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『極剣聖』と『天魔王』
『極剣聖』対『天魔王』——驚愕のち接戦
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「なっ…?」
サクラにへと振り下ろした【炎氷ノ剣】の剣身が、一瞬跳ね上がり湾曲したかと思うと、そのまま赤と青の粒子となって宙に霧散してしまった。
——無効化された……!?
その事実に驚愕しながら、ハッとしてフィーリアは即座に腕を振るう。
「【熾天使の守】ッ!」
瞬間、彼女を覆うように輝き煌めく防壁が、ドーム状に展開される。された同時に——不可視の衝撃が襲いかかった。
バリンッ——呆気なく、【熾天使の守】が砕け散る。
「チッ——【転移】!」
その様をすぐさま視認して、フィーリアはその場から消える。先ほどまで彼女が立っていた場所が次々と斬り刻まれ、また新たな渓谷が発生した。
「出鱈目ですね………」
「そういう君も大概だとは思うが」
声のした方にへと、フィーリアは顔を向ける。そこには、サクラが立っていた。
その手には、抜身となった彼女の得物——刀が握られている。
陽光を受けて、冷たく鈍く輝くそれを、サクラはゆっくりと振り上げた。
「いつぶりだろうな。こうして己の得物を、まともに抜刀したのは」
言いながら、振り上げたそれを彼女は真横に振るう。
それと全く同時に、彼女の隣に聳え立っていた大岩が、真っ二つに分断された。
「…………本当に出鱈目ですね。『極剣聖』」
「君もな。『天魔王』」
サクラとフィーリアが互いを見合う。彼女たちが見合う——『極剣聖』と『天魔王』が、見合う。
二人の間に沈黙が流れた。数秒の、けれど途轍もなく重く、緊張に満ち溢れた沈黙が。
そして、その沈黙を最初に破ったのは——サクラであった。
「では、そろそろ私から動くとしよう」
サクラが、呟いた。フィーリアの目の前で。
「………………はっ?えッ!?」
今度は、フィーリアも驚愕を隠せなかった。何故なら、先ほどまでサクラは、決して近いとは言えない位置にいたのだから。
だが——それが今は眼前にいる。
「驚いている場合か?」
言いながら、振り上げていた刀をサクラは振り下ろす——だが、斬ったのは愕然とこちらを見上げるフィーリアの顔ではなく、荒野の大地だった。
「あ、危なかった……」
頬に一筋の汗を流しながら、安堵したようにフィーリアが呟く。
「【転移】が間に合って良かった。じゃなかったら、今頃私の顔は真っ二つでしたね」
「では身体を両断してやろう」
「え?」
ほぼ反射的に、フィーリアは背後を振り返る————鈍く輝く、冷たい刃がこちらに迫っていた。
「……………………これは、流石の私も驚きを隠せない、な」
それは、飾りもない心からの言葉。
「ま、魔道士……舐めんじゃねえですよ……っ…!」
そんなサクラの言葉に、声を震わせながらフィーリアは返した——手に持った杖で、彼女の刀を受け止めながら。
サクラにへと振り下ろした【炎氷ノ剣】の剣身が、一瞬跳ね上がり湾曲したかと思うと、そのまま赤と青の粒子となって宙に霧散してしまった。
——無効化された……!?
その事実に驚愕しながら、ハッとしてフィーリアは即座に腕を振るう。
「【熾天使の守】ッ!」
瞬間、彼女を覆うように輝き煌めく防壁が、ドーム状に展開される。された同時に——不可視の衝撃が襲いかかった。
バリンッ——呆気なく、【熾天使の守】が砕け散る。
「チッ——【転移】!」
その様をすぐさま視認して、フィーリアはその場から消える。先ほどまで彼女が立っていた場所が次々と斬り刻まれ、また新たな渓谷が発生した。
「出鱈目ですね………」
「そういう君も大概だとは思うが」
声のした方にへと、フィーリアは顔を向ける。そこには、サクラが立っていた。
その手には、抜身となった彼女の得物——刀が握られている。
陽光を受けて、冷たく鈍く輝くそれを、サクラはゆっくりと振り上げた。
「いつぶりだろうな。こうして己の得物を、まともに抜刀したのは」
言いながら、振り上げたそれを彼女は真横に振るう。
それと全く同時に、彼女の隣に聳え立っていた大岩が、真っ二つに分断された。
「…………本当に出鱈目ですね。『極剣聖』」
「君もな。『天魔王』」
サクラとフィーリアが互いを見合う。彼女たちが見合う——『極剣聖』と『天魔王』が、見合う。
二人の間に沈黙が流れた。数秒の、けれど途轍もなく重く、緊張に満ち溢れた沈黙が。
そして、その沈黙を最初に破ったのは——サクラであった。
「では、そろそろ私から動くとしよう」
サクラが、呟いた。フィーリアの目の前で。
「………………はっ?えッ!?」
今度は、フィーリアも驚愕を隠せなかった。何故なら、先ほどまでサクラは、決して近いとは言えない位置にいたのだから。
だが——それが今は眼前にいる。
「驚いている場合か?」
言いながら、振り上げていた刀をサクラは振り下ろす——だが、斬ったのは愕然とこちらを見上げるフィーリアの顔ではなく、荒野の大地だった。
「あ、危なかった……」
頬に一筋の汗を流しながら、安堵したようにフィーリアが呟く。
「【転移】が間に合って良かった。じゃなかったら、今頃私の顔は真っ二つでしたね」
「では身体を両断してやろう」
「え?」
ほぼ反射的に、フィーリアは背後を振り返る————鈍く輝く、冷たい刃がこちらに迫っていた。
「……………………これは、流石の私も驚きを隠せない、な」
それは、飾りもない心からの言葉。
「ま、魔道士……舐めんじゃねえですよ……っ…!」
そんなサクラの言葉に、声を震わせながらフィーリアは返した——手に持った杖で、彼女の刀を受け止めながら。
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