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第3章 文化祭

第44話 絶体絶命

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「ぐぅっ……!! このっ! くっ、ぐう……っ!!」

 クマ先輩の圧力が増すに従って俺の腕がじりじり、じりじりとマイナス側に傾き始めた。

 くっ、ここにきてなんつーパワーだよ。
 これもう下手な魔獣並みだぞ?
 この人、前世はマジでクマだったんじゃないだろうな?
 
 くっ、だめだ、耐えきれない。
 強引に押し込まれる――!

 クマ先輩の猛攻を受けて、ついに俺の手の甲が机に付きそうになり、

「勇者様!?」
 それを見たリエナが悲鳴のような声を上げた。

 あと数ミリで俺の手の甲が台につく。
 誰が見ても敗北寸前、絶体絶命の大ピンチに。

 しかし俺はここから驚異の粘りを見せた。

「こんのぉぉぉぉぉっ! 負けてたまるかっつーのっっ!!」

 手の甲が付きそうで付かないギリギリのところで、俺はあと一歩を押し切ろうとするクマ先輩の圧力を耐えて耐えて耐え忍んでいく!

「ぬぐぐぐぐぐぐぐ!!」
「くぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」

 トドメとばかりに強引にねじ伏せにくるクマ先輩に、渾身の力で抗っていく!

「でやあああああああ!!」
「おおおおおおおおっっ!!」

 俺とクマ先輩は腹の底から唸るように声を出し合いながら、プライドをかけた渾身の力比べを繰り広げた。

「くっ、馬鹿な!? あと一歩だと言うのになぜ倒しきれんのだ! くうっ、ぬぉっ、この――っ! 落ちろ!!」

 しかし何をどうしてもあと一歩のところで俺の腕を倒しきれない状況に、押し込んでいるはずのクマ先輩が先に苦しそうな声を上げはじめた。

 だが悪いなクマ先輩、こう見えて俺は2度も世界を救った勇者なんでね。
 こういった苦しくてギリギリの戦いは、それこそ数えられないほどに経験しているのさ。

(どんな状況でも決して勝利を諦めず、最後には必ず勝利を掴み取る。異世界に召喚されて以来5年負けなし、『絶対不敗の最強勇者』の通り名は伊達じゃないぜ――っ!)

 もちろんそうは言っても現状がかなり苦しいことに変わりはない。
 でかい身体をムキムキの筋肉で固めているだけあって、純粋なパワー勝負だとあまりに分が悪すぎる。

 我慢比べを続けていれば、おのずと最後には耐えられなくなってしまうだろう。

 どこかでこちらから勝負をかける必要があった。
 それも勝負をかけた以上は、何が何でもワンチャンスをものにしなければならない。
 クマ先輩は「2度目」を許すようなヌルい相手じゃないだろうから。

「ぬぉぉぉぉぉぉっっ!!」
「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

「いい加減に落ちろぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「落ちねぇよ……!!」

 いつ終わるとも知れない土俵際の我慢比べが、さらにさらにと続いていく。

 そんなギリギリのところでなんとか耐え続ける状況にありながら、しかし。
 俺が異世界『オーフェルマウス』で勇者として戦う中で培ってきた歴戦の肌感覚は、攻め疲れたクマ先輩の力がほんの一瞬わずかに緩んだのを感じ取っていた。

 もちろんそんな好機を逃すような俺ではない!

 (ここだ!!)

 俺はここが唯一の勝機と、残る全ての力を右腕に叩き込んだ!!

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