一年付き合ってた彼女が医大生とラブホから出てきた(NTR……涙)帰り道、川で幼女が溺れていたので助けて家まで送ったら学園のアイドルの家だった
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
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~第1部~ 第1章 別れと出会い
第5話「一緒にシャワー、だめ……かな?」
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「紺野君のおかげでなんともなかったから良かったようなものの、もしかしたら死んでいたかもしれないのよ? 分かってる?」
「はい、本当にごめんなさい……」
姫宮さんが美月ちゃんを厳しく叱る。
小さな子供が間違ったことをした時はちゃんと叱らないといけないのは分かる。
さっき俺も美月ちゃんに同じことをしたから。
だけど美月ちゃんは俺にもしっかり怒られたし、もう充分に反省してるっぽいんだよな。
だからこれ以上怒るのは逆に良くない気がした。
ってわけだから、さくっと助け舟を出してあげるとするか。
「姫宮さん、できればそれくらいにしてあげなよ」
「紺野君……でも」
「実はさっき俺もきつく言って聞かせたからさ。美月ちゃんもちゃんともう分かってるはずだから。な、美月ちゃん」
「はい、これからはちゃんと気を付けます。約束します。絶対の絶対です」
俺の言葉を受けた美月ちゃんが、姫宮さんの顔を見て、とても9歳とは思えないほどにしっかりとした反省の言葉を伝える。
「な? ちゃんと反省してるだろ? まだ小さいのによくできた子じゃないか」
「もう……みんな美月には甘いんだから……」
「それに美月ちゃんには早くシャワーを浴びて温まって欲しいからさ。俺も川に飛び込んだから分かるんだけど、かなり水温が低かったんだ。このままだと美月ちゃんが風邪をひいちゃうよ」
「それは……はぁ、分かりました。美月もしっかり反省しているみたいだし、もうこれ以上は言いません」
姫宮さんがしょうがないなって感じで小さくため息をついた。
そこにはもう、美月ちゃんを叱っていたときの怖い雰囲気は微塵も感じられない。
「だってさ、美月ちゃん。良かったな」
「うん! ありがとう蒼太おにーちゃん」
しょんぼり顔から一転、笑顔になった美月ちゃんが俺にヒシッと抱き着いてくる。
俺はその頭を優しく撫でてあげたのだった。
「気のせいかしら? 美月ってば、なんだかすっかり紺野君に懐いちゃってない?」
「どうもそうみたいだな」
姫宮さんの指摘に俺は思わず苦笑する。
「でも、なんとなくだけど。紺野君って結構落ち着いた感じがするし、小さい女の子には好かれそうな気はするかも」
「どうなんだろうな?」
俺は心理学とかは詳しくないので、その辺りの理由に関してはさっぱりだ。
知っている範疇で言えば、ピンチのドキドキを好意のドキドキに心が勝手に置き換えてしまう「吊り橋効果」ってやつかもとか、根拠もなく思うくらいで。
「それはそれとして紺野君?」
と突然、姫宮さんが真面目な顔を俺に向けた。
「えっと、なんだ?」
学園のアイドルに真剣な瞳で見つめられて、俺の身体を何とも言えない緊張感が包む。
まさか美月ちゃんに何かいけないことをしたとかまだ疑われているのか?
と思ったら。
「紺野君もうちでシャワーを浴びていってくれないかしら? 身体が冷えて風邪をひいちゃうのは紺野君も同じでしょ?」
ああ、そういうことか。
「それなら大丈夫。うちはここから結構近いから家に帰ってから浴びるよ」
「いいえダメよ」
……え?
なぜか即答で、しかも妙に強い口調でダメ出しされてしまったんだが?
「ほんといいってば」
「いいえダメったらダメよ。命の恩人に風邪を引かせたなんてことになったら、姫宮家の沽券にかかわるもの。ご先祖様に顔向けできないわ」
「そんなたいそうなもんじゃないような……。若者は風邪を引いたからって死ぬわけでもないし」
ご先祖様まで持ち出されるようなことではないと思うんだけど。
「そんなたいそうなことあるわよ」
「いやいやないから――くしゅんっ!」
「ほら、くしゃみしちゃってるじゃないの。身体が冷えてる証拠よ?」
「そりゃ冷えてないことはないけどさ。でも本当に大丈夫だから」
「もう、紺野君って大人しそうに見えて、意外と聞き分けがない子なのね。ちゃんと云うことを聞きなさいな」
「ええぇぇ……」
なにその「いい子だけど意外と世話のかかる弟」みたいな俺の評価。
姫宮さんに同世代の男と見られてなくてちょっと悔しい、とかちょっとだけ思ってしまった自分がなんとも空しい。
「しょうがないわね……美月、お願いできる?」
と、ここで突然、姫宮さんがなぜか美月ちゃんへお願いをした。
すると、
「あの! 蒼太おにーちゃん! 美月と一緒にシャワーであったまりませんか?」
美月ちゃんが俺に抱き着いたままで顔だけ上げると、あどけない瞳で俺を見上げてきたのだ――!
「ぐはぁっ!?」
くっ、止めてくれ美月ちゃん!
そんなウルウルとした幼気な瞳で俺を見つめないでくれ!
全然何にも悪いことをしてるわけでもなんでもないのに、罪悪感が激しく掻き立てられてしまうだろ!?
「ねぇ、一緒にシャワー、だめ……かな?」
「あー、えー、うーん……じゃあせっかくだし? 一緒にシャワーを浴びさせてもらおうかな……?」
平々凡々な俺が、可愛くてよくできた美月ちゃんのウルウル見上げてアタックに抗しきることなんぞ、できるはずもなく。
俺はコクコクと首を縦に振ったのだった。
というわけで。
姫宮家の中へと案内された俺は、美月ちゃんと一緒にシャワーに入ることになってしまった――
「はい、本当にごめんなさい……」
姫宮さんが美月ちゃんを厳しく叱る。
小さな子供が間違ったことをした時はちゃんと叱らないといけないのは分かる。
さっき俺も美月ちゃんに同じことをしたから。
だけど美月ちゃんは俺にもしっかり怒られたし、もう充分に反省してるっぽいんだよな。
だからこれ以上怒るのは逆に良くない気がした。
ってわけだから、さくっと助け舟を出してあげるとするか。
「姫宮さん、できればそれくらいにしてあげなよ」
「紺野君……でも」
「実はさっき俺もきつく言って聞かせたからさ。美月ちゃんもちゃんともう分かってるはずだから。な、美月ちゃん」
「はい、これからはちゃんと気を付けます。約束します。絶対の絶対です」
俺の言葉を受けた美月ちゃんが、姫宮さんの顔を見て、とても9歳とは思えないほどにしっかりとした反省の言葉を伝える。
「な? ちゃんと反省してるだろ? まだ小さいのによくできた子じゃないか」
「もう……みんな美月には甘いんだから……」
「それに美月ちゃんには早くシャワーを浴びて温まって欲しいからさ。俺も川に飛び込んだから分かるんだけど、かなり水温が低かったんだ。このままだと美月ちゃんが風邪をひいちゃうよ」
「それは……はぁ、分かりました。美月もしっかり反省しているみたいだし、もうこれ以上は言いません」
姫宮さんがしょうがないなって感じで小さくため息をついた。
そこにはもう、美月ちゃんを叱っていたときの怖い雰囲気は微塵も感じられない。
「だってさ、美月ちゃん。良かったな」
「うん! ありがとう蒼太おにーちゃん」
しょんぼり顔から一転、笑顔になった美月ちゃんが俺にヒシッと抱き着いてくる。
俺はその頭を優しく撫でてあげたのだった。
「気のせいかしら? 美月ってば、なんだかすっかり紺野君に懐いちゃってない?」
「どうもそうみたいだな」
姫宮さんの指摘に俺は思わず苦笑する。
「でも、なんとなくだけど。紺野君って結構落ち着いた感じがするし、小さい女の子には好かれそうな気はするかも」
「どうなんだろうな?」
俺は心理学とかは詳しくないので、その辺りの理由に関してはさっぱりだ。
知っている範疇で言えば、ピンチのドキドキを好意のドキドキに心が勝手に置き換えてしまう「吊り橋効果」ってやつかもとか、根拠もなく思うくらいで。
「それはそれとして紺野君?」
と突然、姫宮さんが真面目な顔を俺に向けた。
「えっと、なんだ?」
学園のアイドルに真剣な瞳で見つめられて、俺の身体を何とも言えない緊張感が包む。
まさか美月ちゃんに何かいけないことをしたとかまだ疑われているのか?
と思ったら。
「紺野君もうちでシャワーを浴びていってくれないかしら? 身体が冷えて風邪をひいちゃうのは紺野君も同じでしょ?」
ああ、そういうことか。
「それなら大丈夫。うちはここから結構近いから家に帰ってから浴びるよ」
「いいえダメよ」
……え?
なぜか即答で、しかも妙に強い口調でダメ出しされてしまったんだが?
「ほんといいってば」
「いいえダメったらダメよ。命の恩人に風邪を引かせたなんてことになったら、姫宮家の沽券にかかわるもの。ご先祖様に顔向けできないわ」
「そんなたいそうなもんじゃないような……。若者は風邪を引いたからって死ぬわけでもないし」
ご先祖様まで持ち出されるようなことではないと思うんだけど。
「そんなたいそうなことあるわよ」
「いやいやないから――くしゅんっ!」
「ほら、くしゃみしちゃってるじゃないの。身体が冷えてる証拠よ?」
「そりゃ冷えてないことはないけどさ。でも本当に大丈夫だから」
「もう、紺野君って大人しそうに見えて、意外と聞き分けがない子なのね。ちゃんと云うことを聞きなさいな」
「ええぇぇ……」
なにその「いい子だけど意外と世話のかかる弟」みたいな俺の評価。
姫宮さんに同世代の男と見られてなくてちょっと悔しい、とかちょっとだけ思ってしまった自分がなんとも空しい。
「しょうがないわね……美月、お願いできる?」
と、ここで突然、姫宮さんがなぜか美月ちゃんへお願いをした。
すると、
「あの! 蒼太おにーちゃん! 美月と一緒にシャワーであったまりませんか?」
美月ちゃんが俺に抱き着いたままで顔だけ上げると、あどけない瞳で俺を見上げてきたのだ――!
「ぐはぁっ!?」
くっ、止めてくれ美月ちゃん!
そんなウルウルとした幼気な瞳で俺を見つめないでくれ!
全然何にも悪いことをしてるわけでもなんでもないのに、罪悪感が激しく掻き立てられてしまうだろ!?
「ねぇ、一緒にシャワー、だめ……かな?」
「あー、えー、うーん……じゃあせっかくだし? 一緒にシャワーを浴びさせてもらおうかな……?」
平々凡々な俺が、可愛くてよくできた美月ちゃんのウルウル見上げてアタックに抗しきることなんぞ、できるはずもなく。
俺はコクコクと首を縦に振ったのだった。
というわけで。
姫宮家の中へと案内された俺は、美月ちゃんと一緒にシャワーに入ることになってしまった――
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