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リリの現在と過去 4年前 願いと婚約
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シルビアお姉様は、なんだか満たされた笑みを浮かべている。
私の中の嫉妬、不安、悲嘆の全てを見抜く黄金色の瞳。
私はいたたまれなくて目をそらすのに、シルビアお姉様は許してくれない。
唇に吐息が触れる距離。内緒話の声色で、淡く色づいた唇が動く。
「リリ、国王陛下はあの場ではああ仰っていたけど、私とクリスティアン殿下が結婚することは絶対に無いわ。血が近過ぎるもの」
「ち、血が?」
「ええ。公言はされていないけれど、王家は侯爵家以上の高位貴族との婚姻を避けていらっしゃるの。かつて高位貴族との婚姻を重ね、血が近くなり過ぎたせいで問題が出るようになってしまったから。
母后が男爵令嬢のレオナリアン殿下ならともかく、公爵令嬢のクリスティアン殿下との縁組は絶対に解消されるわ」
「問題って?」
「色々よ。御子が産まれにくくなっているのもその一つ。
それに高位貴族は、王家の外戚として権力を独占し過ぎた。ガーデニア公爵家はその頃の栄華を忘れられないから、あのような恥知らずな真似をしてティアーレ殿下を第二側妃に押し上げたのよ」
納得した。
王妃陛下が他国の王女殿下から、第一側妃殿下が下級貴族から選ばれた理由は、各人の有能さもさることながらそういう理由があったのね。
「お父様もお許しにならないわ。
ティアーレ殿下方を嫌っているのはもちろん、政治的な面でもこの縁組は旨味が少ないの。
当家は筆頭公爵家で、お父様は宰相。お兄様方はそれぞれ時期宰相候補と近衛騎士。これ以上、国内での権力を強めるのは望ましく無い。だからお父様は、お姉様方が国外に嫁がれるのを許したし、私の事もそうするおつもりだった。
私は、クリスティアン殿下と婚約しても結婚しないで済む。いえ、むしろ結婚したくなければ、クリスティアン殿下と婚約しなくては……」
結婚したくないから婚約する。だなんて奇妙な言い方。
知らなかったことも多く、事情を聞いても混乱する。戸惑っていると、シルビアお姉様のお顔が曇った。
「あの夜会では失敗したわ。あの後、アジュナ王太子殿下から当家へ贈り物と手紙が届いたでしょう?
アジュナ殿下は正妃様との婚姻を控えているので、正式なお申し出ではなかったけれど……いずれ私を上級妃の一人にしたいそうよ」
「えっ!?そ、それってシルビアお姉様を後宮妃にする気!?」
インディーア王国の王と王太子は、美姫数百人を集めた後宮を持つ。
彼女たちは基本的に王族の来訪を待つ身。だけど上級妃以上になれば、国政に携わったり事業を起こすことも認められている。
「悪い話ではないわ。初めから上級妃として扱われれば、たとえ御子を産めなくとも離縁や下賜の対象にはならない。よほどの問題を起こしさえしなければ、インディーア王国の上級妃という地位は生涯保たれる。もちろん両国の関係も強化される。
これ以上無い良縁よ。お父様もお喜びだったけど……私は嫌」
「シルビアお姉様」
強い眼差しが私を貫いた。
「結婚も婚約も嫌よ。どんな男の人ともしたくない」
それって……。心臓が壊れたように鳴り響く。触れ合う指先から燃え上がりそう。
「国王陛下のお申し出は私にとって好機。上手く条件と褒美を決めることが出来れば、私は結婚せずにいれる。貴女とも離れなくて済む」
甘い吐息が唇に触れる。しっとりとした感触と果実のような香り。眩暈がしそうでシルビアお姉様を抱きしめた。
背はシルビアお姉様の方が高いけど、とても華奢だ。白百合の花束を抱いているよう。
このお方が愛おしい。お守りしたいと強く想う。
「私も、シルビアお姉様とずっといたい」
◆◆◆◆◆
その後。シルビアお姉様は、ゴールドバンデッド公爵閣下と国王陛下と、何回も話し合いをした。
婚約に際しての条件、褒美の内容、ゴールドバンデッド公爵家の利点などをまとめ上げ、交渉し続けた。
毎週のように招かれる国王陛下のお茶会。シルビアお姉様は堂々と話す。
「大前提として、私はクリスティアン殿下と婚約はしても結婚はいたしません。いずれ婚約解消します。
これは私の好悪や忠誠心の問題では無いことは、お分かりかと存じます」
国王陛下は頷く。ゴールドバンデッド公爵閣下は苦々しい顔だ。
「ああ、理解している。それで良い。シルビアーナ嬢。息子を頼む」
「では、私の願いを叶えてくださいませ」
「……本当にその願いにするのか?」
「ええ。私の想いを遂げるために必要なのです」
シルビアお姉様は陶酔した笑みを浮かべ、条件を述べて褒美を望んだ。
【少なくとも三年以上。第二王子クリスティアンを教育し公務の補佐をする。そして婚約解消後は、実績に相応する褒美を与える。具体的には、新たな家名と爵位と領地を賜る】
国王陛下は、シルビアお姉様をレオナリアン殿下の第一側妃にしたかったらしく渋ったし、ゴールドバンデッド公爵閣下は猛反対した。
「認められん!百歩譲ってクリスティアン殿下との婚約を許すとして、アジュナ王太子殿下との縁談もお断りする気か!」
「お父様、政略結婚用の子女は私以外にもいらっしゃるでしょう?」
シルビアお姉様のご兄弟は、皆さまご結婚されているか婚約者がいる。けれど、ゴールドバンデッド公爵派閥には他にも令嬢令息はいる。
インディーア王国にしろ、その他の国にしろ、政略結婚させるのに不足はない優秀な方々だ。
「それよりも、功績により国王陛下から家名、爵位、領地を賜った唯一の貴族の生家という箔付の方が、よほど旨味がございませんか?」
箔付といっても、王族から婚約を解消されるのだから王子妃のように強い権力を持つことはない。シルビアお姉様は淡々と理詰めで話す。
ゴールドバンデッド公爵閣下は納得しなかった。だけど、シルビアお姉様も譲らない。
最終的には、ゴールドバンデッド公爵閣下が折れた。
「それだけの功績を上げれるものならば上げてみよ。
全く……お前は私に似て昔から強情だな」
「あら。お父様ったら自覚がございましたの?」
「……その返し方は母親似だ」
今から五年前に亡くなられた奥様の面影を追うように、ゴールドバンデッド公爵閣下は目を細めた。
こうして、シルビアお姉様とクリスティアン殿下は婚約した。
シルビアお姉様は顔合わせの直前、こう言った。
「クリスティアン殿下の教師は、素晴らしい方々ばかりよ。すぐに王族に相応しい品位と教養を学ばれるでしょう。私がお役御免になるのは、案外早いかもしれないわね」
どうしても心配してしまう私を励ますように、シルビアお姉様は笑う。見ていると、心が温かくなって不安が溶けていった。
「うん。シルビアお姉様も教育するんですもの。きっとすぐ終わるわよね!」
あまりにも甘い見通しだったと知るのは、すぐだった。
私の中の嫉妬、不安、悲嘆の全てを見抜く黄金色の瞳。
私はいたたまれなくて目をそらすのに、シルビアお姉様は許してくれない。
唇に吐息が触れる距離。内緒話の声色で、淡く色づいた唇が動く。
「リリ、国王陛下はあの場ではああ仰っていたけど、私とクリスティアン殿下が結婚することは絶対に無いわ。血が近過ぎるもの」
「ち、血が?」
「ええ。公言はされていないけれど、王家は侯爵家以上の高位貴族との婚姻を避けていらっしゃるの。かつて高位貴族との婚姻を重ね、血が近くなり過ぎたせいで問題が出るようになってしまったから。
母后が男爵令嬢のレオナリアン殿下ならともかく、公爵令嬢のクリスティアン殿下との縁組は絶対に解消されるわ」
「問題って?」
「色々よ。御子が産まれにくくなっているのもその一つ。
それに高位貴族は、王家の外戚として権力を独占し過ぎた。ガーデニア公爵家はその頃の栄華を忘れられないから、あのような恥知らずな真似をしてティアーレ殿下を第二側妃に押し上げたのよ」
納得した。
王妃陛下が他国の王女殿下から、第一側妃殿下が下級貴族から選ばれた理由は、各人の有能さもさることながらそういう理由があったのね。
「お父様もお許しにならないわ。
ティアーレ殿下方を嫌っているのはもちろん、政治的な面でもこの縁組は旨味が少ないの。
当家は筆頭公爵家で、お父様は宰相。お兄様方はそれぞれ時期宰相候補と近衛騎士。これ以上、国内での権力を強めるのは望ましく無い。だからお父様は、お姉様方が国外に嫁がれるのを許したし、私の事もそうするおつもりだった。
私は、クリスティアン殿下と婚約しても結婚しないで済む。いえ、むしろ結婚したくなければ、クリスティアン殿下と婚約しなくては……」
結婚したくないから婚約する。だなんて奇妙な言い方。
知らなかったことも多く、事情を聞いても混乱する。戸惑っていると、シルビアお姉様のお顔が曇った。
「あの夜会では失敗したわ。あの後、アジュナ王太子殿下から当家へ贈り物と手紙が届いたでしょう?
アジュナ殿下は正妃様との婚姻を控えているので、正式なお申し出ではなかったけれど……いずれ私を上級妃の一人にしたいそうよ」
「えっ!?そ、それってシルビアお姉様を後宮妃にする気!?」
インディーア王国の王と王太子は、美姫数百人を集めた後宮を持つ。
彼女たちは基本的に王族の来訪を待つ身。だけど上級妃以上になれば、国政に携わったり事業を起こすことも認められている。
「悪い話ではないわ。初めから上級妃として扱われれば、たとえ御子を産めなくとも離縁や下賜の対象にはならない。よほどの問題を起こしさえしなければ、インディーア王国の上級妃という地位は生涯保たれる。もちろん両国の関係も強化される。
これ以上無い良縁よ。お父様もお喜びだったけど……私は嫌」
「シルビアお姉様」
強い眼差しが私を貫いた。
「結婚も婚約も嫌よ。どんな男の人ともしたくない」
それって……。心臓が壊れたように鳴り響く。触れ合う指先から燃え上がりそう。
「国王陛下のお申し出は私にとって好機。上手く条件と褒美を決めることが出来れば、私は結婚せずにいれる。貴女とも離れなくて済む」
甘い吐息が唇に触れる。しっとりとした感触と果実のような香り。眩暈がしそうでシルビアお姉様を抱きしめた。
背はシルビアお姉様の方が高いけど、とても華奢だ。白百合の花束を抱いているよう。
このお方が愛おしい。お守りしたいと強く想う。
「私も、シルビアお姉様とずっといたい」
◆◆◆◆◆
その後。シルビアお姉様は、ゴールドバンデッド公爵閣下と国王陛下と、何回も話し合いをした。
婚約に際しての条件、褒美の内容、ゴールドバンデッド公爵家の利点などをまとめ上げ、交渉し続けた。
毎週のように招かれる国王陛下のお茶会。シルビアお姉様は堂々と話す。
「大前提として、私はクリスティアン殿下と婚約はしても結婚はいたしません。いずれ婚約解消します。
これは私の好悪や忠誠心の問題では無いことは、お分かりかと存じます」
国王陛下は頷く。ゴールドバンデッド公爵閣下は苦々しい顔だ。
「ああ、理解している。それで良い。シルビアーナ嬢。息子を頼む」
「では、私の願いを叶えてくださいませ」
「……本当にその願いにするのか?」
「ええ。私の想いを遂げるために必要なのです」
シルビアお姉様は陶酔した笑みを浮かべ、条件を述べて褒美を望んだ。
【少なくとも三年以上。第二王子クリスティアンを教育し公務の補佐をする。そして婚約解消後は、実績に相応する褒美を与える。具体的には、新たな家名と爵位と領地を賜る】
国王陛下は、シルビアお姉様をレオナリアン殿下の第一側妃にしたかったらしく渋ったし、ゴールドバンデッド公爵閣下は猛反対した。
「認められん!百歩譲ってクリスティアン殿下との婚約を許すとして、アジュナ王太子殿下との縁談もお断りする気か!」
「お父様、政略結婚用の子女は私以外にもいらっしゃるでしょう?」
シルビアお姉様のご兄弟は、皆さまご結婚されているか婚約者がいる。けれど、ゴールドバンデッド公爵派閥には他にも令嬢令息はいる。
インディーア王国にしろ、その他の国にしろ、政略結婚させるのに不足はない優秀な方々だ。
「それよりも、功績により国王陛下から家名、爵位、領地を賜った唯一の貴族の生家という箔付の方が、よほど旨味がございませんか?」
箔付といっても、王族から婚約を解消されるのだから王子妃のように強い権力を持つことはない。シルビアお姉様は淡々と理詰めで話す。
ゴールドバンデッド公爵閣下は納得しなかった。だけど、シルビアお姉様も譲らない。
最終的には、ゴールドバンデッド公爵閣下が折れた。
「それだけの功績を上げれるものならば上げてみよ。
全く……お前は私に似て昔から強情だな」
「あら。お父様ったら自覚がございましたの?」
「……その返し方は母親似だ」
今から五年前に亡くなられた奥様の面影を追うように、ゴールドバンデッド公爵閣下は目を細めた。
こうして、シルビアお姉様とクリスティアン殿下は婚約した。
シルビアお姉様は顔合わせの直前、こう言った。
「クリスティアン殿下の教師は、素晴らしい方々ばかりよ。すぐに王族に相応しい品位と教養を学ばれるでしょう。私がお役御免になるのは、案外早いかもしれないわね」
どうしても心配してしまう私を励ますように、シルビアお姉様は笑う。見ていると、心が温かくなって不安が溶けていった。
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