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第一章
第7話 セフィとお部屋でお話(1)
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「ふぅ、さっぱりした~」
セフィロト城の大きなお風呂にたっぷりつかって大満足したボクは、用意してもらった部屋に入った。
学校の教室くらいある大きな部屋で、しばらくここを使っていいんだって。
部屋の中には楽しそうな顔をしてベッドで寝ころんで、本を読んでいるセフィがいた。
心のそこから楽しそうなセフィを見ていると、ボクのほうまで楽しくなってくるな。
「ねぇセフィ、なにを読んでるの?」
「精霊使いカミカゼ・ハルトのお話です」
「あ、こっちにもその本があるんだ!」
そう言ってからボクはあることに気がついた。
「そうか、逆なんだね。この本と同じものがボクのいた世界にもあったんだ」
だって精霊使いカミカゼ・ハルトのお話は、本当はこの世界のお話なんだから。
それを誰かが向こうの世界で書き残したんだ。
それが誰かはわからないけど、もしかしたら遠い昔に桃源郷にやってきた人が書いたのかも。
あれ、そう言えばボクって――、
「ねえセフィ。ボクって元の世界に帰れるのかな?」
今日だけで色んなことがありすぎてこんな大事なことに、今の今まで気づかなかったよ。
のんきにご飯を食べてゆっくりお風呂に入っちゃったけど、こっちに来てからもう半日くらいたってしまっている。
「お母さんやお父さん、ボクが帰ってこなくて心配してないかな……」
このままだとボク、不良になっちゃうよ。
心配したお母さんが学校に連絡をしたり、もしかしたら警察とか呼んじゃうかも。
ううっ、すごく不安になってきた……どうしよう!?
ボクが心配していると、安心してねって感じの優しい言いかたでセフィが言った。
「それなら大丈夫ですよ。この世界の1日はハルトくんの世界の10分ですから」
「1日が10分!? なにそれすごい!」
「はい。時間の流れが全然違うので、だからまだ向こうの世界では5分くらいしか過ぎてないんです」
「そうなんだ、それなら安心だね」
だって5分だったら計算ドリルを1ページするくらいの時間だし。
「そして召喚のときとは反対の術を使うことで、ちゃんとハルトくんは元の世界に帰れますよ」
「よかったぁ。それなら安心だね」
「でも今はちょっと力を使い果たしてしまったので、1週間くらいチャージが必要なんです」
「1週間ってことは7日だから……えっと10分×7で、向こうの世界では70分ってことか。うん、それならぜんぜん問題なしだよ」
帰りの時間の放送が流れるまではまだまだ時間があったし。
「じゃあそろそろ寝ましょうか」
「そうだね。ボクも今日ははりきりすぎて疲れちゃったし。ふぁぁっ……」
おっとっと、あくびが出ちゃった。
お風呂でさっぱり気分転換はできたけど、やっぱり今日のボクは疲れていた。
体も疲れていたけどそれ以上に頭が疲れている。
宿題をまとめてやった後みたいだった。
「それでは、おやすみなさいハルトくん。いい夢を!」
「おやすみセフィ……って、え?」
なんでセフィはボクのベッドで寝ようとしてるの?
「えっと、セフィ? もしかしてここで寝るの?」
「はい、ここはわたしの寝室――寝るためのお部屋ですから」
「ええっ!? ここってボクの部屋じゃなかったの? ご、ごめんセフィ! てっきりボク、この部屋を使っていいものとばかり思って――」
大変だ!
ボク、女の子のお部屋に勝手に入っちゃった!
女の子のお部屋に入るときはちゃんとノックしてから入るのよ、ってお母さんに言われてたのに!
ボクは慌てて部屋から出ていこうとしたんだけど、
「はい、そうですよ? どうぞハルトくんが、好きなように使ってくださいね」
セフィはそんなことを言うんだ。
セフィロト城の大きなお風呂にたっぷりつかって大満足したボクは、用意してもらった部屋に入った。
学校の教室くらいある大きな部屋で、しばらくここを使っていいんだって。
部屋の中には楽しそうな顔をしてベッドで寝ころんで、本を読んでいるセフィがいた。
心のそこから楽しそうなセフィを見ていると、ボクのほうまで楽しくなってくるな。
「ねぇセフィ、なにを読んでるの?」
「精霊使いカミカゼ・ハルトのお話です」
「あ、こっちにもその本があるんだ!」
そう言ってからボクはあることに気がついた。
「そうか、逆なんだね。この本と同じものがボクのいた世界にもあったんだ」
だって精霊使いカミカゼ・ハルトのお話は、本当はこの世界のお話なんだから。
それを誰かが向こうの世界で書き残したんだ。
それが誰かはわからないけど、もしかしたら遠い昔に桃源郷にやってきた人が書いたのかも。
あれ、そう言えばボクって――、
「ねえセフィ。ボクって元の世界に帰れるのかな?」
今日だけで色んなことがありすぎてこんな大事なことに、今の今まで気づかなかったよ。
のんきにご飯を食べてゆっくりお風呂に入っちゃったけど、こっちに来てからもう半日くらいたってしまっている。
「お母さんやお父さん、ボクが帰ってこなくて心配してないかな……」
このままだとボク、不良になっちゃうよ。
心配したお母さんが学校に連絡をしたり、もしかしたら警察とか呼んじゃうかも。
ううっ、すごく不安になってきた……どうしよう!?
ボクが心配していると、安心してねって感じの優しい言いかたでセフィが言った。
「それなら大丈夫ですよ。この世界の1日はハルトくんの世界の10分ですから」
「1日が10分!? なにそれすごい!」
「はい。時間の流れが全然違うので、だからまだ向こうの世界では5分くらいしか過ぎてないんです」
「そうなんだ、それなら安心だね」
だって5分だったら計算ドリルを1ページするくらいの時間だし。
「そして召喚のときとは反対の術を使うことで、ちゃんとハルトくんは元の世界に帰れますよ」
「よかったぁ。それなら安心だね」
「でも今はちょっと力を使い果たしてしまったので、1週間くらいチャージが必要なんです」
「1週間ってことは7日だから……えっと10分×7で、向こうの世界では70分ってことか。うん、それならぜんぜん問題なしだよ」
帰りの時間の放送が流れるまではまだまだ時間があったし。
「じゃあそろそろ寝ましょうか」
「そうだね。ボクも今日ははりきりすぎて疲れちゃったし。ふぁぁっ……」
おっとっと、あくびが出ちゃった。
お風呂でさっぱり気分転換はできたけど、やっぱり今日のボクは疲れていた。
体も疲れていたけどそれ以上に頭が疲れている。
宿題をまとめてやった後みたいだった。
「それでは、おやすみなさいハルトくん。いい夢を!」
「おやすみセフィ……って、え?」
なんでセフィはボクのベッドで寝ようとしてるの?
「えっと、セフィ? もしかしてここで寝るの?」
「はい、ここはわたしの寝室――寝るためのお部屋ですから」
「ええっ!? ここってボクの部屋じゃなかったの? ご、ごめんセフィ! てっきりボク、この部屋を使っていいものとばかり思って――」
大変だ!
ボク、女の子のお部屋に勝手に入っちゃった!
女の子のお部屋に入るときはちゃんとノックしてから入るのよ、ってお母さんに言われてたのに!
ボクは慌てて部屋から出ていこうとしたんだけど、
「はい、そうですよ? どうぞハルトくんが、好きなように使ってくださいね」
セフィはそんなことを言うんだ。
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