ストーリー・フェイト──最強の《SS》冒険者(ランカー)な僕の先輩がクソ雑魚美少女になった話──

白糖黒鍵

文字の大きさ
245 / 479
RESTART──先輩と後輩──

RESTART(その十)

しおりを挟む
 そこはこの街オールティアにある教会────この街がまだオールティアと呼ばれる以前の、小さな村の頃から建てられていたものであり。以降、建物自体の強度向上を目的とした小規模な改築を行いながら、その見た目を然程変えることはせずに。

 気がつけば発展した村が街となって、やがて第一ファース大陸随一の商業と交易の街となるまでの躍進を遂げたあの日から。今日の今に至るまでの数十年間、うつり変わりくその様を、その景色を、その光景を。

 その全てを、歴代の神父や修道女シスターと共に見届けてきた、由緒正しき歴史有る教会は────





「ハハハハハハハハハハハッ!ハァッハハハハハァーッ!!」





 ────今や、倒壊せずに。未だ建っていることが奇跡なまでの、無常な惨状と化してしまっていた。

 この有様となる破壊を齎した原因────エンディニグル・ネガは依然高わらいを上げながら。嬉しくて喜ばしくて楽しくて愉しくて堪らないといった風な高嗤いをひたすらに上げ続けながら、エンディニグル・ネガは徐に呟く。

「さて、さてさてさぁて……一体どうしてやろうか、まずはどうしてやろうかなあ?まあとりあえずることは確定として、そんで……ああ。そうだな。あの辺で転がってる塵芥ゴミ屑滓クズカスと同じ目に遭わせてやろう。同じ塵芥の屑滓にした後でぶち殺して、死体を犯って死体にぶっかけて、それから折角だしもう一発犯ってやるとしようかあッ!!ハハッ、ギャハッ、ギャッハッ、ギャハハハハァッ!」

 と、もはや下衆外道以下の、最低よりも最底辺な発言をかましたエンディニグル・ネガは、より下賤で下卑た高嗤いを、より勢いを増して上げる────





「アゲャゲャゲャゲャッ!エ゛ア゛ッビャア゛ハッハッハッハッ!…………あ?ああ……?何だ、これは?あぁ?」





 ────が、不意に。嗤うのを止め、不可思議そうな声音を漏らしながら。エンディニグル・ネガは首を傾げた。そして、その直後のこと。

「な、何だ……?何だ、何で、何が。一体、一体これは、一体ッ、これはッ?」

 困惑と混乱がこれでもかと全面に表れた声でそう呟き続けながら、やがてエンディニグル・ネガは苦渋の表情を浮かべたかと思えば、手で胸を押さえ、身体を捻るようにくねらせ始める。

「ぐ、ぁあ……ッ!な、何、何故、何故何故何故何故何故何故なにゆえェェェ……!!どう、どうして、どうし、てどうして、どうして、どうして……!!!」

 と、猛烈に悶えて苦しむエンディング・ネガの姿は。傍目から見ても、恐ろしい程に不気味で、不可解であった。

GAAAAAAガアアアアアア!!あり得んこんなことッ!!あり得ない、あってはならないッ!!馬鹿な、馬鹿な馬鹿な馬鹿な……止めろ止めろ止めろ止めろ止めろオォオオオッッッ!!!」

 まるで到底堪え難い、こちらの想像を遥か彼方に絶する激痛に苛まれているかのように。或いは、己の存在全てを投げ打って放り捨てたとしても、それだけは絶対に手離し失ってはいけないものを死守するかのように。

 尋常ではない、と片付けるにはまるで足りない、壮絶にして凄絶な表情でエンディニグル・ネガはそう叫ぶ。そして、叫び続ける。

「おぉ……おおッ!!おおおッ!!!何故です!?嗚呼ああ、嗚呼何故なのですッ!?どうしてなのですかッ!?」

 そうして、エンディニグル・ネガがあらん限りに目を見開き、血涙を流し────





OAオアAAAAAAAAAアアアアアアアアアアッ!!!!!我らが偉大なる、ははよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッ!!!!!」





 ────と、絶叫を悍ましくも迸らせた直後。突如として、エンディニグル・ネガの背後で極光が弾けて爆裂した。

 爆ぜて、その勢いで散った光が教会に舞う。さながら、冬の夜空から降り注ぎ、宙に舞う粉雪のように。

 その最中、より多く濃く、光が舞い散る中心地。そこに、存在モノは今、り立つ。

 燃え盛る炎をそのまま流し入れたかのような、紅蓮の赤髪がふわりと揺れ、宙に広がる。瞬間、教会全体に舞っていた光の全てが、一気に収束を始める。全ての光が、赤髪へと集う。

 光を取り込み、赤髪は煌めき────。瞬く間に、赤髪は左側にほんの僅かな一部だけを残して、

 少し遅れて、徐に閉ざされていたその瞼が開かれる。そうして露わになるのは、燦々とした煌めきを灯す紅玉の如き、右の瞳。をした、左の瞳。相違するその双眸が、まるで足でも縫い留められたかのように、その場から動けないでいるエンディニグル・ネガのことを一瞥する。

「……馬、鹿な……馬鹿な、馬鹿な!馬鹿なッ!!こんな、ことが!?う、嘘だこんなことは……こんなことがあって堪るものかァッ!!」

 呆然自失の沈黙を経てから、エンディニグル・ネガが狼狽の表情を浮かべて情けない声で叫ぶ。額から、頬から、顔全体から冷や汗を滝のように流し、絶えず教会の床へ垂れながら。これ以上にない程にみっともなく、エンディニグル・ネガは盛大に取り乱す。

 やがて、そんなエンディニグル・ネガから視線を外し。次に見つめたのは、先程エンディニグル・ネガに踏み潰され、踏み躙られた末に。辛うじてその原型は留めていたものの、皮膚は裂け肉は潰れ骨は砕け、痛々しいことこの上なく、ぐしゃぐしゃに拉げてしまった、己が右手。

 唐突に、未だ宙に残留する光がその右手に集い纏わる。光は傷を埋めていき────気がつけば、無傷無事の、元通りの右手がそこにあった。

 感触を確かめるように数回開閉を繰り返し、そして固く強く握り締め、拳を作り。

 そうして再び存在モノは────ラグナはエンディニグル・ネガを正面から堂々と、真っ直ぐに見据えるのだった。

「あり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ない……あり得ない!あり得ない!!あり得ない!!!」

 依然エンディニグル・ネガは狼狽えながらそう叫び続ける。やがてラグナがその場から、ゆっくりと歩き出すと。一層激しく取り乱し始めるとほぼ同時に、己の周囲から十本の黒い手を出現させた。

「来るなァッ!!こっちに、来るんじゃあないぃいいイイイィッ!!」

 十本の黒い手が動く。五十本の指が蠢く。全ての指先が宙をなぞり、字を記し。そしてそれは繋がり、一つの巨大な円となる。

 次第に円の中心に魔力が集中を始め、紫闇の光となって、輝きを放つ。その余波で、周囲の床が割れ砕け、或いは溶け崩れていく。

 しかしラグナはその歩みを止めず、エンディニグル・ネガの元へと進み続ける。その姿を目の当たりにしたエンディニグル・ネガは、遂に堪え切れなくなり。

おれの側に近寄るなあああぁああああぁぁあぁあぁあああぁぁぁっっっ!!うああああああああああああああああああああ!!!!アァアアアァァアアアアアアッッッ!!!!!!」

 ドオォッ──その表情を恐怖に歪ませながら叫ぶと同時に、円から紫闇の光線を放出するのだった。

 射線上にある全てを飲み込み、巻き込んで、この世界から消滅させながら。光線はラグナに迫り──────────










 。消滅したはずのものは全て、

 この現実を受け止め、その事実を認識し。光線も、円も、黒い手も。その何もかもが今や消え去っていることにも気づいたエンディニグル・ネガが、放心したように呟く。

「間違いない……その力は」

 そして既にこちらの懐に入り込み、拳を振りかぶっているラグナを見下ろしながら。エンディニグル・ネガは続けてまたしても叫ぶ。

嗚呼ああ!間違いないッ!?この力はァッ!!??」

 直後、エンディニグル・ネガの鳩尾みぞおちに、ラグナは振りかぶっていた己が拳を、叩きつけた。

「ぶっ飛べッ!!消えて、失くなれぇええええええええええッ!!!!!」

 渾身のありったけを全て、詰められるだけ詰め込んだ、ラグナの咆哮。それに呼応するように、ラグナの拳からあまりにも眩い光が溢れ出す。

 そうしてエンディニグル・ネガの情けなさ極まる悲鳴と共に、教会は一瞬で余すことなく、光で満ち溢れ────爆ぜた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

処理中です...