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第2章 リエナと過ごす日常生活

第23話 帰還勇者&リエナ、魔王カナンと対峙する。

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「勇者様! アレです! あの黒い靄のような存在が魔王カナンの魂です!」

 俺にお姫様抱っこされたリエナが、黒い霧のような何かを指さした。

「あの幽霊みたいなヤツがか? でもだいぶ弱ってるみたいだな、前戦った時とはまるで別物だぞ? この距離まで近づいても、圧みたいなのをほとんど感じない」

「おそらくですが元々勇者様にやられてダメージを受けていた上に、この世界へと渡ってくるのにかなりの力を消耗したのでないかと」

「そういうことか。ならいっそう、回復する前にここでキッチリとケリを付けないとな」
「ですね!」

 リエナと状況を整理しながら近づいていくと、だいぶ遅れて向こうもやっと俺の存在に気付いた。
 相手の意識に捉えられた感覚がある。

「勇者の俺がスキルを使っているのに、俺の存在に気付くのがここまで遅いか。なるほど、相当消耗しているのは間違いなさそうだな」

 魔王カナンは一瞬逃げようとしたものの、すぐに無理だと悟ったのか逃走を諦めて迎えうってきた。

 魔王カナンの魂を中心に、夜よりも暗い漆黒の領域が展開される。

「こ、これは位相次元空間です……!」

 俺の視線を追って周囲を見回したリエナが緊張の面持ちで伝えてくる。

「位相次元空間、つまり魔王カナンの作った特殊な亜空間に囚われたってことだな。魔王カナンの、魔王カナンによる、魔王カナンのための亜空間だ」

「はい、ここでは魔王カナンは通常空間よりもはるかに強大な力を行使できるようになるんです」

「ああ。前も1回閉じ込められて散々苦労させられたからよく覚えてるよ」

 異世界『オーフェルマウス』での最終決戦でも、俺を閉じ込めて苦しめた魔王カナンの必殺技だ。

 空間を自由自在に操る能力を持った魔王カナンは、戦う場所そのものを自分有利の場所に作り変えてしまうのだ。

 だがしかし。
 その特殊な亜空間そのものがもはや大した力を持っていないことを、俺は既に看破していた。

 今のコイツは、あの時命がけの死闘を繰り広げた魔王カナンとは完全に別物だ。

 俺も愛用の聖剣『ストレルカ』がないから戦闘力はかなり落ちてはいるが、それでも『絶対不敗の最強勇者』と言われた俺が負けるような相手じゃない。

「『魔弾ノ流星雨メテオ・バレット』──!」

 魔王カナンがおどろおどろしい声でそう言うと、魔力で編まれた数十個の弾丸が中空に生まれ、俺とリエナに向かって殺到する――いやこれは明らかにリエナを狙っている!

「くっ、防御結界が間にあいません!」
 狙い撃ちにされたリエナが目をつぶって身をすくめる。

 だがしかし!

「安心しろリエナ」

 その時既に、俺の思考に即座に呼応した勇者スキル『マルチ・ロックオン』が発動し、俺の視界に映った全ての魔力弾を同時捕捉していた。

 そして、

「『セイクリッド・カウンター・フルバースト』!」

 俺の放った無数の聖光弾が、襲い来る魔王カナンの魔力弾を1発漏らさず撃ち落とす――!!

 『セイクリッド・カウンター・フルバースト』。
 その名の通り、本来は1発しかない迎撃スキル『セイクリッド・カウンター』を一斉に撃ち出す、対集団戦闘用の攻防一体の必殺技だ。

 もちろん本来ならこの程度の威力では、魔王カナンレベルの強大な相手には通用しない。
 大量にばらまくだけあって、一発一発は実のところ大した威力はないからだ。

 勇者と魔王が全力で戦う超絶バトルにおいては、はっきり言ってこれじゃ火力不足もいいとこだ。

 だが今の魔王カナンは、魔王なんて呼ぶのがちゃんちゃらおかしいくらいに弱っている。
 だからこの程度の威力でも十分に渡り合えてしまうのだ。

 しかも俺の放った聖光弾は魔王カナンの数を相当数上回っていた。

 そして差し引きした余剰分は全て魔王カナンへと向かい、次々と着弾する!

 ズドドドドドドドン――ッ!!

『あ”あ”あ”あ”あ”あああっっ──っ!』
 魔王カナンが耳をつんざく絶叫をあげる。

 大量の聖光弾を受けた魔王カナンの魂は、さらにその存在を弱々しくさせていた。

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