【五章完結】サラリーマン、オークの花嫁になる

花房いちご

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第五章 元騎士、オークの花嫁になる

元騎士、オークの花嫁になる【14】*

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「ガルグ先生って、本当に可愛らしいですね。これくらい猥談のうちにも入りませんよ。私は40歳こえてますし、一応既婚だったんですから。もっと卑猥な話だって出来ま……」

「とにかく駄目だー!スケベなこと言うの禁止!」

 いつも通りのやり取りだ。ぎゃあぎゃあ騒ぎながら食事して茶を飲んだ。
 後は、一人ずつ風呂に入って就寝の挨拶をすれば終わりだ。

 風呂上がりのヒースがこれまた色っぽくて困るんだよな。乾ききってない金髪と、上気した肌がしっとりとした色気を醸し出していて。
 風呂はヒースが住んでる四階にあるから、顔を合わさない訳にはいかないし。

「夜這いしてもいいですからね。それとも私の方から……」

「しない!駄目だ!」

 あーもう!魔道具つけてても!ちんぽ爆発しそうだ!さっさと部屋で抜かないと!

「……いつか、抱いてもらうまで待ってますから」

 切なげな声に惑わされそうになりつつ、急いで自室に向かった。さっさと抜かないと寝れなくなる。



◆◆◆◆◆◆




 ……湿った金髪がシーツに広がる。俺に押し倒されたヒースの金髪だ。その身には一糸も纏っていない。

「ガルグ……来て下さい……」

 俺に押し倒されたヒースが微笑む。風呂上がりの上気した肌が、色気を煮詰めたような声が、発情した紫の瞳が俺を誘う。

 ああ、これは……寝る前に見た風呂上がりのヒースだ。
 俺は珍しく、夢の最中に夢だと気づいた。

「夢なら良いよな?……綺麗だ。ヒース……愛している」

 ヒースの全裸をじっくり眺めた。しなやかに筋肉がついた美しい身体だ。

「ガルグ、嬉しい。もっと私を見て触って下さい」

 夢ではいつもそうだが、本当は見たことが無いヒースの身体が、妙に生々しく浮かぶ。
 普段はシャツやチュニックで隠れている腕、鎖骨、胸、腹と目線を下げていき、俺のより小さくて形が綺麗なちんぽに目が止まる。
 すっかり反り返っていて、先走りに濡れていた。小ぶりな睾丸もパンパンに膨らんでいて、今にも射精しそうだ。
 俺の、我ながら凶悪なデカさと形のちんぽもそうだ。ガチガチに勃って血管がボコボコ浮いてる。鈴口から先走りがダラダラ出てるし、今にも煮え滾った精液があふれそうだ。

 ヒースと一緒に射精したい。一緒に気持ちよくなりたい。

 俺は手で互いのモノを束ね、腰をゆすって擦り合わせた。熱くて程よい刺激がある。たまらない。現実でもこんな感覚なのだろうか?
 夢中で手と腰を動かした。ヒースもビクビクと身体を震わせて嬌声を上げる。

「あぁっ……!気持ちいい……!ガルグのが擦れて……!」

 甘い声を上げて腰をくねらせるヒース。俺は腰を動かしながら、汗で濡れた胸を舐めて乳首を吸った。じゅるじゅると、下品で卑猥な音が立つ。

「あっ!あぁっ!おっぱいきもちいぃっ!」

 薄ピンクの乳首が赤みを増し、どんどん固く立っていく。
 舌に、汗と肌の味を感じる。少し塩気があるような甘いような、曖昧な夢の味に浸る。しかし。

「きもちいいっ!あああんっ!ガルグ!好き……!愛している……!」

 その言葉にスッと心が冷えた。
 現実では一度も言われていない愛の言葉。
 当たり前だ。ヒースは、俺に依存してるだけなんだから。
 唐突に、自分がその事実に傷ついていると気づく。カッと頭に血が昇った。怒りとも悲しみともつかない激情が俺を突き動かす。

「ヒース!」

 これ以上愛撫はいらない。どうせ夢だ。激情のまま貫いて、無茶苦茶に犯してやろう。
 ヒースの両腿を掴んで窄まりに挿れようとして、白い手が俺の手を撫でた。

「……ガルグ、本当に好きです。愛してます。早く私の想いに気づいて」

 信じられないくらい優しい声に、俺は固まって何も出来なかった。

 そこで目が覚めた。最悪の目覚めだった。

 自分の愚かさと浅ましさに吐き気がする。
 夢とはいえ、大切な人を無茶苦茶にしようとした。
 自分に都合のいい言葉を言わせた。
 いつか現実にそうしないと、誰が言える?

「俺はヒースに相応しくない」




 ◆◆◆◆◆◆◆◆



 気まずくて、ヒース先生と一緒に朝飯を作る気力がない。
 台所で俺を出迎えたヒース先生が、何か言う前に畳み掛けた。

「……悪い。今日は朝飯は食わない。食欲がないんだ。昔のことを夢に見てな……」

 ヒース先生は、俺の言葉に傷ましそうに目を細めた。以前、俺が元軍人で赤花国との戦争に出たのを話したので、都合よく誤解してくれたのだろう。

「わかりました。昼食のサンドイッチは多めに作りますから、食べられたら食べて下さい」

「……ありがとう。始業まで外の空気を吸ってくる」

 俺は無心で歩いた。朝市に行き当たり、適当にホットドッグを買う。
 公園のベンチに座って食った。

「不味い」

 腹が減ってるのに、まともな材料を使ったホットドッグなのに、全然美味くないし満たされない。
 理由はわかってる。ヒース先生と一緒に作って食べる飯が美味すぎるんだ。
 上手く料理できた時はもちろん、黒焦げになった目玉焼きだって、味付けを間違って甘くなったスープだって、何だって美味かった。
 それだけじゃない。外食したり、出来合いのものを買って帰って食べた時も美味かった。
 2人で会話しながら食べるのは楽しくて、心が満たされた。
 幸せだった。でももう、止めるべきだ。
 俺は自分に言い聞かせるため、口を開いた。

「今夜、同居を解消するって言おう」

 丁度、明日から二日休みだ。その間に新居を見つければいい。この街は移住者も多いから、単身用の賃貸はいくらでもある。

「だけど、二人だけで話すと感情的になりそうだな……チェリー先生に仲立ちしてもらおうか」

 俺が先代校長の次に尊敬している人を思い浮かべ、学校に戻った。
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