日傘をさした女

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日傘をさした女

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某バーにて。

「なんか、今日の長井やけに暗いな」

「新卒で就職したはいいものの、営業で空回りが多くてさ…自分には合わないんじゃないかなって…」

「まあ、最初はそんなもんだって、あんまり気にすんなよ!」

「ほら注いでやる。今日は、ぱぁ~っといこうぜ」

周りの同期と比べても明らかに結果がついてきていないことに、焦りがあったのでしょう。その日は友人と夜中まで梯子をして、結局友人の家に泊めて貰うことになりました。

「もう飲み過ぎたから…寝るわ」

「おっけー(笑)」

しばらく眠っていましたが、飲み過ぎて気分が悪くなり、コンビニにコーヒーを買いに行ったのです。いつもの微糖を手に取り、軽い朝食を買ってその場をあとにしました。

「おぉ…起きた?」

「うん。朝食買ってきたけど」

「外に誰も居なかったか?」

「居なかったけど…お前、顔真っ青だぞ…」

友人はかなり怯えているようでしたが、そのときは何に怯えているかなど、知る由もありませんでした。


後日。




ピンポーン

インターホンが鳴ったので、呼びかけてみたのですが誰も答えません。ここはマンションなので、イタズラも多く、気にしませんでした。

「長井!」

友人の声に気付き。それが階下のフロアから窓に向けてかけられたものだと気付きました。

「今開けるから来いよー」

彼はしっかりと頷きましたが、来ることはありませんでした。少し心配になり電話をしたところ、彼が家に来たことはないとのことでした。その一言に不安感を覚えた私は彼に来るようにと、お願いをしましたが、妙なことを聞かれたのです。

「お前はいつから恋人ができたんだ?」

「恋人なんていないけど…」

「そうか…ならいいんだ」

何を思って聞いたのかは分かりませんでしたが、彼は来てくれました。

「ありがとう」

「いや、良いんだよ」

「ところで、何で恋人がいるなんて聞いたんだ?」

その一言で友人の顔は真っ青になったのです。それ以上聞くことはありませんでした。

その後、昼下がりのことでした。またインターホンがなったのです。友人が出てくれるとのことだったので、リビングで待っていました。が、ふと窓側が気になって階下を覗いてみたのです。

すると、下には友人が立ってこちらを見ながらニヤニヤしているのです。

「何でそんな所に降りてるんだよー」

彼は答えませんでした。

「外には誰も居ないみたいだったぞ」

外にいるはずの彼が戻ってきたのです。混乱した私は聞きました。

「今、階下にいただろ?!」

それを聞いても彼はきょとんとしていました。
その時

ドンっドンっとノックをする音が聞こえたのです。

私と彼はお互いに顔を合わせ、扉へと向かいました。
そして、扉を覗いてみると友人が立っているのです。
驚いて周囲を見渡しましたが、友人が消えていました。

そして、扉とは反対の一本廊下の先のリビングに、日傘をさした女が立っていたのです。
その女は白目をむいていて、肌は身の毛がよだつほどに青白く、ニヤニヤとこちらをじっとみていました。

余りの恐怖に腰は抜け背は扉にもたれ掛かる形で、意識を失いました。


今でもあの時のことは幻だったのではないかと思っています。後日、友人に電話をかけてみましたが、電話番号は使われていませんでした。私が、彼の家から帰った直後に急死したのだとか。
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