく頷き、唇をぎゅっと噛んで嗚咽をこらえた。
母マグノリア前王妃殿下への面会は行われなかった。
精神状態が不安定で、対面は難しいだろうと医師から診断されたためだ。
エドワードは王宮の奥にある“静謐の塔”を訪れ、扉の前に立ってそっと語りかけた。
「母上……お元気でお過ごしでしょうか。私は本日、廃嫡となり、王宮を去ります。どうか、少しでも穏やかに……」
その場には返事も気配もなく、静けさだけが落ちていた。
エドワードは深く一礼し、ひとつの区切りとして、母への挨拶を終えた。
静謐の塔を後にし、ゆっくりと石畳の回廊を歩く。
胸の奥には重く沈むものがあったが、それでも足を前へ運ぶしかなかった。
城門前には、侍従、女官、そして閣僚たちの列ができており、エドワードとシャルロットの馬車を静かに見送っていた。
城門が遠ざかっていく。
エドワードは膝の上で組んだ手を、そっと握りしめた。
(これでいい。……これで、よかったのだ)
そう言い聞かせても、胸の奥では何かが軋む。
生まれたときから与えられた「王太子」という鎖が外れた瞬間、解放より先に空虚さが押し寄せる。
(国を守るという夢も、父の隣に立つ未来も……すべて手放した。
シャルロットを選んだ時点で、もう覚悟していたことなのに)
馬車の窓の外には、王宮で働く人々の姿が揺れ、次第に小さくなっていく。
そのとき、城壁の一角でセザンヌ妃殿下とシリル第二王子が見えた。
シリルは深く頭を垂れ、兄を敬意を込めて見送っている。
幼い頃から支えてくれた人たち。
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◇◇◇
フレイ男爵家の門が見えた瞬間、シャルロットの胸は複雑に揺れた。
――王都で、あれほど憧れた“王子様”と恋をして。
――夜会のきらめきの中で「愛している」と囁かれて。
――王宮の白い回廊で手をつないで歩いた自分が確かにいた。
なのに、戻ってきたのは古びた男爵家の屋敷。
父ノーマン男爵の冷えた視線。
義母ナタリーの、他人行儀な微笑み。
(わたし……お姫様になるんじゃなかったの?)
胸の奥に、そんな幼い呟きがかすかに残っていた。
けれど、隣にはエドワードがいる。
それだけで十分だった。
(だって、わたしはアナスタシア様に勝ったんだもの……公爵令嬢より、エドはわたしを選んだのよ)
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シャルロットは真逆。でも、それを責めることができない。
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小さな命は、彼の胸の中で静かに眠っていた。
王太子でも、王家の未来でもなく。ただ、一人の男として、初めて手にした“自分の家族”がそこにあった。
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シャルロットは産後すぐに疲れ果て、
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ミルクを吐かれ、服を汚され、寝不足で目の下に隈ができていく。
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疲れきった夜、エドワードは赤子を抱きながら呟いた。
「シャルロットを選んだのは僕だ。これからの人生は、我が子と領民のために生きていこう」
赤子の小さな寝息が、彼の決意をいっそう強くした。
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