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冷徹なる正論と、揺るぎなき拒絶
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数日後、トルドー公爵邸の豪奢な応接室には、場違いなほど焦燥しきった男が座っていた。
ローザリア王国から派遣された特使――かつてアナスタシアの有能さを誰よりも知っていたはずの、中堅の文官である。
「アナスタシア様! どうか、どうかご帰国をお願いいたします。国政が……閣議が、もはや立ち行かぬ状況なのです。シリル殿下も、あなたの不在を嘆かれ……」
男の必死の訴えを、アナスタシアは優雅に紅茶を飲む動作一つで遮った。
その隣には、冷ややかな視線を隠そうともしないライナスが、守護者のように控えている。
「あら。シリル殿下が『嘆いていらっしゃる』? おかしなことを仰いますのね」
アナスタシアは、ふふ、と短く、けれど氷のように冷たく笑った。
「わたくしは公爵家の娘とはいえ、政においては素人同然。シリル殿下のご判断を支えるには、力不足であった――そうお考えになったのだと、理解しております」
「そ、それは……! しかし、予算の調整も、外交の優先順位も、今はあなたがいなければ誰も結論を出せないのです!」
使者の叫びに、アナスタシアはゆっくりとカップを置いた。
そのカチリという音一つで、部屋の空気が一変する。彼女の瞳には、かつての献身的な婚約者の面影はなく、他国の政局を俯瞰する冷静な光が宿っていた。
「結論を出せないのは、わたくしという『便利な正解』に甘え、思考することを止めてしまった貴方たちの責任です。……それとも、ローザリアの重臣方は、一人の令嬢の知恵がなければ、税の使い道一つ決められぬほど無能に成り下がったのですか?」
苛烈なまでの正論。使者は顔を青白くさせ、言葉を失う。
「シリル王太子殿下にお伝えください。わたくしは、すでに婚約を解消された身でございます」
アナスタシアは背筋を伸ばし、凛とした声でそう告げた。
「わたくしも一人の『貴族令嬢』として、自身の将来を選ぶべき時期にあります。
いつまでも、わたくしを切り捨てた国の、ましてや不要としたシリル殿下の――都合のよい“行き遅れ”として、その席が空くのを待ち続けるなどと、お考えにならないでいただきたいのです」
「アナスタシア様……それは、まさか。ローザリアへ戻るおつもりはない、と?」
「あら? まるで、わたくしにはローザリアを想う心がない、と問われているようですわね」
アナスタシアは、静かに、しかしはっきりと言葉を継いだ。
「わたくしという人間を正当に評価し、尊び、慈しんでくださる――その場所こそが、わたくしの生きる場所であると、そう思うだけでございます」
アナスタシアがライナスへ視線を向けると、彼は迷いなく、力強く頷いた。
その親密なやり取りは、使者にとって決定的な絶望を意味していた。
「……どうぞ、お引き取りくださいませ。ローザリア王国の未来を、わたくし一人の責に帰すのは、お門違いですわ」
声音は冷静だったが、その言葉は容赦がなかった。
「それは、あなた方自身が選んだ――『アナスタシアを王太子妃としない未来』なのですから」
アナスタシアは、それ以上振り返ることなく、優雅に立ち上がった。
背後で漏れた使者の嗚咽にも似た声は、もはや彼女の心に、さざ波一つ立てることはなかった。
ローザリア王宮の最上階にある王太子の執務室。窓から差し込む夕日は、血のように赤く室内を染めていた。
シリルの前で、報告を終えた使者が力なく項垂れている。
「……そうか。『都合のいい行き遅れ』、か」
シリルはその言葉を、毒を飲み込むような心地で反芻した。
アナスタシアがどれほどの労力を国に捧げ、それを自分がどれほど当然のこととして搾取してきたか。それを、彼女自身に「便利な正解」と断じられたこと。それは、シリルの王族としてのプライドと、男としての情愛のすべてを抉り取るのに十分な一撃だった。
「殿下……アナスタシア様は、トルドー公爵令息の傍らで、見たこともないほど晴れやかな笑みを浮かべておられました。あれは……もはや、ローザリアの公爵令嬢の顔ではありませんでした」
「黙れ……」
シリルの声は、掠れていた。
机の上に置かれた、彼女が残した最後の指示書。その端正な文字が、今は嘲笑っているように見える。
(僕は、何をしていたんだ……?)
彼女が隣にいたときは、「完璧すぎて可愛げがない」と遠ざけ、その能力に嫉妬すらした。彼女が不在でも、もっと気楽に自分らしく国を導けると思っていた。
だが、現実はどうだ。
彼女の思考の残滓を追いかけ、過去の指示書に縋らなければ、会議一つ円滑に進められない。
自由を手に入れたのではない。自分を支えていた巨大な柱を、自らの手ですげ替えただけだったのだ。
「……もう、戻らないのか? あんなに、僕を助けてくれていたのに」
脳裏に浮かぶのは、兄エドワード第一王子の隣で努力するアナスタシアの姿だ。
厳しい教育の合間、シリルの姿を見つけると、彼女はほんの一瞬だけ表情を緩め、控えめな微笑みを浮かべて挨拶程度の立ち話に応じてくれた。
あの微笑みは――シリルのためだけに向けられているものだと、疑いもしなかった。
だが、今。
彼女が微笑みを向ける相手は、もはや自分ではない。
彼女を「政治の駒」としてではなく、「一人の令嬢」として見つめ、守り、その盾となった男。
ライナス・トルドー。
その事実が、胸の奥を鈍く締めつけた。
「くそっ……!」
シリルは机の上の書類を、荒々しくなぎ払った。
床に散らばる、かつての彼女の知恵の結晶。それを拾い集める者すら、もうこの部屋にはいない。
夕闇が部屋を支配していく中、シリルは椅子の背にもたれ、顔を覆った。
指の間から漏れるのは、嗚咽にも似た震える吐息。
( 戻って来てくれ、アナスタシア。……僕が、間違っていた……)
その謝罪が彼女に届くことは、二度とない。
ローザリアの王太子は、この日初めて、治世者であることの孤独と、取り返しのつかない喪失の重さを、暗闇の中で思い知った。
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【「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります!】
ローザリア王国から派遣された特使――かつてアナスタシアの有能さを誰よりも知っていたはずの、中堅の文官である。
「アナスタシア様! どうか、どうかご帰国をお願いいたします。国政が……閣議が、もはや立ち行かぬ状況なのです。シリル殿下も、あなたの不在を嘆かれ……」
男の必死の訴えを、アナスタシアは優雅に紅茶を飲む動作一つで遮った。
その隣には、冷ややかな視線を隠そうともしないライナスが、守護者のように控えている。
「あら。シリル殿下が『嘆いていらっしゃる』? おかしなことを仰いますのね」
アナスタシアは、ふふ、と短く、けれど氷のように冷たく笑った。
「わたくしは公爵家の娘とはいえ、政においては素人同然。シリル殿下のご判断を支えるには、力不足であった――そうお考えになったのだと、理解しております」
「そ、それは……! しかし、予算の調整も、外交の優先順位も、今はあなたがいなければ誰も結論を出せないのです!」
使者の叫びに、アナスタシアはゆっくりとカップを置いた。
そのカチリという音一つで、部屋の空気が一変する。彼女の瞳には、かつての献身的な婚約者の面影はなく、他国の政局を俯瞰する冷静な光が宿っていた。
「結論を出せないのは、わたくしという『便利な正解』に甘え、思考することを止めてしまった貴方たちの責任です。……それとも、ローザリアの重臣方は、一人の令嬢の知恵がなければ、税の使い道一つ決められぬほど無能に成り下がったのですか?」
苛烈なまでの正論。使者は顔を青白くさせ、言葉を失う。
「シリル王太子殿下にお伝えください。わたくしは、すでに婚約を解消された身でございます」
アナスタシアは背筋を伸ばし、凛とした声でそう告げた。
「わたくしも一人の『貴族令嬢』として、自身の将来を選ぶべき時期にあります。
いつまでも、わたくしを切り捨てた国の、ましてや不要としたシリル殿下の――都合のよい“行き遅れ”として、その席が空くのを待ち続けるなどと、お考えにならないでいただきたいのです」
「アナスタシア様……それは、まさか。ローザリアへ戻るおつもりはない、と?」
「あら? まるで、わたくしにはローザリアを想う心がない、と問われているようですわね」
アナスタシアは、静かに、しかしはっきりと言葉を継いだ。
「わたくしという人間を正当に評価し、尊び、慈しんでくださる――その場所こそが、わたくしの生きる場所であると、そう思うだけでございます」
アナスタシアがライナスへ視線を向けると、彼は迷いなく、力強く頷いた。
その親密なやり取りは、使者にとって決定的な絶望を意味していた。
「……どうぞ、お引き取りくださいませ。ローザリア王国の未来を、わたくし一人の責に帰すのは、お門違いですわ」
声音は冷静だったが、その言葉は容赦がなかった。
「それは、あなた方自身が選んだ――『アナスタシアを王太子妃としない未来』なのですから」
アナスタシアは、それ以上振り返ることなく、優雅に立ち上がった。
背後で漏れた使者の嗚咽にも似た声は、もはや彼女の心に、さざ波一つ立てることはなかった。
ローザリア王宮の最上階にある王太子の執務室。窓から差し込む夕日は、血のように赤く室内を染めていた。
シリルの前で、報告を終えた使者が力なく項垂れている。
「……そうか。『都合のいい行き遅れ』、か」
シリルはその言葉を、毒を飲み込むような心地で反芻した。
アナスタシアがどれほどの労力を国に捧げ、それを自分がどれほど当然のこととして搾取してきたか。それを、彼女自身に「便利な正解」と断じられたこと。それは、シリルの王族としてのプライドと、男としての情愛のすべてを抉り取るのに十分な一撃だった。
「殿下……アナスタシア様は、トルドー公爵令息の傍らで、見たこともないほど晴れやかな笑みを浮かべておられました。あれは……もはや、ローザリアの公爵令嬢の顔ではありませんでした」
「黙れ……」
シリルの声は、掠れていた。
机の上に置かれた、彼女が残した最後の指示書。その端正な文字が、今は嘲笑っているように見える。
(僕は、何をしていたんだ……?)
彼女が隣にいたときは、「完璧すぎて可愛げがない」と遠ざけ、その能力に嫉妬すらした。彼女が不在でも、もっと気楽に自分らしく国を導けると思っていた。
だが、現実はどうだ。
彼女の思考の残滓を追いかけ、過去の指示書に縋らなければ、会議一つ円滑に進められない。
自由を手に入れたのではない。自分を支えていた巨大な柱を、自らの手ですげ替えただけだったのだ。
「……もう、戻らないのか? あんなに、僕を助けてくれていたのに」
脳裏に浮かぶのは、兄エドワード第一王子の隣で努力するアナスタシアの姿だ。
厳しい教育の合間、シリルの姿を見つけると、彼女はほんの一瞬だけ表情を緩め、控えめな微笑みを浮かべて挨拶程度の立ち話に応じてくれた。
あの微笑みは――シリルのためだけに向けられているものだと、疑いもしなかった。
だが、今。
彼女が微笑みを向ける相手は、もはや自分ではない。
彼女を「政治の駒」としてではなく、「一人の令嬢」として見つめ、守り、その盾となった男。
ライナス・トルドー。
その事実が、胸の奥を鈍く締めつけた。
「くそっ……!」
シリルは机の上の書類を、荒々しくなぎ払った。
床に散らばる、かつての彼女の知恵の結晶。それを拾い集める者すら、もうこの部屋にはいない。
夕闇が部屋を支配していく中、シリルは椅子の背にもたれ、顔を覆った。
指の間から漏れるのは、嗚咽にも似た震える吐息。
( 戻って来てくれ、アナスタシア。……僕が、間違っていた……)
その謝罪が彼女に届くことは、二度とない。
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