一年付き合ってた彼女が医大生とラブホから出てきた(NTR……涙)帰り道、川で幼女が溺れていたので助けて家まで送ったら学園のアイドルの家だった
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
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第9章 蒼太、決意の時
第156話 ラブレター(1)
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ここ数日、俺は様々なことを考えていた。
今の自分の置かれている状況や、胸の中に想いについてなどなど。
つまりは優香との関係について、いろいろなことを考えていた。
優香と同じ時間を過ごすたびに積み重なっていき、今や胸の奥から外へと溢れようとしている恋心を、俺はもはや無視することができなかった。
「優香――」
名前を呼ぶだけで心がトゥンク、と大きく跳ねる。
恋い焦れすぎて、心臓が焼けてしまいそうなほどだ。
だけど告白して振られてしまって優香との関係が悪くなることで、美月ちゃんを悲しませてしまうだろうことが、どうにも心配で。
だから俺は、優香に自分の気持ちを伝えることをしてこなかった。
一人の男としての優香への恋心と。
慕ってくれる美月ちゃんを悲しませたくないという、お兄ちゃんのような気持ち。
俺はその2つを天秤にかけながら、常に後者に重きを置いてここ最近を過ごしてきた。
だけど。
「今の俺と優香は過去一番ってほどに、距離が近づいているって思うんだよな」
もちろんこのままさらに距離が近づく可能性もあるだろう。
しかし逆にここをピークとして、離れていってしまう可能性もあった。
それぐらいに今、俺と優香の関係性は近く縮まっている。
そしてそれは俺の個人的な見立てってわけでも、ないはずだ。
ついこの間だって、健介が後悔することのないようにと、わざわざしなくてもいいアドバイスをくれたのがいい例だ。
そういった様々なことを考えた末に、俺は一つの決断を下した。
「俺は優香に告白する」
俺は一歩を踏み出すことを決めた。
◇
その日の4時間目は、特別教室で授業が行われる、いわゆる「移動教室」だった。
「それでは授業を終わります。礼は省略で」
4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴ったと同時に、先生が授業の終わりを告げると、
「蒼太、昼休みだし、教室に帰らないで直で食堂行こうぜ」
いつものように健介が昼飯に誘ってきた。
しかし俺は首を横に振った。
「悪い。実は、漏れそうなんだ」
内股になりながら、両手で股間を覆う。
「おまっ、おしっこ漏れそうとか小学生かよ!? エンガチョ!」
「アホか、老若男女を問わない生理現象だっての」
「はいはいそうだな。じゃあ俺は先に食堂行って席取ってるから、蒼太はとっとと出すもん出してから来いよ」
「サンキュー」
「間違っても漏らすなよ。卒業まで言われるぞ。漏ら蒼太ってな」
「なんだその小学生男子レベルのあだ名は。漏らさねぇっつーの。じゃあな」
「おう。とりま急げよ」
「了解」
俺は健介と別れるとダッシュでトイレ――ではなく、自分の教室へと駆け戻った。
クラスメイトはまだ誰一人として戻っていない。
健介みたいに、教室に帰らずに直で食堂に行くやつも結構いるし、一番乗りだ。
俺はそのことをしっかりと確認すると、さっきの授業で持って行っていた資料集の間に、あらかじめ挟んでおいたラブレターを取り出した。
薄緑色のちょっとカッコつけた封筒だ。
「告白が成功しますように」
そして祈るように呟くと、ラブレターを優香の机の中にシュバっと放り込んだ。
その直後、クラスメイトたちが続々と教室へと戻ってくる。
ギリセーフ!
ふぅ、やれやれ。
間一髪でミッションは成功だ。
俺は胸をなでおろした。
ラブレターには、伝えたいことがあるから放課後に体育館裏に来て欲しい、とだけ書いてある。
これであとは放課後、やってきた優香に、俺が本気の気持ちを伝えるだけだ。
どうやって優香に告白するかいろいろと考えたんだけど、俺としてはムードとか特別な雰囲気を大事にしたかった。
気持ちを伝えるなら電話や手紙じゃなく、直接面と向かってじゃないとダメだと俺は思う。
だから手紙はあくまで呼び出すだけ。
ラインやメールではなく、敢えて前時代的な手紙を使ったのもムード作りの一環だ。
手紙という失われつつあるツールを使うことで生まれる非日常感こそが、告白の始まりを告げるには相応しいだろうと思ったから。
伝えるための言葉も考えてある。
(俺は、やるぞ!)
俺は成功への期待と、失敗への不安を半分ずつ胸に抱えながら、健介の待つ食堂へと向かった。
今の自分の置かれている状況や、胸の中に想いについてなどなど。
つまりは優香との関係について、いろいろなことを考えていた。
優香と同じ時間を過ごすたびに積み重なっていき、今や胸の奥から外へと溢れようとしている恋心を、俺はもはや無視することができなかった。
「優香――」
名前を呼ぶだけで心がトゥンク、と大きく跳ねる。
恋い焦れすぎて、心臓が焼けてしまいそうなほどだ。
だけど告白して振られてしまって優香との関係が悪くなることで、美月ちゃんを悲しませてしまうだろうことが、どうにも心配で。
だから俺は、優香に自分の気持ちを伝えることをしてこなかった。
一人の男としての優香への恋心と。
慕ってくれる美月ちゃんを悲しませたくないという、お兄ちゃんのような気持ち。
俺はその2つを天秤にかけながら、常に後者に重きを置いてここ最近を過ごしてきた。
だけど。
「今の俺と優香は過去一番ってほどに、距離が近づいているって思うんだよな」
もちろんこのままさらに距離が近づく可能性もあるだろう。
しかし逆にここをピークとして、離れていってしまう可能性もあった。
それぐらいに今、俺と優香の関係性は近く縮まっている。
そしてそれは俺の個人的な見立てってわけでも、ないはずだ。
ついこの間だって、健介が後悔することのないようにと、わざわざしなくてもいいアドバイスをくれたのがいい例だ。
そういった様々なことを考えた末に、俺は一つの決断を下した。
「俺は優香に告白する」
俺は一歩を踏み出すことを決めた。
◇
その日の4時間目は、特別教室で授業が行われる、いわゆる「移動教室」だった。
「それでは授業を終わります。礼は省略で」
4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴ったと同時に、先生が授業の終わりを告げると、
「蒼太、昼休みだし、教室に帰らないで直で食堂行こうぜ」
いつものように健介が昼飯に誘ってきた。
しかし俺は首を横に振った。
「悪い。実は、漏れそうなんだ」
内股になりながら、両手で股間を覆う。
「おまっ、おしっこ漏れそうとか小学生かよ!? エンガチョ!」
「アホか、老若男女を問わない生理現象だっての」
「はいはいそうだな。じゃあ俺は先に食堂行って席取ってるから、蒼太はとっとと出すもん出してから来いよ」
「サンキュー」
「間違っても漏らすなよ。卒業まで言われるぞ。漏ら蒼太ってな」
「なんだその小学生男子レベルのあだ名は。漏らさねぇっつーの。じゃあな」
「おう。とりま急げよ」
「了解」
俺は健介と別れるとダッシュでトイレ――ではなく、自分の教室へと駆け戻った。
クラスメイトはまだ誰一人として戻っていない。
健介みたいに、教室に帰らずに直で食堂に行くやつも結構いるし、一番乗りだ。
俺はそのことをしっかりと確認すると、さっきの授業で持って行っていた資料集の間に、あらかじめ挟んでおいたラブレターを取り出した。
薄緑色のちょっとカッコつけた封筒だ。
「告白が成功しますように」
そして祈るように呟くと、ラブレターを優香の机の中にシュバっと放り込んだ。
その直後、クラスメイトたちが続々と教室へと戻ってくる。
ギリセーフ!
ふぅ、やれやれ。
間一髪でミッションは成功だ。
俺は胸をなでおろした。
ラブレターには、伝えたいことがあるから放課後に体育館裏に来て欲しい、とだけ書いてある。
これであとは放課後、やってきた優香に、俺が本気の気持ちを伝えるだけだ。
どうやって優香に告白するかいろいろと考えたんだけど、俺としてはムードとか特別な雰囲気を大事にしたかった。
気持ちを伝えるなら電話や手紙じゃなく、直接面と向かってじゃないとダメだと俺は思う。
だから手紙はあくまで呼び出すだけ。
ラインやメールではなく、敢えて前時代的な手紙を使ったのもムード作りの一環だ。
手紙という失われつつあるツールを使うことで生まれる非日常感こそが、告白の始まりを告げるには相応しいだろうと思ったから。
伝えるための言葉も考えてある。
(俺は、やるぞ!)
俺は成功への期待と、失敗への不安を半分ずつ胸に抱えながら、健介の待つ食堂へと向かった。
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