討滅の刃 -漆黒の復讐者- darker than "The BLUE"

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

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―最終章―

第73話 ほとばしる力

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「……なぁ、クロ」
 ここまでの説明を聞いていて、俺の心にひとつの疑問が浮かんでいた。

「どうしておまえは《想念》だけでなく、剣部つるぎべのことについてもそんなに詳しいんだ?」

「ぇ――」

 クロは4年前のあの時、恐怖に駆られた俺が生き逃げるために生みだした、比較的新しい《想念》のはずだ。

 だっていうのに俺も知らないような剣部つるぎべの開祖にまつわる話を――おそらくこれは当主のみに代々口伝されるという秘中の秘の一つだ――どうしてクロが知っているんだ?

「ボクはユウトの生み出した《想念》――いや、ボクは、ボクは――?」
 クロが何かに思い至ろうとしかけたその時――、

「エクセレント! マーベラス! 素晴らしい! これぞ我の求めていたものだ! 《弱者の至る最強》と《最強たる最強》が交差した、まさに究極至高の《最強》の誕生というわけだ!」

 ざっくり横やりが入りやがった。

「はぁ――。そういやいたな、お前」

「ユウトくん……」
 さっき俺が散々凹られたのを思い出したのか、少し不安げに身体を寄せてくるマナカに、

「マナカ、ちょっと待ってろ。今からそいつとケリつけてくるからさ」
 言って、俺は安心させるようにそっとその頭を撫でてやった。

「でも、大丈夫なの?」
 それでもまだ不安の色を隠そうとしないマナカだが、

「ああ、今の俺は一人じゃない。俺にはマナカ、お前の心がついていてくれるんだ。だから負けるなんてありえないさ。安心して俺が勝つのを見守っていてくれ」

「……うん、わかった。ユウトくんが言うなら、今度こそ待ってる」
「オッケー、いいこだ」

 もう一度、軽く頭を撫でてやると、マナカは今度は不安なんて全くなくて、嬉しそうに目を細めてくれた。

 そんなマナカのさらさらだった天使のような髪には、所々血がついて固まっていて。
 そんな風にさせてしまった弱い自分に対して、ふつふつと怒りが沸いてきた。

 そうして触れ合っていたマナカを下がらせると、俺はかつての仇敵へと向き直った。

「よっ、待たせたな《蒼混じりの焔ブルーブレンド》」

 そして軽く挨拶するみたいに俺は言葉をかける。
 もう俺の中に気負いとか暗い情念は残ってはいないのだ。
 ただ《正義の味方》としてこれからお前を討滅するだけさ。

「構わないさ、好物はとっておくタイプだからね。さぁそれではお楽しみの、メインディッシュといこうじゃないか――!」

 そう言って構えをとる《蒼混じりの焔ブルーブレンド》。
 不可視のために見えないが、《絶対剣域アスト・ディアーロ》も展開したのだろう。
 だが――、

「あのさ? 悪いんだけど、お前の役目はもう終わたんだ。だからここからはフィナーレ、俺による一方的な幕引きだ」

 宣言と同時に俺はクロと一体化すると、そのまま即、最大出力でクロの力を解放する。

 そのまま真っすぐ《蒼混じりの焔ブルーブレンド》へと突っ込んでいくと、

「《螺旋槍らせんそう》!」
 強烈な一撃で《蒼混じりの焔ブルーブレンド》を殴り飛ばした。

「なにィ――っ!?」

 渾身の右ストレートが《蒼混じりの焔ブルーブレンド》の顔面を捉えると、ゴリっという打撃感とともに、その巨体を文字通り吹き飛ばした。

「なっ、《絶対剣域アスト・ディアーロ》が反応しない――だと!?」
 驚きながらも、すぐさま体勢を立て直す《蒼混じりの焔ブルーブレンド》。

 しかし実は今の一撃に関しては、俺の方もやや困惑気味だった。

「うーむ、今のはちょっと踏み込み過ぎたか」

 マナカから引き抜いた、まるで小さな太陽の如き膨大な力――《紅蓮の心剣》によって、俺の身体能力は大幅にブーストされていた。
 まるで特大のターボチャージャーでも積んだかのように、身体中に猛烈な力がみなぎっているのだ。

 今のはその膨大な力を完全に持て余してしまい、突っ込み過ぎてインパクトが少しずれてしまっていた。

 さらにトラウマをのり越えたことで可能となった、相手の認識に強烈に干渉するクロという《想念》の全力解放だ。
 《絶対剣域アスト・ディアーロ》すら発動させない、世界の理すらも欺く認識阻害の力。

 今の一発は正直、二つの力の凄まじさに俺自身が振り回された感じだった。
 それにしても、

「クロ、今まで悪かったな」
 俺はそっとつぶやいた。

「お前はこんなにも半端ない力を持っていたっていうのにさ」
 俺の心が弱かったせいでその力のほんのごくごく一部だけしか、使ってやることができなかったんだな。

「でも今のである程度の感覚は掴めたよ。長引かせるのも馬鹿らしい。次で決めるぜ――」
 言って俺は両の拳を握り込む。

 見据える先には《蒼混じりの焔ブルーブレンド》。
 しかし仇敵を前にしても、俺の心は晴れ渡る青空のごとく穏やかだった。

 トラウマを吹っ切れたこともある。
 しかし一番の要因は、

「もうお前は俺の相手じゃねぇんだよ」
 それは確信ともいえる実感だった。
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