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第3章 文化祭

第46話 竜が笑う(1)

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 声のした方に振り向くと、そこにはハタチ過ぎくらいの綺麗な女の人が、笑みを浮かべながら悠然と立っていた。

(なんだ? いきなり話しかけてきたけど、いったい誰なんだこの女の人は?)

 着物のようなドレスのような。
 着物とドレスの両方のいいとこどりをしたような衣装(着物ドレスって言うのか?)を着ている。

 胸元は合わせが大きく開いていて、2つの規格外なたわわによって形作られた深い谷間を惜しげもなく晒していた。

 スカートも長いんだけど、スリットが深くて足の付け根くらいまで太ももの肌色がチラリしている。

 ちょっと目のやり場に困る服装だな。
 俺も男なので、リエナにバレない程度についつい視線を向けてしまうじゃないか。

 それにしてもだ。
 どう見ても俺の知り合いじゃないよな。

 というか異世界召喚されるまではずっと陰キャだった俺は、この世界の知り合いが極端に少ない。
 帰還後はクラスメイトを中心に友達も少しずつ増えてきたけど、それでもこれまでのベースが貧弱すぎる俺の交友範囲に、こんな美人な人はいるはずもないわけで。

 ってことはリエナの知り合いかな?

 これまでの圧倒的マイナスから学校生活をやり直そうとしている俺と違って、コミュ力が元から高いリエナは、美少女金髪外国人留学生という激レアなステータス持ちなこともあって、俺よりもはるかに友達が多いからな。

(いやいやそれよりも大事なことがあるだろう)

  今こいつなんて言った?
 「勇者シュウヘイ=オダ」って言ったよな?

 どうしてこの女の人は『オーフェルマウス』での俺の呼び名を知っているんだ?
 まさか異世界の関係者なのか?

 突然出てきた女の人の素性を俺がアレコレいぶかししんでいる隣で、

「ゆ、ゆ、ゆゆゆ勇者様……! ど、ど、どど、ど、ドラゴンです……!!」

 リエナが恐怖に声を震わせながら、女の人を指差した。
 いや、声だけでなく身体全体がガクガクと震えている。

「ドラゴンだって? この女の人がか? そんな気配はしないけどな? あと失礼だから人に指は差しちゃだめだぞ?」

 しかし俺はリエナの言葉に首をかしげてしまう。

 というのも『オーフェルマウス』で何度か遭遇したドラゴンは、どいつもこいつも自分の強さを誇示するように強大なオーラをこれでもかと発しまくっていたからだ。

 しかし目の前の女性からはそんな気配は微塵も感じはしない。
 今のところ俺にはただの人間に見えていた。

 もちろんリエナは気配探知のスペシャリストなので、俺の感覚よりもリエナの感覚を信じるべきではあるんだけど。

 ちなみにドラゴンは『人化変身』と言って変身して人の姿を取ることができるので、人の姿をしていること自体は特に俺も不思議には思っていない。
 正確には人ではなく、人に自らの姿を分け与えたとされる『神の姿』を模しているらしいんだけど。

 なんでも地上では最強種と名高いドラゴンも、神という次元を越えた別格の存在に対しては憧憬の念を抱くのだと、そんな話を過去にリエナに教えてもらったことがあった。

 そして神とうり二つの外見を与えられながら、偉大な神とは違って脆弱な人間という種族を、ドラゴン達は特に見下しているらしい。

 以上、帰還勇者の豆知識でした。

「ほぅ、矮小な人間の小娘めが。しかして勇者シュウヘイ=オダの側にはべるだけあって、なかなか鋭い察知能力よの。そうかそうか、つまりなれも勇者シュウヘイ=オダと共に『オーフェルマウス』から世界を渡って来たというわけか」

 やれやれ。
 ドラゴンかどうかはさておき、やっぱり『オーフェルマウス』の関係者だったか。
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