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第六章「《蒼混じりの焔》ブルーブレンド」
第55話 剣部優刀-つるぎべゆうと-
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「エクセレント! マーベラス! 素晴らしい! 《想念》と一体化したなんて!」
そんな俺を見て、向かい合った《蒼混じりの焔》が喜色を満面に浮かべた。
人間そっくりの背格好は、まるで人の成り損ないと相対しているようだった。
「バケモノの分際でえらく流暢な日本語だな。これだから長く生きた《想念獣》は癇に障るんだ」
長く生きた《想念獣》ほど――特に人型は──人と同じ言葉を話しはじめる。
そしてこれだけこなれた言葉を話すと言うことは、つまりそれだけ長きに渡って悪行を働いてきたという事に他ならなかった。
「闘志もむき出しでなによりだ。それよりも、君が凄いのかな? それともその黒猫の《想念》が凄いのかな? それともその両方かい? いや理由などなんでもかまわないか、大切なのは結果だ! 実に、実にインテレスティング! エキサイティング!」
「いつまで上から目線で品評会をやってやがる……!」
偉そうに人を評してやまない《蒼混じりの焔》へ向かって、俺は一瞬でその距離を詰めると――、
「おおおおおぉぉぉ──っっ!」
カウンターで繰り出された拳を身を屈めてかわしつつ、向かって左脇側をくぐり抜けながら勢いそのまま、屈んだ姿勢を戻し上げる流れで、《蒼混じりの焔》の脇腹に強烈な右アッパーをぶちこんだ。
「ぐふ――」
《蒼混じりの焔》がのけぞったところへ、わざと大回りをさせて相手の死角から襲いかかる変則の左フックを打ち込む――がそれはすんでのところでガードされてしまう。
それでもまだ優位な状況ではあったものの、俺は軽くフェイントを入れてからスッと斜め後ろにステップすると、一旦距離をとった。
軽量級は機動力を使ってなんぼだ。
足を止めての打ち合いはスタイルじゃないからな。
再び《蒼混じりの焔》と正対すると、俺は堂々と宣戦を布告した。
「どうだ、いい挨拶代りにはなっただろう? あまり俺を舐めてんじゃねぇぞ。俺の名は鶴木辺ユウト――」
そう名乗りかけて、思いとどまった。
だって復讐の場にはもっと相応しい名前があるだろう?
「俺の名前は『剣部優刀』――」
それは既に捨ててしまった――捨てざるを得なかった――剣部宗家を継ぐ者の名前。
だが一族の復讐を果たすこの場面において、これほど相応しい名前が他にあるだろうか?
否!
そんなものはありはしない――!
「4年前、お前に滅ぼされた退魔の一族・剣部の末裔にして――」
姉さん。
父さん、母さん。
義父さん、義母さん、そして一族のみんな――。
「そして覚えておけ――今からお前を討滅する者の名前だ」
見据える先には、ときおり蒼炎の混じる紅蓮の焔をまとった《想念獣》――《蒼混じりの焔》。
俺の復讐戦がついに幕を上げた――。
待ち焦がれた仇敵とのリベンジマッチとあって、思わず我を忘れて血気に逸りそうになるが、ハートは熱く頭はクールにあれ、だ。
がむしゃらに突っ込んで勝てるような相手じゃない。
戦略を組み立て戦術を用意し、どうにかして必殺の《螺旋槍》を叩き込む、勝つ手段はこれしかない。
いつも以上に繊細な動きと、勝負所での大胆不敵な駆け引きが重要になってくるだろう。
ただ、いつもと違っているのは――、
「今日は出し惜しみはなしだぜ……!」
《想念》と一体化しても過呼吸の気配がまだ全く出ていないのだ。
いける。
全力で戦える。
ならば、悩むことは一つもない――!
「俺が持ちうるすべてを使って! いや出せる以上の力を振り絞って、今日ここで! 今この場所で! 必ず《蒼混じりの焔》を――!」
そのためなら死をもいとわぬ決死の覚悟でもって。
たとえ刺し違えようとも――。
「俺が《蒼混じりの焔》を討滅する――!!」
そんな俺を見て、向かい合った《蒼混じりの焔》が喜色を満面に浮かべた。
人間そっくりの背格好は、まるで人の成り損ないと相対しているようだった。
「バケモノの分際でえらく流暢な日本語だな。これだから長く生きた《想念獣》は癇に障るんだ」
長く生きた《想念獣》ほど――特に人型は──人と同じ言葉を話しはじめる。
そしてこれだけこなれた言葉を話すと言うことは、つまりそれだけ長きに渡って悪行を働いてきたという事に他ならなかった。
「闘志もむき出しでなによりだ。それよりも、君が凄いのかな? それともその黒猫の《想念》が凄いのかな? それともその両方かい? いや理由などなんでもかまわないか、大切なのは結果だ! 実に、実にインテレスティング! エキサイティング!」
「いつまで上から目線で品評会をやってやがる……!」
偉そうに人を評してやまない《蒼混じりの焔》へ向かって、俺は一瞬でその距離を詰めると――、
「おおおおおぉぉぉ──っっ!」
カウンターで繰り出された拳を身を屈めてかわしつつ、向かって左脇側をくぐり抜けながら勢いそのまま、屈んだ姿勢を戻し上げる流れで、《蒼混じりの焔》の脇腹に強烈な右アッパーをぶちこんだ。
「ぐふ――」
《蒼混じりの焔》がのけぞったところへ、わざと大回りをさせて相手の死角から襲いかかる変則の左フックを打ち込む――がそれはすんでのところでガードされてしまう。
それでもまだ優位な状況ではあったものの、俺は軽くフェイントを入れてからスッと斜め後ろにステップすると、一旦距離をとった。
軽量級は機動力を使ってなんぼだ。
足を止めての打ち合いはスタイルじゃないからな。
再び《蒼混じりの焔》と正対すると、俺は堂々と宣戦を布告した。
「どうだ、いい挨拶代りにはなっただろう? あまり俺を舐めてんじゃねぇぞ。俺の名は鶴木辺ユウト――」
そう名乗りかけて、思いとどまった。
だって復讐の場にはもっと相応しい名前があるだろう?
「俺の名前は『剣部優刀』――」
それは既に捨ててしまった――捨てざるを得なかった――剣部宗家を継ぐ者の名前。
だが一族の復讐を果たすこの場面において、これほど相応しい名前が他にあるだろうか?
否!
そんなものはありはしない――!
「4年前、お前に滅ぼされた退魔の一族・剣部の末裔にして――」
姉さん。
父さん、母さん。
義父さん、義母さん、そして一族のみんな――。
「そして覚えておけ――今からお前を討滅する者の名前だ」
見据える先には、ときおり蒼炎の混じる紅蓮の焔をまとった《想念獣》――《蒼混じりの焔》。
俺の復讐戦がついに幕を上げた――。
待ち焦がれた仇敵とのリベンジマッチとあって、思わず我を忘れて血気に逸りそうになるが、ハートは熱く頭はクールにあれ、だ。
がむしゃらに突っ込んで勝てるような相手じゃない。
戦略を組み立て戦術を用意し、どうにかして必殺の《螺旋槍》を叩き込む、勝つ手段はこれしかない。
いつも以上に繊細な動きと、勝負所での大胆不敵な駆け引きが重要になってくるだろう。
ただ、いつもと違っているのは――、
「今日は出し惜しみはなしだぜ……!」
《想念》と一体化しても過呼吸の気配がまだ全く出ていないのだ。
いける。
全力で戦える。
ならば、悩むことは一つもない――!
「俺が持ちうるすべてを使って! いや出せる以上の力を振り絞って、今日ここで! 今この場所で! 必ず《蒼混じりの焔》を――!」
そのためなら死をもいとわぬ決死の覚悟でもって。
たとえ刺し違えようとも――。
「俺が《蒼混じりの焔》を討滅する――!!」
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