討滅の刃 -漆黒の復讐者- darker than "The BLUE"

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

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第六章「《蒼混じりの焔》ブルーブレンド」

第61話 《スーパーダイラタンシー》

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「ほぅ、対衝撃スーツを着込んでいたというわけか。非常に薄く、しかし小手調べとはいえ我の《絶対剣域《アスト・ディアーロ》》を防ぎきるだけの防御力を備えているとは」

「冗談だろ、今の威力で小手調べかよ……」

「なによりそれには作り上げた人間の想いが詰まっている。力と衝撃が不思議な拡散の仕方をして無力化されていた。計算されつくした芸術的な御業みわざでもって、本来は致命傷となるはずの攻撃を防いでみせた」

「ったく、よく見てやがるぜ……」

 アルマミース博士が提唱・実現した《スーパーダイラタンシー》の肝となる設計思想が、『瞬間硬化・拡散・指向性による並列防御』だ。

 瞬間硬化でダメージを最大限防ぎつつ、同時に威力を拡散させながら受け流し、それでも許容量を超過した分は、比較的致命傷になりにくい部位に誘導して大胆に通してしまう。
 結果、怪我こそすれ死ぬ確率を大幅に軽減させるに至ったのだ。

 それをあの一瞬で見抜くとは。

「科学の進歩もある意味、最強という頂へ至るための手段の一つであるのは間違いない、か。改めて驚かされるね。弱者というものは本当に様々なアプローチをするものだ。これもまた《弱者の至る最強》への道筋というわけだ。しかし、さすがにもう一回は受け止められなさそうだね?」

 《蒼混じりの焔ブルーブレンド》の言うように、今ので《スーパーダイラタンシー》の流体金属繊維はズタズタになってしまっていた。
 間違いなく次は貫通される、避ける必要がある。

 ――しかし、なぜだ。
 今、俺は間違いなく死角から攻撃したはずだ。

 強烈な《認識阻害》をかけたうえで、考える暇すら与えない電光石火の奇襲攻撃。
 完全に不意を打ったはずなのに、これ以上ない完璧なタイミングで反撃を受けた――そうか、つまりあれは、

「自動防御、オートガードってことか――」
 自己の認識に関係なく、一定距離に敵が侵入すると自動で反応する設置型の防御陣。
 それならば《認識阻害》に陥っていようと関係なく反撃可能だろう。

 接近戦しかできない俺に対して最も効果的な一手にして、これが――、

剣部つるぎべを滅ぼした力ってわけか――」

 多対一による集団戦闘を得意とした剣部つるぎべの退魔戦闘術。

 《心剣》を扱う強力無比な近接戦闘技能者が集団となり、さらに連携して休む間もなく剣の暴風を浴びせ続ける当世最強と言われた退魔集団。

 しかし知覚すら必要ない自動防御による反撃であれば、その不利を一気に覆すことが可能となる。
 そしてこれこそが、耐久力と共に奴の自信を支える源ってことか――。

「知覚しきれないならば、全方位を自動防御をすればいいだけの話。気落ちする必要はない、我にこれを使わせたことはさすがと言っておこう。それで《弱者の至る最強》は、《最強がなるべくしてなった最強われ》をどうやって攻略する?」

 ――ほんと、才能ってのは残酷だ。
 俺がどれだけ努力しても、どれだけあがいても、いとも簡単にその上を行きやがる。
 でもな――!

「さっきからなに偉そうに御託並べてやがる。遺言なら聞く気はねぇから安心しろ」
 俺がやることは一つだけ。

 この右の拳を、討滅奥義をもう一度あのふざけた野郎に叩き込むことだ。

 刺し違えたって構わない、全てを賭した憎悪の殺意でもって《蒼混じりの焔ブルーブレンド》を討滅する!

 だから――。

「つまりだ。我が問いたいのは――どうして本気を出さないのか、ということだ」
「……は?」

 ――その問いはあまりに唐突だった。
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