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地縛霊は男子大学生と穏やかに暮らす【3】
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夏季休暇に入った。天治とジバは、相変わらず穏やかに過ごしている。
今は昼間。寝室のカーテンを閉め切っているので暗い。そして涼しい。スナック菓子とアイスを交互に食べつつ、天治はテレビを操作した。
「面白かったー!流石はジバさんのおすすめ!」
『まあな』
あの後、ジバは天治に映画やドラマやアニメの鑑賞を勧めた。
このまま、バイトと地縛霊との会話とオナニーだけの夏休みを過ごさせるのは嫌だったのだ。
映画はいい。配信サイトに入会すればいくらでも観れる。ここぞとばかりに布教した。
「次はなに観る?あっ!この「ミ○ト」っていうの有名だよね?俺は観たことないから気になって……」
『名作だが止めろ。絶対に止めろ』
天治は、悲劇や残酷なシーンが多い話が苦手だ。この間は、好きな俳優が出てるという理由で「悪○教○」を観て一日中落ち込んでいた。
(あれは可哀想だった。もう、あんな顔をさせたくない)
「ジバさん、そんな真顔で……。わかった。やめる。うーん。何にしようかなー」
『「君○名○。」は、どうだ?あれも面白かったぞ。確か生きてた頃に円盤持ってた』
「あっ!それもまだ観たことない!決定!ちょっと待ってて」
天治は飲み物のおかわりを用意しに行った。ジバは、恋愛映画を勧めた自分に頭を抱えた。自覚しないようにしていたが、もう無理だ。
(俺はあいつを……。駄目だ。地縛霊が生身の人間に執着したら殺しかねない。天治を殺したくない)
苦悩をよそに天治が帰ってくる。トレーの上には、麦茶ポットとコップが二つ。一つはジバの分だ。最近は、晩飯時以外でも飲み物を用意してくれる。
(いじらしい奴)
ジバの止まったはずの心臓が高鳴る。
そして天治は、さらにとんでもないことをした。
「ジバさん、こっち座って」
自分が座っていた場所をしめす。ジバは素直に座り……その膝の上に天治が座った。もっとも身体を通り抜けてしまうが。
(は?)
しかし、身体が近い。柔らかそうな茶髪、張りのある肌。ジバに比べれば小さく薄いが、サッカーをしていたからか、しっかりしている身体が。
(は?近い。凄く近い)
ジバの方から触っていないので触れ合うことはないが、ジバは盛大に慌てて混乱した。
『お、お前、な、なんで!?なにしてる?!』
「何って?ここが一番テレビ観やすいからだけど?」
『は?』
「ジバさんの好きな映画なんでしょ?一緒に一番いい場所で観ようよ」
『……はあ、そういうことか』
「そうだよ。なんでそんな慌てて……」
落ち着きを取り戻したジバだったが、今度は天治が動揺しだした。少し顔が赤い。
「や、やっぱり止める?こんな座り方、恋人みたいだし。俺はいいけどジバさん嫌?」
ジバはグッと言葉に詰まった。天治の照れた顔は破壊力抜群だ。
(クソ!かわいい!隙あらばセックスしようとする癖に!変なところで恥じらうな!かわいい!今すぐ抱きしめたい!おいやめろ!考えるな!「ミ○ト」のあのシーンを思い出せ!)
また股間が盛り上がりそうだったが、気合いでこらえた。ありがとう「ミ○ト」
『嫌じゃない。このままでいい』
「……うん」
こうして、天治のはにかんだ笑顔、鼓動の音にたまらなくなりながら、久しぶりに「君○名○。」を観たのだった。
天治は感動してボロ泣きした。その泣き顔にもドキドキムラムラしたジバなのだった。
◆◆◆◆◆
本日21時にもう一回更新、明日からは一日3回(12時、18時、21時)更新します。
今は昼間。寝室のカーテンを閉め切っているので暗い。そして涼しい。スナック菓子とアイスを交互に食べつつ、天治はテレビを操作した。
「面白かったー!流石はジバさんのおすすめ!」
『まあな』
あの後、ジバは天治に映画やドラマやアニメの鑑賞を勧めた。
このまま、バイトと地縛霊との会話とオナニーだけの夏休みを過ごさせるのは嫌だったのだ。
映画はいい。配信サイトに入会すればいくらでも観れる。ここぞとばかりに布教した。
「次はなに観る?あっ!この「ミ○ト」っていうの有名だよね?俺は観たことないから気になって……」
『名作だが止めろ。絶対に止めろ』
天治は、悲劇や残酷なシーンが多い話が苦手だ。この間は、好きな俳優が出てるという理由で「悪○教○」を観て一日中落ち込んでいた。
(あれは可哀想だった。もう、あんな顔をさせたくない)
「ジバさん、そんな真顔で……。わかった。やめる。うーん。何にしようかなー」
『「君○名○。」は、どうだ?あれも面白かったぞ。確か生きてた頃に円盤持ってた』
「あっ!それもまだ観たことない!決定!ちょっと待ってて」
天治は飲み物のおかわりを用意しに行った。ジバは、恋愛映画を勧めた自分に頭を抱えた。自覚しないようにしていたが、もう無理だ。
(俺はあいつを……。駄目だ。地縛霊が生身の人間に執着したら殺しかねない。天治を殺したくない)
苦悩をよそに天治が帰ってくる。トレーの上には、麦茶ポットとコップが二つ。一つはジバの分だ。最近は、晩飯時以外でも飲み物を用意してくれる。
(いじらしい奴)
ジバの止まったはずの心臓が高鳴る。
そして天治は、さらにとんでもないことをした。
「ジバさん、こっち座って」
自分が座っていた場所をしめす。ジバは素直に座り……その膝の上に天治が座った。もっとも身体を通り抜けてしまうが。
(は?)
しかし、身体が近い。柔らかそうな茶髪、張りのある肌。ジバに比べれば小さく薄いが、サッカーをしていたからか、しっかりしている身体が。
(は?近い。凄く近い)
ジバの方から触っていないので触れ合うことはないが、ジバは盛大に慌てて混乱した。
『お、お前、な、なんで!?なにしてる?!』
「何って?ここが一番テレビ観やすいからだけど?」
『は?』
「ジバさんの好きな映画なんでしょ?一緒に一番いい場所で観ようよ」
『……はあ、そういうことか』
「そうだよ。なんでそんな慌てて……」
落ち着きを取り戻したジバだったが、今度は天治が動揺しだした。少し顔が赤い。
「や、やっぱり止める?こんな座り方、恋人みたいだし。俺はいいけどジバさん嫌?」
ジバはグッと言葉に詰まった。天治の照れた顔は破壊力抜群だ。
(クソ!かわいい!隙あらばセックスしようとする癖に!変なところで恥じらうな!かわいい!今すぐ抱きしめたい!おいやめろ!考えるな!「ミ○ト」のあのシーンを思い出せ!)
また股間が盛り上がりそうだったが、気合いでこらえた。ありがとう「ミ○ト」
『嫌じゃない。このままでいい』
「……うん」
こうして、天治のはにかんだ笑顔、鼓動の音にたまらなくなりながら、久しぶりに「君○名○。」を観たのだった。
天治は感動してボロ泣きした。その泣き顔にもドキドキムラムラしたジバなのだった。
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本日21時にもう一回更新、明日からは一日3回(12時、18時、21時)更新します。
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