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第二章「なんでもいうこと聞いてくれる?」
第30話 なんでもいうこと聞いてくれる?
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出血は大したことなかったものの、なんせ身体中が痛い。
「これは明日の朝には青タンが体中にできてるな……」
なにせ今まで戦った《想念獣》の中でも、段違いに強敵だったからな。
自分で思っていたよりも、肉体的にダメージを受けてたようだった。
今日は栄養あるものを食べてゆっくり休まないとな。
焼肉にするか……とかなんとか、身体の状態を自己分析していると、
バチーン!
「ぶふぅぅっ!」
いきなりマナカの右手が振り抜かれた。
なぜか俺は頬をビンタされてしまったのだ。
しかも結構な強さで思いっきり。
まぁ女の子のビンタくらい、痛み的には大したことはないんだけど、
「俺が、ぶたれた――?」
疲労困憊状態とはいえ、マナカの攻撃を避けなかったことに――別段、避けられない攻撃ではなかった――俺はとてつもなく驚いていた。
クロにもよく言われるが、俺はかなりの負けず嫌いだ。
素人相手にだって手は抜かない。
なのに今の俺はマナカの行動に対して完全に無警戒だったのだから――。
つまり俺は今、マナカにそこまで心を許していたってことなのだろうか――?
……いや待て、今はそれは置いておこう。
今問うべきは――、
「いきなりお前はなにをするんだ……あのな、一応言っとくけど、俺は怪我人なんだからな?」
ぶたれた頬を抑えながらマナカの顔を見ると、
「うっ、ひっく、ぐす」
――なぜか泣いていたのだった。
「な、なんでマナカが泣いてんだよ」
「だって心配したんだから――血しぶきがぴゅーって上がった時、ユウトくん死んじゃったかと思ったんだから!」
「額の出血って、意外と大したことないから――」
「本当に心配したんだから……ばか、ばかばかばかばか! ユウトくんのすかぽんたん!」
再び俺の胸におでこを押し付ける様にして、言葉を、思いの丈をぶつけるマナカ。
そしてそのままがくがくと揺さぶられた。
「わかった、わかったから。な? だからあんまり揺さぶらないでくれ。傷口が広がるから……な?」
「あわわわ、ご、ごめんなさい」
がばっと頭を下げるマナカ。
「ったく……額って割れやすいし、たいしたことなくても、見た目が派手に出血するもんなんだ。だからあんまり心配しなくて大丈夫だ。ほんと、こんなの大したことないから。な?」
「ほ、ほんと?」
不安げに見上げてくるマナカに――その涙の潤んだ両の瞳をしっかりとみつめながら――俺は軽く笑顔を作って言ってやる。
「ほんとだ、ほんと。安心しろ、出血に関しては、そこまで大した傷じゃないのは自分が一番よく分かってるから。あとはまぁなんだ、その……心配してくれて、ありがとうな」
俺の落ち着いた態度を見て、マナカも少し落ち着きを取り戻してくれたようで、
「すごく、すっごく心配したんだからね。死んじゃうかと思ったんだから」
「悪かったって」
「反省してる?」
「まぁ、うん、してるかな?」
「ほんとにほんと?」
「ほんとにほんとだ」
「なんでもいうこと聞いてくれる?」
「……」
なぜ、そうなる。
「なんでもいうこと聞いてくれる?」
「……まぁ、俺にできる、範囲なら……」
「うんと、じゃあさ。明日明後日って土日でしょ? どっちか一緒に遊びに行かない? 買い物とか。あ、もちろん予定がなかったら、でいいんだけど」
俺は少し考えると、
「悪い、明日も明後日も用がある」
「って、この流れでなんでやねん!」
相変わらずキレのいいツッコミであった。
「っていうかユウトくんってボッチでしょ、何の予定があるのさ」
「おい、今ナチュラルに俺をディスっただろう? 失礼だな、あまりずけずけと立ち入ったことを指摘するんじゃない。たとえ真実であっても名誉棄損は成立するんだぞ」
「だって! 今の完全にオッケーの流れだったじゃんか!」
むぅーと可愛くむくれるマナカをなだめようとした時、
「連れて行ってあげなよ」
と、これまでずっと聞き専に徹していたクロが急に口をはさんできた。
最近のクロはこんな感じで、マナカと話している時は口を出さずに静かに聞いていることが多い。
理由を聞くと、馬に蹴られて死にたくないからねと言っていたが、どういう意味だ?
「明日はちょっと無理なんだけど、明後日は動物園に行くんだ。マナカも一緒にきたらどう?」
「動物園って、王子動物園? 行く行く! 小学校以来だよ! うわー懐かしいなぁ。パンダさんまだいるかな」
「決まりだね」
「了解であります! 楽しみだねっ!」
「ってなに勝手に二人で――」
「あのさ、ユウト。ユウトだって別にマナカと一緒は嫌じゃないんでしょ? マナカも乗り気で、なら一緒に行ったとして、何か問題でもあるかい?」
「それは、まぁ、ないっちゃないけど――」
「じゃあいいよね」
「ねぇねぇ、あそこって10時オープンだよね? 日曜日の9時半に駅前に集合でいいかな? 遅刻厳禁だからね!」
というわけで。
俺はマナカと一緒に動物園に遊びに行くことになったのだった。
「これは明日の朝には青タンが体中にできてるな……」
なにせ今まで戦った《想念獣》の中でも、段違いに強敵だったからな。
自分で思っていたよりも、肉体的にダメージを受けてたようだった。
今日は栄養あるものを食べてゆっくり休まないとな。
焼肉にするか……とかなんとか、身体の状態を自己分析していると、
バチーン!
「ぶふぅぅっ!」
いきなりマナカの右手が振り抜かれた。
なぜか俺は頬をビンタされてしまったのだ。
しかも結構な強さで思いっきり。
まぁ女の子のビンタくらい、痛み的には大したことはないんだけど、
「俺が、ぶたれた――?」
疲労困憊状態とはいえ、マナカの攻撃を避けなかったことに――別段、避けられない攻撃ではなかった――俺はとてつもなく驚いていた。
クロにもよく言われるが、俺はかなりの負けず嫌いだ。
素人相手にだって手は抜かない。
なのに今の俺はマナカの行動に対して完全に無警戒だったのだから――。
つまり俺は今、マナカにそこまで心を許していたってことなのだろうか――?
……いや待て、今はそれは置いておこう。
今問うべきは――、
「いきなりお前はなにをするんだ……あのな、一応言っとくけど、俺は怪我人なんだからな?」
ぶたれた頬を抑えながらマナカの顔を見ると、
「うっ、ひっく、ぐす」
――なぜか泣いていたのだった。
「な、なんでマナカが泣いてんだよ」
「だって心配したんだから――血しぶきがぴゅーって上がった時、ユウトくん死んじゃったかと思ったんだから!」
「額の出血って、意外と大したことないから――」
「本当に心配したんだから……ばか、ばかばかばかばか! ユウトくんのすかぽんたん!」
再び俺の胸におでこを押し付ける様にして、言葉を、思いの丈をぶつけるマナカ。
そしてそのままがくがくと揺さぶられた。
「わかった、わかったから。な? だからあんまり揺さぶらないでくれ。傷口が広がるから……な?」
「あわわわ、ご、ごめんなさい」
がばっと頭を下げるマナカ。
「ったく……額って割れやすいし、たいしたことなくても、見た目が派手に出血するもんなんだ。だからあんまり心配しなくて大丈夫だ。ほんと、こんなの大したことないから。な?」
「ほ、ほんと?」
不安げに見上げてくるマナカに――その涙の潤んだ両の瞳をしっかりとみつめながら――俺は軽く笑顔を作って言ってやる。
「ほんとだ、ほんと。安心しろ、出血に関しては、そこまで大した傷じゃないのは自分が一番よく分かってるから。あとはまぁなんだ、その……心配してくれて、ありがとうな」
俺の落ち着いた態度を見て、マナカも少し落ち着きを取り戻してくれたようで、
「すごく、すっごく心配したんだからね。死んじゃうかと思ったんだから」
「悪かったって」
「反省してる?」
「まぁ、うん、してるかな?」
「ほんとにほんと?」
「ほんとにほんとだ」
「なんでもいうこと聞いてくれる?」
「……」
なぜ、そうなる。
「なんでもいうこと聞いてくれる?」
「……まぁ、俺にできる、範囲なら……」
「うんと、じゃあさ。明日明後日って土日でしょ? どっちか一緒に遊びに行かない? 買い物とか。あ、もちろん予定がなかったら、でいいんだけど」
俺は少し考えると、
「悪い、明日も明後日も用がある」
「って、この流れでなんでやねん!」
相変わらずキレのいいツッコミであった。
「っていうかユウトくんってボッチでしょ、何の予定があるのさ」
「おい、今ナチュラルに俺をディスっただろう? 失礼だな、あまりずけずけと立ち入ったことを指摘するんじゃない。たとえ真実であっても名誉棄損は成立するんだぞ」
「だって! 今の完全にオッケーの流れだったじゃんか!」
むぅーと可愛くむくれるマナカをなだめようとした時、
「連れて行ってあげなよ」
と、これまでずっと聞き専に徹していたクロが急に口をはさんできた。
最近のクロはこんな感じで、マナカと話している時は口を出さずに静かに聞いていることが多い。
理由を聞くと、馬に蹴られて死にたくないからねと言っていたが、どういう意味だ?
「明日はちょっと無理なんだけど、明後日は動物園に行くんだ。マナカも一緒にきたらどう?」
「動物園って、王子動物園? 行く行く! 小学校以来だよ! うわー懐かしいなぁ。パンダさんまだいるかな」
「決まりだね」
「了解であります! 楽しみだねっ!」
「ってなに勝手に二人で――」
「あのさ、ユウト。ユウトだって別にマナカと一緒は嫌じゃないんでしょ? マナカも乗り気で、なら一緒に行ったとして、何か問題でもあるかい?」
「それは、まぁ、ないっちゃないけど――」
「じゃあいいよね」
「ねぇねぇ、あそこって10時オープンだよね? 日曜日の9時半に駅前に集合でいいかな? 遅刻厳禁だからね!」
というわけで。
俺はマナカと一緒に動物園に遊びに行くことになったのだった。
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