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第三章 6
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あの日から数日が経った。
幸いにも横井たちが美鈴の目の前に顔を出すことはなかった。痴漢被害に遭っていた女性と細川愛実も数日前から登校している。ただ、彼女にはあのあと、横井たちに何をされたのかという点について黙っていた。口が裂けてもいえない。愛実には話し合いによって解決し、彼女の下半身を撮影した卑猥な映像も削除したことだけを告げた。
あのあと横井たちは実際に約束した通り、愛実の痴漢被害を撮影した動画を、美鈴の見ている目の前で確かに削除してくれた筈だ。今は兎も角嘘であってもそれを信じたい。
何事もなく数週間が流れ、人妻女教師は卑劣な痴漢によって貞操を奪われ、生まれて初めて膣内で女の悦びを味合わされたことを、過去の過ちだったと思うように決めた。
茶道部での指導を終え、美鈴は生徒たちと一緒に地下鉄の駅へ向かった。しかし、今日は、娘和葉に強請られたキャラクターグッズを購入するため、地下鉄の駅の手間で生徒たちと別れ、駅と直結する地下街へと足を向けた。そのまま地下通路を突き抜け、地上へ出た。地下街の上には大型複合商業施設が建っていた。エレベーターで目的の階まで上がり、和葉のために、キャラクターグッズを購入した。そのまま暫くウインドショッピングを楽しむことにした。夫に電話し、和葉のためのプレゼントを購入したことを伝え、保育園まで娘を迎えに行ってくれるよう頼んだ。少し帰りが遅くなることも伝えた。
三十分程、施設内を散策し美鈴は帰路に就いた。地下鉄ではなく地上を走る列車に乗ることにした。改札を抜け、階段を渡って反対側のホームへ向かった。午後五時を少し回っており、ホームは仕事帰りのサラリーマンやOLたちで溢れ返っていた。先頭の女性専用車両は既に長蛇の列が出来、とても次の到着列車に乗れそうな状況ではなかった。人妻女教師は嘆息を吐き、女性専用車両に乗ることを諦め仕方なく一般車両の列に加わった。
列車到着のアナウンスが流れた。ホームに列車が到着し、ドアが開いた。乗車を促すメロディが流れ、駅員が乗客たちを車両の中へ押し込んだ。その人混みに押し流され、美鈴も鮨詰め状態の車両に入った。身動き一つも出来ない。娘のために購入したキャラクターグッズは幸いにもマグカップだったため、潰される心配はいらない。だが、生身の美鈴の身体は、背後に立つ男によって押され、八十七のFカップの豊満な胸は、彼女の目の前に立つ男の背中に無理やり押し付けられた。
(あっあぁ……あっ)
ブラジャーに包まれた胸が押し潰される感触があった。
「はぁっ!?」
グレーのスーツを着たサラリーマンらしき中年男性が、辛うじて動く首を回し、怪訝そうに美鈴を見やった。凄く恐ろしい目をして。
「……済みません」
美鈴は面目なさ気に、その睨みつける男に頭を下げた。
「ちぇっ」
男は舌打ちすると前を向いた。
間もなくゆっくりと列車が動き出した。
幸いにも横井たちが美鈴の目の前に顔を出すことはなかった。痴漢被害に遭っていた女性と細川愛実も数日前から登校している。ただ、彼女にはあのあと、横井たちに何をされたのかという点について黙っていた。口が裂けてもいえない。愛実には話し合いによって解決し、彼女の下半身を撮影した卑猥な映像も削除したことだけを告げた。
あのあと横井たちは実際に約束した通り、愛実の痴漢被害を撮影した動画を、美鈴の見ている目の前で確かに削除してくれた筈だ。今は兎も角嘘であってもそれを信じたい。
何事もなく数週間が流れ、人妻女教師は卑劣な痴漢によって貞操を奪われ、生まれて初めて膣内で女の悦びを味合わされたことを、過去の過ちだったと思うように決めた。
茶道部での指導を終え、美鈴は生徒たちと一緒に地下鉄の駅へ向かった。しかし、今日は、娘和葉に強請られたキャラクターグッズを購入するため、地下鉄の駅の手間で生徒たちと別れ、駅と直結する地下街へと足を向けた。そのまま地下通路を突き抜け、地上へ出た。地下街の上には大型複合商業施設が建っていた。エレベーターで目的の階まで上がり、和葉のために、キャラクターグッズを購入した。そのまま暫くウインドショッピングを楽しむことにした。夫に電話し、和葉のためのプレゼントを購入したことを伝え、保育園まで娘を迎えに行ってくれるよう頼んだ。少し帰りが遅くなることも伝えた。
三十分程、施設内を散策し美鈴は帰路に就いた。地下鉄ではなく地上を走る列車に乗ることにした。改札を抜け、階段を渡って反対側のホームへ向かった。午後五時を少し回っており、ホームは仕事帰りのサラリーマンやOLたちで溢れ返っていた。先頭の女性専用車両は既に長蛇の列が出来、とても次の到着列車に乗れそうな状況ではなかった。人妻女教師は嘆息を吐き、女性専用車両に乗ることを諦め仕方なく一般車両の列に加わった。
列車到着のアナウンスが流れた。ホームに列車が到着し、ドアが開いた。乗車を促すメロディが流れ、駅員が乗客たちを車両の中へ押し込んだ。その人混みに押し流され、美鈴も鮨詰め状態の車両に入った。身動き一つも出来ない。娘のために購入したキャラクターグッズは幸いにもマグカップだったため、潰される心配はいらない。だが、生身の美鈴の身体は、背後に立つ男によって押され、八十七のFカップの豊満な胸は、彼女の目の前に立つ男の背中に無理やり押し付けられた。
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「はぁっ!?」
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「ちぇっ」
男は舌打ちすると前を向いた。
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