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湖畔の誓いと、重すぎる愛の芽生え
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青空に夏の太陽が、避暑地パルミエの湖面をキラキラと銀色に跳ねさせている。
涼やかな風が吹き抜けるコレール伯爵家の別荘の庭園で、十歳のビビアン・コレールは、大好きなチョコレート菓子を頬張っていた。
「ん~、おいしい! やっぱり、夏休みはここに来ないと始まらないよね」
ビビアンの髪は、彼女が今食べているお菓子と同じ、艶やかなショコラブラウン。おひさまの光を浴びて、柔らかに輝いている。その髪を揺らしながら、大きな茶色の瞳を細めて「幸せ~」と笑う姿は、まるで森に住む愛らしい小動物のようだった。
「……ビビアン。君は、どうしてそんなにパクパクと甘いものを食べるんだい?」
背後からかけられた、少し低めの、けれど鈴の音のように美しい声。
振り返るとそこには、十歳とは思えないほど整った容姿を持つ少年が立っていた。
ゴードン侯爵家の嫡男、マキシム・ゴードン。
眩しいほどの金髪に、吸い込まれそうなほど澄んだ青い瞳。彼は三歳の頃から、この避暑地で夏を共に過ごすビビアンの幼馴染だ。
「あ、マキシム! 見て見て、このチョコ。中からとろりとベリーのソースが出てくるんだよ。マキシムも食べる?」
「……ヴィヴィ、食べかすが唇についているよ」
マキシムは一歩近づくと、自身の手元にある刺繍入りのハンカチで、丁寧に、そして驚くほどゆっくりとビビアンの口元を拭った。
「あ、ありがと。マキシムはいつも気が利くよね」
「……お礼なんていいよ。ただ、あまりに君が美味しそうに食べるから……。なんだか、君自身が甘いお菓子に見えてきた」
マキシムの瞳が、じっとビビアンを見つめる。その視線はどこか熱を帯びていて、普通の十歳であれば気圧されるような迫力があったが、ビビアンはケロリとしていた。
「もう、変なこと言わないでよ。私が食べ物だったら、きっとマキシムのお口には合わないよ? 私は甘いものに目がない食いしん坊なんだから」
「……いいや。僕なら、すべて残さず綺麗に食べてあげられる自信があるけれど」
マキシムはそう呟くと、ビビアンの横に腰を下ろした。二人の距離は、腕が触れ合うほどに近い。
「ねえ、ビビアン。今年の夏が終わって、僕たちがそれぞれの領地に帰る時、寂しいと思わない?」
「それはもちろん寂しいよ! だってマキシムは、私の一番の仲良しだもん。離れたくないなぁって、毎年思ってるよ」
「一番の仲良し、か……」
マキシムは少しだけ苦笑いのような表情を見せたが、すぐに意を決したように彼女の手を取った。小さな、けれど温かいビビアンの手。マキシムの指が、彼女の掌をなぞる。
「実はね、今日、父上と君のお父様が応接間で話し合っていたんだ。僕たちの『これから』について」
「これから? 来年の夏休みの計画?」
「それよりも、もっとずっと長い計画だよ。……僕と、婚約してくれないかな?」
ビビアンの動きが止まった。大きな茶色の瞳をぱちくりとさせる。
「婚約……。ええと、それってつまり、大人になってもずっとマキシムと一緒にいられるってこと?」
「そうだよ。僕が君を守り、君を愛し、君を僕だけのものにする。君は、誰のことも気にせず、僕の隣でずっと笑っていればいいんだ」
マキシムの言葉は、十歳にしてはあまりに重く、情熱的だった。
しかし、ビビアンにとってマキシムは、転べばすぐに駆け寄って手を差し伸べてくれる王子様であり、何でも相談できる最高の相手なのだ。
「いいよ! 私、マキシムのこと大好きだもん。マキシムとなら、大人になっても毎日が楽しいだろうな」
ビビアンが満面の笑みで答えた瞬間、マキシムの表情が劇的に変わった。
それまでの貴公子然とした落ち着きが消え、歓喜と、そして仄暗いほどの執着が混ざり合ったような、強烈な光が青い瞳に宿る。
「……あ。ああ、ビビアン。今、君は自分の運命を決めたんだね」
マキシムは彼女の手を、壊れ物を扱うように、けれど逃がさないという強い意志を込めて握りしめた。
「後悔しても遅いよ。……いや、後悔なんてさせない。君を世界で一番幸せにする代わりに、君の時間はすべて僕に捧げてもらう。君の髪一本、指先一つまで、誰にも触れさせない……。ああ、本当に食べちゃいたいほど可愛いよ、ビビアン。……いつか本当に食べていい?」
「ふふ、マキシムったらまた大げさなんだから! 食べちゃダメだよ、痛いもん」
ビビアンは彼の言葉の端々にある「重さ」を、いつもの彼特有の照れ隠しや熱烈な冗談だと解釈して、ケラケラと笑っていた。
そんな二人の様子を、離れた窓から眺めていた大人が二人。
ビビアンの父、オリビエ・コレール伯爵と、マキシムの父、ダニエル・ゴードン侯爵である。
「……なあ、ダニエル。君の息子、十歳にしては少々…… 愛が重すぎはしないか? ビビアンが完全に呑まれている気がするんだが」
オリビエが引きつった笑いを浮かべて尋ねる。
「ははは。マキシムは昔から、気に入ったものは絶対に手放さない主義でね。まあ、ビビアン嬢のような愛らしい子が相手なら、それも仕方ないだろう。……悪いな、オリビエ。もう手遅れだ」
ダニエルは快活に笑っているが、その目は「うちの息子は一度捕まえたら最後だぞ」という警告を孕んでいた。
その時、庭の反対側から「お姉様ー!」と呼ぶ声がした。
ビビアンの妹、七歳のデイジーが駆け寄ってくる。
「お姉様! マキシム様! おやつと冷たい果実水が用意されましたよ」
「あ、デイジー! 今行くね!」
立ち上がろうとしたビビアンを、マキシムは離さない。
「待って。デイジー、悪いけれど、ビビアンの隣は僕のものなんだ。君は、あっちの椅子に座ってくれるかな」
「……マキシム様、まだ、お姉様と手を繋いでいるのですか? さっきからずっとですよ」
「ずっとだよ。これからも、ずっとだ。死ぬまでね」
マキシムの冷徹なまでの美貌に、七歳のデイジーは「ひっ」と短い悲鳴を上げて一歩下がった。彼女は子供ながらに察していた。この金髪の完璧な貴公子は、姉のことになると少しだけ……いや、かなり、普通ではないのだということを。
しかし、当のヒロイン・ビビアンは、マキシムに手を引かれながら呑気に考えていた。
(マキシムったら、本当に私と仲良しなんだから。……婚約して、ずっと一緒にいられるなんて最高!)
これが、後に学園を騒がせ、社交界を震撼させる「溺愛カップル」の、あまりにも甘く、そしてちょっぴり重すぎる物語の始まりであった。
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涼やかな風が吹き抜けるコレール伯爵家の別荘の庭園で、十歳のビビアン・コレールは、大好きなチョコレート菓子を頬張っていた。
「ん~、おいしい! やっぱり、夏休みはここに来ないと始まらないよね」
ビビアンの髪は、彼女が今食べているお菓子と同じ、艶やかなショコラブラウン。おひさまの光を浴びて、柔らかに輝いている。その髪を揺らしながら、大きな茶色の瞳を細めて「幸せ~」と笑う姿は、まるで森に住む愛らしい小動物のようだった。
「……ビビアン。君は、どうしてそんなにパクパクと甘いものを食べるんだい?」
背後からかけられた、少し低めの、けれど鈴の音のように美しい声。
振り返るとそこには、十歳とは思えないほど整った容姿を持つ少年が立っていた。
ゴードン侯爵家の嫡男、マキシム・ゴードン。
眩しいほどの金髪に、吸い込まれそうなほど澄んだ青い瞳。彼は三歳の頃から、この避暑地で夏を共に過ごすビビアンの幼馴染だ。
「あ、マキシム! 見て見て、このチョコ。中からとろりとベリーのソースが出てくるんだよ。マキシムも食べる?」
「……ヴィヴィ、食べかすが唇についているよ」
マキシムは一歩近づくと、自身の手元にある刺繍入りのハンカチで、丁寧に、そして驚くほどゆっくりとビビアンの口元を拭った。
「あ、ありがと。マキシムはいつも気が利くよね」
「……お礼なんていいよ。ただ、あまりに君が美味しそうに食べるから……。なんだか、君自身が甘いお菓子に見えてきた」
マキシムの瞳が、じっとビビアンを見つめる。その視線はどこか熱を帯びていて、普通の十歳であれば気圧されるような迫力があったが、ビビアンはケロリとしていた。
「もう、変なこと言わないでよ。私が食べ物だったら、きっとマキシムのお口には合わないよ? 私は甘いものに目がない食いしん坊なんだから」
「……いいや。僕なら、すべて残さず綺麗に食べてあげられる自信があるけれど」
マキシムはそう呟くと、ビビアンの横に腰を下ろした。二人の距離は、腕が触れ合うほどに近い。
「ねえ、ビビアン。今年の夏が終わって、僕たちがそれぞれの領地に帰る時、寂しいと思わない?」
「それはもちろん寂しいよ! だってマキシムは、私の一番の仲良しだもん。離れたくないなぁって、毎年思ってるよ」
「一番の仲良し、か……」
マキシムは少しだけ苦笑いのような表情を見せたが、すぐに意を決したように彼女の手を取った。小さな、けれど温かいビビアンの手。マキシムの指が、彼女の掌をなぞる。
「実はね、今日、父上と君のお父様が応接間で話し合っていたんだ。僕たちの『これから』について」
「これから? 来年の夏休みの計画?」
「それよりも、もっとずっと長い計画だよ。……僕と、婚約してくれないかな?」
ビビアンの動きが止まった。大きな茶色の瞳をぱちくりとさせる。
「婚約……。ええと、それってつまり、大人になってもずっとマキシムと一緒にいられるってこと?」
「そうだよ。僕が君を守り、君を愛し、君を僕だけのものにする。君は、誰のことも気にせず、僕の隣でずっと笑っていればいいんだ」
マキシムの言葉は、十歳にしてはあまりに重く、情熱的だった。
しかし、ビビアンにとってマキシムは、転べばすぐに駆け寄って手を差し伸べてくれる王子様であり、何でも相談できる最高の相手なのだ。
「いいよ! 私、マキシムのこと大好きだもん。マキシムとなら、大人になっても毎日が楽しいだろうな」
ビビアンが満面の笑みで答えた瞬間、マキシムの表情が劇的に変わった。
それまでの貴公子然とした落ち着きが消え、歓喜と、そして仄暗いほどの執着が混ざり合ったような、強烈な光が青い瞳に宿る。
「……あ。ああ、ビビアン。今、君は自分の運命を決めたんだね」
マキシムは彼女の手を、壊れ物を扱うように、けれど逃がさないという強い意志を込めて握りしめた。
「後悔しても遅いよ。……いや、後悔なんてさせない。君を世界で一番幸せにする代わりに、君の時間はすべて僕に捧げてもらう。君の髪一本、指先一つまで、誰にも触れさせない……。ああ、本当に食べちゃいたいほど可愛いよ、ビビアン。……いつか本当に食べていい?」
「ふふ、マキシムったらまた大げさなんだから! 食べちゃダメだよ、痛いもん」
ビビアンは彼の言葉の端々にある「重さ」を、いつもの彼特有の照れ隠しや熱烈な冗談だと解釈して、ケラケラと笑っていた。
そんな二人の様子を、離れた窓から眺めていた大人が二人。
ビビアンの父、オリビエ・コレール伯爵と、マキシムの父、ダニエル・ゴードン侯爵である。
「……なあ、ダニエル。君の息子、十歳にしては少々…… 愛が重すぎはしないか? ビビアンが完全に呑まれている気がするんだが」
オリビエが引きつった笑いを浮かべて尋ねる。
「ははは。マキシムは昔から、気に入ったものは絶対に手放さない主義でね。まあ、ビビアン嬢のような愛らしい子が相手なら、それも仕方ないだろう。……悪いな、オリビエ。もう手遅れだ」
ダニエルは快活に笑っているが、その目は「うちの息子は一度捕まえたら最後だぞ」という警告を孕んでいた。
その時、庭の反対側から「お姉様ー!」と呼ぶ声がした。
ビビアンの妹、七歳のデイジーが駆け寄ってくる。
「お姉様! マキシム様! おやつと冷たい果実水が用意されましたよ」
「あ、デイジー! 今行くね!」
立ち上がろうとしたビビアンを、マキシムは離さない。
「待って。デイジー、悪いけれど、ビビアンの隣は僕のものなんだ。君は、あっちの椅子に座ってくれるかな」
「……マキシム様、まだ、お姉様と手を繋いでいるのですか? さっきからずっとですよ」
「ずっとだよ。これからも、ずっとだ。死ぬまでね」
マキシムの冷徹なまでの美貌に、七歳のデイジーは「ひっ」と短い悲鳴を上げて一歩下がった。彼女は子供ながらに察していた。この金髪の完璧な貴公子は、姉のことになると少しだけ……いや、かなり、普通ではないのだということを。
しかし、当のヒロイン・ビビアンは、マキシムに手を引かれながら呑気に考えていた。
(マキシムったら、本当に私と仲良しなんだから。……婚約して、ずっと一緒にいられるなんて最高!)
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