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第3章 新1年生の親睦バスケットボール大会
第26話 兄と妹はスポブラを買いに。
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そうして迎えた土曜日。
僕は午前中からひまりちゃんと連れ立って、数駅隣にあるイヨンモールと呼ばれる大型ショッピングモールへとやって来ていた。
「ねぇねぇ、どうどう? 今日のポニーはいい感じに決まったんだけどー」
道すがら、ひまりちゃんが聞いてくる。
今日のひまりちゃんのポニーテールは、いわゆるハーフアップ・ポニーテール。
耳より上の髪だけ結んで、耳より下は結ばずにふんわり広げる、ちょっと清楚なお嬢さま感のあるポニーテールだった。
ブラウスにフレアスカート、さらにはカーディガンを羽織ったのガーリーな春コーデに、上品なハーフアップ・ポニーテールがすごく似合っている。
「いいとこのお嬢さまみたいで、可愛いよ。よく似合ってる。さすがひまりちゃんだ」
「えへへ、やった♪ アキトくんに褒められちゃった♪」
ファッションにはあまり興味がない僕だけど、ポニーテーラーなひまりちゃんのおかげで、ことポニーテールに関してだけは少しだけ詳しくなってしまった。
そしてイヨンモールに来た目的はもちろん、この前に約束したひまりちゃんのスポーツブラを買うためだったのだが――。
モール内のアパレル専門店街の一画。
カラフルな女性用下着が、店頭に所狭しと並べられている女性向けランジェリーショップの入り口の前で、僕は立ちすくんでしまっていた。
「ほらほらアキトくん、早くお店に入ろうよ。入り口の前で突っ立ってたら、営業妨害になっちゃうよ?」
「ちょ、ちょっと待ってよ、ひまりちゃん。少しだけ心の準備をさせてくれないかな?」
僕の右腕を引っ張って中に入ろうとするひまりちゃんを、僕は慌てて制止した。
「お店に入るだけなのに心の準備だなんて、アキトくんってば大げさだなぁ」
「ぜんぜん大げさじゃないからね? 男子がランジェリーショップに入るには、相当な覚悟がいるからね?」
「そんなこと言ったら、この間の高校受験の時の方がよっぽど覚悟が必要だったでしょ? アキトくん、毎日遅くまで勉強してたでしょ?」
「覚悟の方向性が違うだろ? 受験はもうやるしかないからすぐに覚悟も決まったけど。これはその、敢えてやらなくてもいいことなわけで、当然、覚悟は決まりづらいよね?」
「妹のおっぱいを守るための、お兄ちゃんの大切なミッションだと思います!」
「ひまりちゃん! 公共の場所で女の子が大きな声でおっぱいとか言っちゃいけません!」
僕は慌てて周囲を見たが、まだ午前中ということもあって、幸いなことに近くに人はいなかった。
「それにもし逆だったら、ひまりちゃんだって気後れしちゃうだろ?」
僕は論破バトルでは脱法無法の最強カード「自分に置き換えてみたら?」を発動した!
これは自分が追い込まれている状況を、そっくりそのまま相手にお返しするという、全てをひっくり返すまさに最強の必殺技なのだ!
「え? 別に? だってわたしついこの間、お母さんと一緒にアキトくんのトランクス買ったよ? お母さんに、若い男の子ってどんな柄が好きなのかしらって聞かれたから、わたしが選んであげたんだー」
「あ、アレそうだったんだ……。あ、そう……」
「アキトくん好みの柄だったでしょ?」
「ああうん、まさにそうだったけど」
最強の切り返しのはずが、一撃で論破されちゃって議論にすらならなかった件。
「そういうわけだから、レッツ・ゴー♪」
これ以上は時間稼ぎする言葉が浮かばなかった僕は、ひまりちゃんに右手を引かれながら、ついにランジェリーショップの店内へと足を踏み入れた。
僕は午前中からひまりちゃんと連れ立って、数駅隣にあるイヨンモールと呼ばれる大型ショッピングモールへとやって来ていた。
「ねぇねぇ、どうどう? 今日のポニーはいい感じに決まったんだけどー」
道すがら、ひまりちゃんが聞いてくる。
今日のひまりちゃんのポニーテールは、いわゆるハーフアップ・ポニーテール。
耳より上の髪だけ結んで、耳より下は結ばずにふんわり広げる、ちょっと清楚なお嬢さま感のあるポニーテールだった。
ブラウスにフレアスカート、さらにはカーディガンを羽織ったのガーリーな春コーデに、上品なハーフアップ・ポニーテールがすごく似合っている。
「いいとこのお嬢さまみたいで、可愛いよ。よく似合ってる。さすがひまりちゃんだ」
「えへへ、やった♪ アキトくんに褒められちゃった♪」
ファッションにはあまり興味がない僕だけど、ポニーテーラーなひまりちゃんのおかげで、ことポニーテールに関してだけは少しだけ詳しくなってしまった。
そしてイヨンモールに来た目的はもちろん、この前に約束したひまりちゃんのスポーツブラを買うためだったのだが――。
モール内のアパレル専門店街の一画。
カラフルな女性用下着が、店頭に所狭しと並べられている女性向けランジェリーショップの入り口の前で、僕は立ちすくんでしまっていた。
「ほらほらアキトくん、早くお店に入ろうよ。入り口の前で突っ立ってたら、営業妨害になっちゃうよ?」
「ちょ、ちょっと待ってよ、ひまりちゃん。少しだけ心の準備をさせてくれないかな?」
僕の右腕を引っ張って中に入ろうとするひまりちゃんを、僕は慌てて制止した。
「お店に入るだけなのに心の準備だなんて、アキトくんってば大げさだなぁ」
「ぜんぜん大げさじゃないからね? 男子がランジェリーショップに入るには、相当な覚悟がいるからね?」
「そんなこと言ったら、この間の高校受験の時の方がよっぽど覚悟が必要だったでしょ? アキトくん、毎日遅くまで勉強してたでしょ?」
「覚悟の方向性が違うだろ? 受験はもうやるしかないからすぐに覚悟も決まったけど。これはその、敢えてやらなくてもいいことなわけで、当然、覚悟は決まりづらいよね?」
「妹のおっぱいを守るための、お兄ちゃんの大切なミッションだと思います!」
「ひまりちゃん! 公共の場所で女の子が大きな声でおっぱいとか言っちゃいけません!」
僕は慌てて周囲を見たが、まだ午前中ということもあって、幸いなことに近くに人はいなかった。
「それにもし逆だったら、ひまりちゃんだって気後れしちゃうだろ?」
僕は論破バトルでは脱法無法の最強カード「自分に置き換えてみたら?」を発動した!
これは自分が追い込まれている状況を、そっくりそのまま相手にお返しするという、全てをひっくり返すまさに最強の必殺技なのだ!
「え? 別に? だってわたしついこの間、お母さんと一緒にアキトくんのトランクス買ったよ? お母さんに、若い男の子ってどんな柄が好きなのかしらって聞かれたから、わたしが選んであげたんだー」
「あ、アレそうだったんだ……。あ、そう……」
「アキトくん好みの柄だったでしょ?」
「ああうん、まさにそうだったけど」
最強の切り返しのはずが、一撃で論破されちゃって議論にすらならなかった件。
「そういうわけだから、レッツ・ゴー♪」
これ以上は時間稼ぎする言葉が浮かばなかった僕は、ひまりちゃんに右手を引かれながら、ついにランジェリーショップの店内へと足を踏み入れた。
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