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第一章「ボーイ・ミーツ・ガール」
第2話 《想念獣》
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《想念獣》。
嫉妬や羨望、恨み、憎しみといった人間の抱く強烈な「負の感情」が、顕現・実体化した異形の存在だ。
そんな強い「負の感情」が実体化し力を持った《想念獣》は、古来より現在に至るまで妖怪やアヤカシ、お化け、悪魔などと呼ばれて人々から恐れられてきた。
そしてそれと同時に。
社会の害悪たる《想念獣》を討滅するために生まれた退魔士や陰陽師といった《正義の味方》も、同じように現代へと受け継がれてきていた。
俺、鶴木辺ユウトは――その末裔ってわけだ。
「お、思ったよりでかいな」
そして《想念獣》のコアとなる《想貴石》は、人の強い思いが凝固したパワーストーンとして重宝され、しかるべき機関に持っていくことでその対価とともに治安維持の報奨金が上乗せされて、それなりのお金になってくれるのだった。
「お疲れさま、ユウト」
そう言ったのは、俺の口元を覆っている黒いマフラーからピョコっと首を出した黒猫だった。
名前をクロという。
黒猫だからクロ、分かりやすいだろ?
喋るのはクロが普通の動物ではなく《想念獣》だからだ。
人に協力的な《想念獣》――非常に珍しい――であるクロは、俺の戦闘をサポートする相棒、いわゆるマスコットキャラとして寝食をともにしているのだった。
ちなみに直接的な戦闘能力は皆無のため、戦闘時はいつも俺の首元や背中に隠れて小さくなっているチキン野郎でもある。
「問題ない。こんな小物が相手、疲れたうちに入らねーよ」
俺は回収した《想貴石》を丁寧に小袋につめながら、さらっと答えた。
「《想念獣》――それも大型のクマ型だよ。《想念》の固着化の度合いも高かったし、結構な強さなんだけどね」
「獣型は確かにパワーやスピードは高い。けど、それに反して思考レベルはあまり高くはないからな。一撃にだけ気を付ければいい、どちらかというとやりやすい相手だ。少なくともクロ、お前の探知能力があれば負けることはないさ」
「ふふっ、頼もしい限りだね。この調子でこれからも頼むよ?」
「言われなくとも。よし、じゃあ帰ってシャワーでも浴びるか。初夏の夜とはいえ、動くとさすがに――」
汗をかく――と言いかけて、
「――どうした?」
クロがここではない、どこか遠くへと意識をやるしぐさを見せたことに気がついた。
「……ちょっと離れたところに、また《想念獣》の気配を感じる――いやでもそんな――」
「おいおいクロ、冗談――ってわけじゃあなさそうだな。でも一晩で別の場所に2体も出るなんてのは、さすがに初めてじゃねーか?」
「確率的にはまずありえないことだけど――でも最近は《想念獣》の出現そのものが増加傾向にあるから、今までの常識は通用しないのかもね」
「ったく、しゃーねぇな」
「大丈夫? まだいける?」
「もう一体くらいなら問題ねーよ。さっきも言っただろ。あんなのは疲れたうちに入らないってな。それに今の俺は《正義の味方》、社会に仇なす《想念獣》を駆除し人を助けるのが使命だ」
俺の言葉に、
「うん――そうだよね」
クロはあいまいな笑みを浮かべながら、小さく頷ずいてみせた。
嫉妬や羨望、恨み、憎しみといった人間の抱く強烈な「負の感情」が、顕現・実体化した異形の存在だ。
そんな強い「負の感情」が実体化し力を持った《想念獣》は、古来より現在に至るまで妖怪やアヤカシ、お化け、悪魔などと呼ばれて人々から恐れられてきた。
そしてそれと同時に。
社会の害悪たる《想念獣》を討滅するために生まれた退魔士や陰陽師といった《正義の味方》も、同じように現代へと受け継がれてきていた。
俺、鶴木辺ユウトは――その末裔ってわけだ。
「お、思ったよりでかいな」
そして《想念獣》のコアとなる《想貴石》は、人の強い思いが凝固したパワーストーンとして重宝され、しかるべき機関に持っていくことでその対価とともに治安維持の報奨金が上乗せされて、それなりのお金になってくれるのだった。
「お疲れさま、ユウト」
そう言ったのは、俺の口元を覆っている黒いマフラーからピョコっと首を出した黒猫だった。
名前をクロという。
黒猫だからクロ、分かりやすいだろ?
喋るのはクロが普通の動物ではなく《想念獣》だからだ。
人に協力的な《想念獣》――非常に珍しい――であるクロは、俺の戦闘をサポートする相棒、いわゆるマスコットキャラとして寝食をともにしているのだった。
ちなみに直接的な戦闘能力は皆無のため、戦闘時はいつも俺の首元や背中に隠れて小さくなっているチキン野郎でもある。
「問題ない。こんな小物が相手、疲れたうちに入らねーよ」
俺は回収した《想貴石》を丁寧に小袋につめながら、さらっと答えた。
「《想念獣》――それも大型のクマ型だよ。《想念》の固着化の度合いも高かったし、結構な強さなんだけどね」
「獣型は確かにパワーやスピードは高い。けど、それに反して思考レベルはあまり高くはないからな。一撃にだけ気を付ければいい、どちらかというとやりやすい相手だ。少なくともクロ、お前の探知能力があれば負けることはないさ」
「ふふっ、頼もしい限りだね。この調子でこれからも頼むよ?」
「言われなくとも。よし、じゃあ帰ってシャワーでも浴びるか。初夏の夜とはいえ、動くとさすがに――」
汗をかく――と言いかけて、
「――どうした?」
クロがここではない、どこか遠くへと意識をやるしぐさを見せたことに気がついた。
「……ちょっと離れたところに、また《想念獣》の気配を感じる――いやでもそんな――」
「おいおいクロ、冗談――ってわけじゃあなさそうだな。でも一晩で別の場所に2体も出るなんてのは、さすがに初めてじゃねーか?」
「確率的にはまずありえないことだけど――でも最近は《想念獣》の出現そのものが増加傾向にあるから、今までの常識は通用しないのかもね」
「ったく、しゃーねぇな」
「大丈夫? まだいける?」
「もう一体くらいなら問題ねーよ。さっきも言っただろ。あんなのは疲れたうちに入らないってな。それに今の俺は《正義の味方》、社会に仇なす《想念獣》を駆除し人を助けるのが使命だ」
俺の言葉に、
「うん――そうだよね」
クロはあいまいな笑みを浮かべながら、小さく頷ずいてみせた。
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